2014年07月29日
戸隠旬ウォークレポート3・不動尊磨崖仏&鏡池

暑中お見舞い申し上げます。先週末は戸隠でも猛暑となりましたが、その後一気にクールダウン。おかげさまで布団をかけてぐっすり眠れます。
さて、今回は7月25日(金)に行われた第3回戸隠旬ウォーク「鏡池と不動尊磨崖仏をめぐる涼感ウォーキング」のご報告です。

この日のガイドは戸隠登山ガイド組合の組合長・ペンションピオレの吉本照久さん。
集まったお客さまは県内外から17名!戸隠森林植物園森のまなびや前で軽く準備体操を行い、出発です。

7月終わりの植物園では今が盛りと草木が生い茂り、薄暗い場所もありますが、ニワトコの赤い実や、ヨツバヒヨドリ、シモツケソウやノカンボクなどが見られます。
立ち止まって見ればこんな可憐な花も...シキンカラマツ(写りが悪くてスミマセン)。
ベテランガイドの吉本さん。雪深い北信地域ならではのあがりこ型の樹の説明もとてもわかりやすいです


冬に樹を切る意味は、(樹の水分が少ないだけでなく)雪上だと運び出すのに好都合だという説明に納得!
植物園内を20分程歩いて鏡池の入口の天命稲荷まで来ました。
天命稲荷は戸隠最後の修験者といわれる姫野公明女師(1898ー1970)が建てたお宮。公明師は稀に見る霊媒能力の持ち主で、戸隠山で数々の修業をされ、越水に公明院を構えられました。霊告により戸隠山三十三窟のうち三十一窟(九頭龍社・奥社を除く)を探し出して復興(岩壁のわずかな窪みに石祠を奉納)したのが、最大の事績といわれています。この天命稲荷があった場所も、霊告により見つかった1200年前の人塚ということで、天命により豊受大神を祀ったことが名前の由来だそうです。ちなみに、3月の春分と9月の秋分の彼岸には、日の出が飯縄山・怪無山・天命稲荷を一直線に結ぶそうです。
そんなスピリチュアルスポットを後に、鏡池の外周から不動尊を目指します。

歩き始めて30分、鏡池との分岐点「不動尊まで60分」の道標に到着。水分補給をした後、少し急な山道を登っていきます。
広葉樹と針葉樹(杉)が混在する山道を15分程登ったところでピークに到達。木造の古い小屋(遥拝小屋)でひと休み。
こんどは谷を下ります。しばらく行くと、右手に少し開けた空間が現れました。
この辺りは約500年前、真言宗系のお寺(西光寺)があった場所。西光寺は主に西岳を中心に修業をしていた山伏の拠点で、
その後、真言宗と天台系の顕光寺(現在の奥社、中社、宝光社)の間に激しい争いがあり、西光寺は焼滅・亡滅したそうです。
そんな歴史に思いを馳せた後は、不動沢(不動尊が立つ沢)へ向け最後の下りに突入です。
左側は崖なので、よく気をつけて手足を使い、ゆっくりと下っていくと、沢の向こうに不動尊が見えて来ます(トップ写真)。
不動沢沿いの断崖絶壁・頭上4メートルぐらいの岩に彫られたお不動様。想像していたよりは小さく感じましたが、こんな高いところに、どうやって彫像したのか、想像すると奇跡のような仏像です。正確な作者も不詳ですが、江戸時代に創られたものだそうです。
不動尊の真下には沢の水に触れられる水場があり、そこに佇むと周囲とは全く違う涼しい風が吹いていました。
二十年前に不動尊を見て、もう一度見たいと思って参加したという地元の参加者の方は、「来られてよかった〜」とため息混じりに大変喜んでいらっしゃいました。皆さま思い思いに写真撮影等を楽しみ、不動尊に見守られながら山道を戻りました。
お昼を30分程過ぎたところで、鏡池に到着!
西岳・本院岳を眺めながらのお弁当タイム。いつもと同じおにぎりも格別においしく感じました


お昼休憩の後は再び、天命稲荷から植物園内の小径を通り抜けてゴールを目指します。
町では猛暑日となったこの日、戸隠でも珍しく汗ばむ陽気となり、うちわを持参していらしたお客さまは大正解!
最後に出会った黄色の「タマガワホトトギス」。
無事、森のまなびや前に戻り、整理体操を行いました。
参加者の方からは「ひとりでは行けない場所なので、参加できてよかった」「ちょうどよい距離と時間だった」など、嬉しいご感想をいただきました。ありがとうございました!
今回のコースはクマさんの棲息地に当たります。行かれる際は単独行動は避け、クマよけの鈴等をご持参ください。
戸隠登山ガイド組合のガイドさんと一緒に歩かれることをお薦めします。 続きを読む
2014年07月24日
戸隠さんぽ隊〜鏡池ソラヨガ〜

こんにちは。梅雨が明け、緑は一層濃くなり、鳥のさえずりも高らかに聴こえてきます。日差しは強いですが、じっとしていて汗ばむということはないので、都会から来られた方には、天国のような戸隠です

今回は、そんな戸隠を象徴する鏡池で7月23日に行った第3回戸隠さんぽ隊・鏡池ソラヨガのレポートです。
子供と一緒に歩ける戸隠のおさんぽコースを歩きながら発掘し、イラストマップをつくるという「戸隠さんぽ隊」の活動もいよいよ大詰め。
今回は、鏡池周辺のおさんぽと併せて、日頃の仕事や子育て疲れを癒していただこうと、ヨガをセットで企画しました。
インストラクターは長野市在住、STUDIO yukey主催の渡辺由紀子さん。
4年前から青空の下で行うヨガ「ソラヨガ」を始め、最近は県内各地でイベントを行うなど、アクティブに活躍されています。
戸隠が大好きで、「鏡池の前でヨガをすると気持ち良いよー」というお話を以前から伺っていたご縁で、今回講師としてお招きしました。
戸隠さんぽ隊のレギュラーメンバー2組(親子)に加え、長野市内外から10名の方が参加。お子守りスタッフ2名と、地元のケーブルテレビのカメラも入り、なかなかの賑わいになりました。
お子さんたちは、いつもと違う状況に、なかなかママから離れませんでしたが、こんな光景もかわいいですね。
青空の下で日光を浴びながら、自然と一体化することが、ソラヨガの醍醐味。
鳥の囀り、虫の羽音、地面の温かさ...そいうったものを感じながら、呼吸に集中することで、心が解き放たれます。
私も、少しの時間でしたが、芝生の上に横になり、太陽を見上げ、大地のエネルギーを全身で感じることができました。
標高1150メートルの鏡池でも夏日となったこの日は、30分もすると、じんわり汗をかき、体のなかの悪いものが解毒されたようで、皆さんスッキリ素敵な表情になりました!
ピカピカになったご一行。お次は戸隠さんぽ隊として、鏡池の周囲の森をぐるりおさんぽです。
若干雲はかかっていましたが、池の畔に立つと、写真を撮らずにはいられません。
鏡池を含む戸隠高原は上信越高原国立公園。国民の共有財産を守るため、ルールは守りましょう。そして、自然動物も生息していますので、一人歩きは禁物。熊鈴、ラジオなどを携帯することが推奨されています。
木漏れ日が差し、野鳥さえずる森の中を進んでいくと、階段があり、わくわくするような雰囲気


木道の上を進んでいくと、ガールたちの心をつかむ撮影スポットがあった様子。雪融け水のせせらぎです。
15分ほど歩いて天命稲荷に到着。
せっかくなので、戸隠森林植物園との境に立つ、女性修験者(?)の像も見ていきましょう。
南北に2体あり、植物園側の方は、少し小首をかしげているようで、癒し系です。

天命稲荷から戻って来たところで、さんぽ隊レギュラーメンバーのおチビさん達と合流。
1歳半のお子様を連れながら、毎回おさんぽに参加してくれた2組のママさん、本当にありがとう!
この先の、もうひとつの撮影スポット、鏡池へ注ぐ小川。
あまりにも素晴らしいロケーションに、橋の上でヨガのポーズをして撮影するガールもいましたよ

ここから5分ほど緩い坂道を登っていくと、ゴールです。
最後は、Studio yukeyオリジナル信州山の日記念「山のポーズ」。今年から、7月の第4日曜(2014年は7/27)が長野県「信州山の日」に制定されました。
皆さん、お疲れさまでした!
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2014年07月18日
続・戸隠の手しごと。

こんにちは。戸隠観光案内所のある宝光社地区は、標高1100m。土用間近とはいえ、市街地に比べ過ごしやすい気温と湿度を保っています。
さて、今回は続・戸隠の手しごと。戸隠の根曲がり竹細工については昨年1月のブログ「戸隠の手しごと」で少しご紹介しましたが、中社の井上竹細工店の三代目・井上栄一さんの作品展がお隣小川村で行われているということで、山を越えて出かけて参りました。
会場はふるさとランド小川(小川村郷土歴史館)。
移築復元された旧長野県知事公舎の隣にギャラリーがあります(写真右奥)。
小川村は長野県内で7町村が加盟する「日本で最も美しい村」連合の一村。戸隠から鬼無里を抜けて小川村の中心部へ来る道中も、北アルプスのビューポイントや高山寺の三重塔、美しい田園風景を見ることができました。最近は都市部から移住する若い人達が増えているとか。戸隠でも見習うべき点がありそうですが、それはまた別の機会に。
スリッパに履き替えて、「手仕事展」へ。

戸隠の根曲竹細工は長野県の伝統工芸品に指定される「信州竹細工」のひとつ。戸隠に自生する根曲がり竹を切り出し、細かく切り、編み込んで作品を仕上げるまでひとりの職人が一貫して行います。
今回は、小川村教育委員会の企画でそんな「手仕事」の温かみが伝わる井上さんの作品60点程が展示販売されています。
中社の竹細工師の三代目として生まれた井上栄一さんは今年還暦。
サラリーマン時代を経て、30年程前から竹細工を始められました。山が好きでフットワークが軽い井上さんは、戸隠地区山岳遭難対策協議会の山岳レスキュー隊員としても活躍されています。
この日、井上さんがお上手だと評判のそばざるはすでに売り切れていましたが、茶盆かご、カバンかご、とうじかごなど籠を中心とした作品が並んでいました。
30年の経験がある井上さんでも、まだまだ修業中だとおっしゃいます。
得手不得手なく何でも作れるように努力しているということです。
最近は、山葡萄細工にも力を入れていらっしゃるとか。
こちらはランプシェード。お部屋がぐっとお洒落な空間になりますね。
こちらは、石鹸かごと言われる小振りのかご。おしぼり置きにしても素敵ですね。
壁には浴衣(竹柄)やうちわ、机上には反物やグリーンが置かれ、涼しげな演出がされていた会場。籠にドライフラワーを飾ったりと、インテリアの勉強にもなる素敵な展示会でした。
ご神体である山から切り出し、全行程を手作業で行う竹細工。そばざるは1日2枚ぐらいしかできません。当然価格も安くはありません(そばざる3,000円前後)。ですが、戸隠の根曲竹は頑丈なので大事に使えば20年、30年と長持ちします。
このポーチ(非売品)は井上さんが20年程前に、古い竹を使って作ったもの。経年変化で竹が飴色になっていて、とてもいい風合いですね。
薄利多売の時代の流れから、戸隠の土産物店でも戸隠以外で作られたものや、外国産のものが売られていることもあります。
山深い戸隠に代々継がれてきた根曲竹細工。
伝統工芸は一度失われてしまえば、再興することは難しく、廃れてしまいます。私たちは後世に何を残していくのか。何を捨てるのか。
竹細工職人の数が数える程になり、存続が危ぶまれている戸隠竹細工。戸隠そばを食べることも、間接的な応援になりますね。
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2014年07月11日
戸隠夏花図鑑

こんにちは。台風8号が去り、久しぶりに現れた戸隠連峰。緑が一層濃くなったように感じます。
台風の被害に遭われた地域の方々に心からお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
さて、戸隠スキー場の越水ゲレンデの夏のシンボル・ヤナギランが開花したと聞きつけ、早速見に行って来ました。
ゲレンデの一部(フランススキー学校横)はマレットゴルフ場になっていますが、その傍らから少し登って行くと、「お花畑」のような草原が広がっています。

里でもよく見かけるウツボグザ。ヒョウモンチョウの一種と思われるチョウが盛んに蜜を吸っていました。

夏に花穂は枯れ、「夏枯草(かこそう)」として利尿薬にも使われるそうです。
白い花はカラマツソウ。よく見ると線香花火のような糸状の花です。

ヤマオダマキはこれからが見頃。一輪だけ咲いていました。

足下にスミレより少し大きい、かわいらしい花を発見!

図鑑で調べたところ白山風露(ハクサンフウロ)のようです。いかにも涼しげな名前ですね

5分ほど登って、ようやく本命のヤナギランの群生地に到着。

風が強いにも関わらず、じっと離れようとしないシジミチョウがかわいい


ヤナギランは、まだまだ咲き始め。これから8月上旬頃まで楽しめそうです。
夏の花見頃とともに、夏野菜の旬ももうすぐです!
先日、長野市民新聞でも取り上げられましたが、戸隠の高原野菜の通販「戸隠旬もの便り」がいよいよ今月下旬から販売スタートします。
お百姓さんたちが、手塩にかけて育てた旬の野菜は「紫峰の里 旬野菜セット」として、ご家庭にお届けします。
この「紫峰の里」とは、戸隠高原の別称。
山並みに夕陽が隠れ、夜の静寂が訪れる前の一瞬、高原の周囲の霊峰が紫色に輝くといわれます。
この輝きを受けて育った瑞々しく、滋味深い野菜。
現在、ご予約承り中です!
お中元代わりにお野菜をお届けするというのもいいですね
