2014年07月18日
続・戸隠の手しごと。

こんにちは。戸隠観光案内所のある宝光社地区は、標高1100m。土用間近とはいえ、市街地に比べ過ごしやすい気温と湿度を保っています。
さて、今回は続・戸隠の手しごと。戸隠の根曲がり竹細工については昨年1月のブログ「戸隠の手しごと」で少しご紹介しましたが、中社の井上竹細工店の三代目・井上栄一さんの作品展がお隣小川村で行われているということで、山を越えて出かけて参りました。
会場はふるさとランド小川(小川村郷土歴史館)。
移築復元された旧長野県知事公舎の隣にギャラリーがあります(写真右奥)。
小川村は長野県内で7町村が加盟する「日本で最も美しい村」連合の一村。戸隠から鬼無里を抜けて小川村の中心部へ来る道中も、北アルプスのビューポイントや高山寺の三重塔、美しい田園風景を見ることができました。最近は都市部から移住する若い人達が増えているとか。戸隠でも見習うべき点がありそうですが、それはまた別の機会に。
スリッパに履き替えて、「手仕事展」へ。

戸隠の根曲竹細工は長野県の伝統工芸品に指定される「信州竹細工」のひとつ。戸隠に自生する根曲がり竹を切り出し、細かく切り、編み込んで作品を仕上げるまでひとりの職人が一貫して行います。
今回は、小川村教育委員会の企画でそんな「手仕事」の温かみが伝わる井上さんの作品60点程が展示販売されています。
中社の竹細工師の三代目として生まれた井上栄一さんは今年還暦。
サラリーマン時代を経て、30年程前から竹細工を始められました。山が好きでフットワークが軽い井上さんは、戸隠地区山岳遭難対策協議会の山岳レスキュー隊員としても活躍されています。
この日、井上さんがお上手だと評判のそばざるはすでに売り切れていましたが、茶盆かご、カバンかご、とうじかごなど籠を中心とした作品が並んでいました。
30年の経験がある井上さんでも、まだまだ修業中だとおっしゃいます。
得手不得手なく何でも作れるように努力しているということです。
最近は、山葡萄細工にも力を入れていらっしゃるとか。
こちらはランプシェード。お部屋がぐっとお洒落な空間になりますね。
こちらは、石鹸かごと言われる小振りのかご。おしぼり置きにしても素敵ですね。
壁には浴衣(竹柄)やうちわ、机上には反物やグリーンが置かれ、涼しげな演出がされていた会場。籠にドライフラワーを飾ったりと、インテリアの勉強にもなる素敵な展示会でした。
ご神体である山から切り出し、全行程を手作業で行う竹細工。そばざるは1日2枚ぐらいしかできません。当然価格も安くはありません(そばざる3,000円前後)。ですが、戸隠の根曲竹は頑丈なので大事に使えば20年、30年と長持ちします。
このポーチ(非売品)は井上さんが20年程前に、古い竹を使って作ったもの。経年変化で竹が飴色になっていて、とてもいい風合いですね。
薄利多売の時代の流れから、戸隠の土産物店でも戸隠以外で作られたものや、外国産のものが売られていることもあります。
山深い戸隠に代々継がれてきた根曲竹細工。
伝統工芸は一度失われてしまえば、再興することは難しく、廃れてしまいます。私たちは後世に何を残していくのか。何を捨てるのか。
竹細工職人の数が数える程になり、存続が危ぶまれている戸隠竹細工。戸隠そばを食べることも、間接的な応援になりますね。
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