こんにちは。たくさんのお客さまがお見えになったGWが過ぎ、これから1ヶ月ほど、新緑が素晴らしい時期を迎える戸隠です。
観光協会の事務局から見える飯縄山の山裾にも新緑が見えるようになりました。この時期の緑のグラデーションには本当に目が奪われ、心癒される彩りです。
さて、今回は5月8日(金)に行われた「第1回戸隠旬ウォーク〜ミズバショウと野鳥のさえずりを楽しむ春の息吹ウォーキング」にスタッフとして参加しましたので、写真とともにご紹介します。
今年からスタートしたウォーキングイベント。「観光コース」ではなく、旬の草花や知られざる絶景をゆっくり歩きながら楽しんでいただきたいと、戸隠の自然を熟知し、ガイド経験も豊富な戸隠登山ガイド組合のガイドの案内で歩くコース設定。初回にも関わらず、県外の方を含む10名のお客さまにご参加いただきました。
この日のガイドは、
民宿鳥見亭のご主人、バードウォッチング歴20年以上の吉井一夫さん。
自称「てるてる坊主」とおっしゃる晴れ男。雲が多めではありますがまずまずのお天気に恵まれました。
戸隠森林植物園森のまなびや前を出発し、手始めはみどりが池に泳いでいた水鳥の説明。「小さいカモなので"コガモ"です!」
バリアフリー木道を奥社方面へ。
園内にはたくさんの鳥の巣箱がかけられていますが、鳥のサイズによって穴の大きさが違っているそう。知らなかった!
木の根本に注目!冬の間に雪に埋まっていた部分がネズミ等に皮を齧られてしまっています。こうなると、木は死んでしまうそうです。恐るべき害チュウ...
吉井さんが双眼鏡で何やら見上げています。
♪ピリピリリ..
「サンショウクイという鳥です。山椒は小粒でピリリと辛いと言う訳です」
素人には鳥の姿こそ見えませんでしたが、その鳥のさえずりとネーミングの妙が心に残りました!
10分程歩いて入口広場へ出ました。
カタクリ、ヤマエンゴサクの共演。
案内板の脇から再び木道を歩きます。右側に水芭蕉の群生が広がり、おとぎ話のような光景が参加者の皆さんはカメラをパシャパシャ。
水芭蕉の間をチョンチョンと歩くアカハラにも出会いました(残念ながら写真は撮れず)。
「しばらくここでぼーっとしていたいわ」という声も聞かれましたが、今回はウォーキングなので、どんどん行きます。
近くには二輪草も咲き始めていました。二輪草は風味がよく、味噌汁に入れたりもするそうですが、葉っぱがトリカブトと酷似しているので要注意です
こちらは富貴草(フッキソウ)。名前がおめでたいので、雑草を防ぐため畑や庭に植える人もいるとか。
行者ニンニクも群生。戸隠森林植物園は国立公園なので、採集はできませんが、お好きな方にはたまらないですね。
木道を離れ、小鳥のこみちへ。杉等の常緑樹も混じる林の中です。
スミレサイシン。川端康成の「牧歌」という随筆にも登場する少し大きなスミレ。低地ではあまり見られない貴重な種です。
そして、キクザキイチゲ。ほのかな紫色がとても上品です。
こちらはカンバの仲間の大木。倒れた幹から樹が生え、こんな形になっています。
昔の人が薪をとるため雪上に出ている部分を切り、切り株から新たな芽が出て成長した樹=「アガリコ」も、戸隠の森の中にはたくさん見られます。
一行は外周の小径へ。
針葉樹の森を抜け、明るくなった林の上で耳を澄ませると「フィーチーチー」という声。
声の主はクロジ。「アカジではないですよ。アオジという鳥はいますが、鳥にアカジはないんです」と吉井さんの明解説が入ります。
ミズバショウの群生地でもあり、ツキノワグマの餌場でもある植物園。クマの通った笹薮やイノシシが土を掘り起こした跡など、野生を感じる道を10分ほど歩きますと、パッと視界が開け、こんな景色が。正体不明の女人の像(向かい合って2体あります)。
小川に架かる橋を渡ると小さなお社が現れました。
天命稲荷です。戸隠最後の修験者と言われる姫野光明師が建立し、伊勢の下宮の御祭神・豊受大神を祀っています。
一節によると、戦国時代にこの地は首塚であり、その生霊を鎮めるためにお社を建てたとか...。
せせらぎに沿って5分程歩くと鏡池が見えて来ました。
鏡池前に到着!戸隠連峰の西岳がくっきり見えて、大山桜も見頃。素晴らしい景色に皆さんから歓声が上がりました
ここまで終始平坦な道をゆっくり歩いて1時間15分程。皆さま思い思いに写真を撮ったり、15分の休憩を楽しみました。
帰りは天命稲荷から東へ向う林道を歩きました。
冷たい風が吹き始め、雲行きが怪しくなって来ました。ミズバショウが咲く林の向こうに戸隠山が見える場所を発見!
若干の上り坂で、笹薮が続く単調と思われる道にも、吉井さんの絶妙のガイドが。
戸隠の伝統工芸竹細工に使われるチシマザサ。棹が弓上に曲がっていることから戸隠では「根曲がり竹」と呼ばれ、竹細工の貴重な材料となるため、採取は禁じられています。
一方こちらはクマザサ。熊ではなく隈笹で、冬になると葉が隈取りされたようになります。葉の裏に毛が生えています。
高台園地の下の小高い丘に到着、ゴジュウカラやキビタキのさえずりをききながら、みどりが池まで下っていきました。
ミズバショウとリュウキンカが池をきれいに彩っていました。
集合場所の八十二森のまなびや前に到着したところでぽつぽつと雨が降って来ました。
奇跡的なタイミング。これも「てるてる坊主」の吉井さんのお力でしょうか
参加者の皆さんからは「ミズバショウがこんなに綺麗だとは知らなかった」
「また次回も参加したい」等嬉しい感想をいただき、何よりも無事開催できたことにほっと安堵して解散しました。
次回は6月13日(金)
ミツガシワの群生と出会う池めぐりウォークです。
多勢の皆さまのご参加お待ちしております!