2016年03月19日
戸隠の子どもたち。

屋根を叩くような雨音で目が覚めました。
「暑さ寒さも...」というとおり、ここ数日はほとんど寒さを感じず、逆になま暖かい風に違和感を感じる戸隠です。
スキー場のゲレンデも、戸隠山の雪もだいぶ薄くなってきましたが、シーズン終了までもうひと頑張りしてもらいたいものです。
さて、3月は別れ・旅立ちの季節。戸隠の小・中学校でも卒業式が行われ、清らかな瞳の子どもたちが、未来へ向かって旅立っていきました。
さかをのぼる さかをくだる
あしはふるさとの だいちふみしめ
こころはゆめみる そらのかなたを
やまやまに まもられて
とりたちと ともにうたって
わたしたち とがくしのこども
これは、11年前に地区内3校が統合して生まれた戸隠小学校の校歌(1番)の歌詞です。
作詞は谷川俊太郎さん、作曲は谷川賢作さん。
初めてきいたときから、耳に残るメロディと心躍る歌詞。
私は特に「やまやまにまもられて とりたちとともにうたって」というフレーズが好きで、子どもと一緒に合唱しては感動しています。
昨秋、統合10周年記念の学校行事が行われた際に、谷川俊太郎・賢作親子が小学校を訪れました。
84歳という高齢ながら、少年のような遊び心は健在で、子ども達の前で詩を朗読し、笑いの渦を巻き起こす谷川さんの姿は、天晴れでした。
以前からよく戸隠を訪れ、詩の朗読会などを行われていた谷川さんの、戸隠への愛が込められているこの校歌。
子どもたちが将来何かにぶつかったときに、山の情景を思い出し、この歌を口ずさんで、励まされるといいなと思います。

秋、子どもたちが走るマラソンコースからも、戸隠連峰が眺望できる。
雄大な戸隠の山々を毎日飽きるほど見ながら、春は花を摘み、短い夏は思い切り太陽に当たり、秋は紅葉、冬はたっぷり雪あそびができる戸隠の子どもたち。
年々少なくなる子どもの数ですが、戸隠で子育てができることに感謝しながら、育っていく子どもを見守っていきたいと思う、春の朝です。

旧暦で行われる戸隠のひな祭り。お雛さまものんびり。
2016年01月29日
戸隠冬物語

こんにちは。大寒から節分までが最も寒い時期といわれますが、まさにその真っ最中。雪も積もり、冬らしい日々が続いております。
我が家では流行りのウィルス性胃腸炎が蔓延してしまい、インドアな生活が続いておりましたが、皆さまはいかがでしょうか。
異常気象で、寒暖の差が激しく、−10℃の冷え込みになったかと思えば、日中は10℃以上になる日もあるとくれば、山で暮らすのには本当に忍耐が必要だと、つくづく思ってしまう今日この頃です。

とはいえ、冬の自然は厳しさとともに、感動的な景色を見せてくれることも確か。
名作『戸隠の繪本』にて津村信夫は、戸隠の冬景色をこんな風に書いています。
ー雪の降りやんだ後の、山の上の空工合は、一寸はにかんだやうな紅色が、うつすらと雲をふちどつてゐる。ー
(原文は旧仮名遣い)
この一節が表すように、冬の晴れた朝、朝陽を受けて光る山の光景は、まさにうっとりするような美しさです。

(写真は飯縄山)
そして、この季節の夜空の美しさもひとしお。
スマートフォンではこんな写真しか撮れませんでしたが、十六夜の月あかりに誘われて外に出てみると、満天の星空が迎えてくれました。

戸隠スキー場では、3月20日に「冬の夜の探索」というイベントが行われます。
満月の夜なので、晴れていれば月あかりに照らされるスキー場を散策できるこのイベント、昨年、一昨年参加された方からの反響がとてもよく、今年も実施されるそうです。私も今年こそ参加したいなと考えています。ご興味のある方は、ぜひ計画してみてください

雪はありますが、戸隠バードライン等、主要道路はきれいに除雪されています。

圧雪状態で凍結している場所もありますので、お車もお足元もどうぞお気をつけて。
そして、冬の戸隠へ来たならば、ぜひ冬ならではの逸品を。
こちらは大久保の茶屋の「おら家の逸品」。
冬はこのそばを食べなければ落ち着かないというリピーターも多い、”石巻産の牡蠣そば”です。
以前のブログでも紹介した東日本大震災の被災地宮城県に戸隠産の桜の苗木を植える「戸隠大山桜プロジェクト」でご縁のあった石巻市の小川水産から直送の大きな牡蠣を使っているそうです。
メニューの背景にある物語を知ってから食べると、ますますおいしくなりますね。
スキーやご参拝の後におすすめです!
2016年01月06日
戸隠の松の内。

こんにちは。松の内が過ぎましたが、遅ればせながら、新春のお喜びを申し上げます。
これほど雪のないお正月は、戸隠へ嫁いできて初めての経験。「楽でいいね」と、地元の人はいいますが、なんだか物足りないのもたしか。
それでも大晦日に年神様が連れてきた雪は、子供達にとっては、願ってもないお年玉


初詣は3ヶ日を外して、戸隠神社へ。
今年は子供と女性の護り神と言われる宝光社へ参りました。
雪の多かった昨年のお正月は子供連れで参道の石段を上るころは不可能でしたが、今年はご覧のとおり。

季節を間違えたのではありません。これも自然の姿。
ひとまず、寒さに震えることなくお参りできたことに感謝。
何度見ても飽きないのは、社殿の彫刻。

幕末の宮大工・北村喜代松が残した文化遺産です。
参拝のあとは、もちろん戸隠そば。

こちらは、「おら家の逸品」キャンペーンにも参加しているそば処千成の「鬼除けまぜそば」。鬼除けの納豆に、四方を固める(四方除け)のはとろろ、野沢菜、ネギ、かつお節。
温泉卵でスタミナばっちり、食べ応えも充分です!
来週末1月16日(土)には毎年恒例戸隠どんど焼き祭りが行われる戸隠。
雪を待っている方も、そうでない方も、初詣と併せ、冬ならではの逸品を味わいに、ぜひお越しください。
2015年12月10日
師走の青空

こんにちは。暦の上では「大雪」を過ぎ、冬も本番!と覚悟を決めたところ、この冬のお天道様はサービス精神が旺盛のようで、今日も快晴

新月が近いので、夜は天空にまたたく星の美しささもひとしお。寒さに目をつぶれば素晴らしい発見がある戸隠の冬です

この時期のお客様のお問い合わせとして最も多いのが、「道路の雪は?」というもの

ということで、12月9日現在の積雪の状況を写真とともにお伝えします。
まずは、飯綱高原の大座法師池付近。善光寺から七曲がりを経て標高差600Mほどの高原ですが、路肩に10cmほどの雪があるのみで、路面に雪はありません。

この時期、カモたちが群れで泳ぐ、微笑ましい光景に出会えます。

そして、戸隠バードラインへ。

冬枯れの林の奥にチラリと覗く北アルプスは真っ白ですが、戸隠連峰が真っ白な衣を纏うのはもう少し先のようです。
この先、宝光社・中社の表参道も、路面はほぼ乾いていますが、早朝は朝露が凍結しますので、ご注意ください。
12月12日にオープン予定の戸隠スキー場へ向かう道(越水入り口)は路面の一部が圧雪状態で、滑ります。

スキー場では、人口降雪機の力も借りて、ゲレンデ整備の真っ最中。
「雪はスキー場だけにピンポイントで降ってくれ」と思っている地元の人も多いかと思いますが...


越水ゲレンデから県道へ下る通称「高妻通り」からの高妻山の姿は、いつ見ても秀逸!


そして、戸隠神社奥社入り口へ。

鳥居へ向かうこの下りは、氷の滑り台状態。奥社へお参りされる方は、滑らないスノーブーツ、長靴などが必要です。
どうぞお気を付けてお歩きください。

大神様に、しっかりとスキー場への降雪をお祈りさせていただきました。
一年で最も静かと思われる奥社参道には、冬鳥の高らかな声が響き、グリーンシーズンとは全く違った風景に出会うことができます。
お車でお出かけの方は、冬用タイヤの装着をお願いします。
2015年11月26日
戸隠の冬じたく。

こんにちは。巨大低気圧の発生により、一夜にして冬がやってきた戸隠。
11月末まで降雪がなかったことの方が奇跡なのですが、穏やかな「晩秋」にボケてしまった体が、久々のピリリとした冷気に引き締まった感じです。
例年よりも温かかったとはいえ、冬を迎える準備はいつも通り。
この時期にどの家でも見られる風景は、軒先に干した大根、たくわんや野沢菜漬けの準備。

数十年、百年昔からあった暮らしの姿が、山間地域では今なお健在です。
そして、宿坊を始め、お庭のあるお宅では庭木の雪囲い。

長い冬を耐え、春に再び芽生え、花を咲かせてくれることを願って。
さて、観光協会でもウィンターシーズンに備えて、着々と準備を進めております。
今季で3シーズン目となる冬のおすすめグルメ「おら家(おらっち)の逸品」キャンペーンは、新規参加のお店や、新メニューの登場もあり、賑やかなラインナップとなりました。
今回も「逸品」を食べてスタンプを3つ集めると、戸隠スキー場のリフト券と交換できるお得なスタンプラリーを実施します(先着50名様)。
寒い季節ならではの、あつあつのお蕎麦や.....

甘党にはうれしいそばスイーツも


ポスターも出来上がり、間もなくウェブサイトも公開となります。

「おら家の逸品」キャンペーンはスキー場のオープンに合わせ2015年12月12日〜2016年4月3日まで。
どうぞお楽しみに

続きを読む
2015年10月14日
紅に染まる神の森へ

こんにちは。10月に入ってから秋晴れが続き、紅葉が長く楽しめている戸隠です。
青空に導かれて、奥社の杜へ。
この時期は、戸隠森林植物園で下車していただくと、紅葉をたっぷりと楽しめるのでおすすめです!

駐車場にてまず飛び込んできた紅は....なんと!オカトラノオ(サクラソウ科)。

夏の間は真っ白い尾を揺らせていたあの草が、秋にはこんなに赤く染まると知って、とても得した気分に

そして駐車場のシンボルツリー的存在・モミの木は、今秋も素敵なツタウルシのドレスをまとって


ため息が出そうなほどの紅色に染まったのは、マユミ(ニシキギ科)の実。

今年は例年以上にマユミの実が豊作(?)あちこちで鈴なりのマユミに出合えます。
みどりが池の畔を彩るニシキギ(ニシキギ科)。その名の通り見事な錦!

日が差して紅が光るナナカマド(バラ科)。

一際鮮やかなカエデ(カエデ科)。

花が消えた林の中で、紅一点のツリバナ(ニシキギ科)。

花はなくとも、紅や黄に染まった木葉が輝き、戸隠に残った留鳥たちの健気な姿と、高らかな鳴き声が一際高らかに響く静かな森です。

落ち葉の林をサクサクと音を立てて歩くのも、心躍るひととき。

この日、初めて見た白いものはフッキソウ(ツゲ科)の実。

戸隠森林植物園からバリアフリー木道を通って20分ほどで、戸隠神社奥社参道入り口に到着です。

森林植物園の紅葉は、10月下旬まで。カラマツの紅葉は初雪の11月初旬頃まで楽しめます。
もうすぐ雪に包まれる高原の、千秋楽の彩りをお見逃しなく!
2015年10月07日
戸隠で紅葉散歩。

こんにちは。朝晩の冷え込みが強くなり、寒暖差に比例するように山の樹々が暖かな装いになってきました。
常緑樹といわれるスギやマキなども、この時期は葉先が黄色っぽく黄葉します(山で暮らす前は知らなかったこと

万葉の色がきらめく、よい季節です。
とはいえ、気まぐれな秋の空は陽が差したり、曇ったり。紅葉シーズンの中でもベストコンディションと言える日(瞬間)は実際にはごくわずか。
地元にいれば何度もチャンスがありますが、遠方から見える方にとってはちょっとした「運試し」ともいえるでしょう

鏡池はいうまでもなく戸隠きっての紅葉名所ですが、大変混んでいることでも有名(10月の土日祝日はマイカー規制もあります)。
ということで、今回は今秋観光協会のポスターを飾った小鳥が池を訪れてみました。
戸隠神社中社から歩いて10分ほど。この道標が目印です。

道路から少し離れただけで、静寂に包まれます。ときおり聞こえる、どんぐりが枯葉の上に落ちるときの「パチン」という音も楽しみながら。

この日は、雲が多く、戸隠連峰はほとんど雲の中でしたが、池の周囲の樹々が水面に映り込む景色は、いつ見ても心を打たれます。

アキノキリンソウの蜜を吸うチョウの姿も。

あと一月もすれば高原にはチョウではなく、雪が舞う時期になります。
散策のあとのお楽しみは.....小鳥が池から一番近いこちらのお店はいかがでしょう?

戸隠の自然をこよなく愛し、登山ガイドも勤めるオーナーの秦孝之さんが営むレストラン小鳥の森です。
お店の人気メニューのひとつ、「岩魚と高原野菜の和風パスタ」は、旬の野菜(この日はきのこも)がたっぷり入り、食べ応えも十分!

これからの時期は、まきストーブの温もりに包まれて、周囲の紅葉を愛でながら食事やお茶を楽しめます

また、10月30日(金)には、秦さんのガイドで鬼女紅葉伝説ゆかりの地を巡る戸隠旬ウォークが行われます。
秋たけなわの戸隠へ、ぜひお出かけください!
2015年08月24日
戸隠旬ウォーク〜スキー場トレッキング〜
こんにちは。子どもたちの夏休みが終わり、早いところでは秋そばの花が見頃となり、戸隠に秋がやって来ました。
秋雨前線の影響で、雲の多い今日この頃。8月21日(金)に行われた戸隠旬ウォークも、雨具を着てのウォーキングとなりました。

今回のガイドは戸隠小舎のご主人、佐々木常念さん。
冬はSIA デモンストレーターとしてスキー界で活躍され、夏はガイドや山岳救助のお仕事もされているマルチタレント的な戸隠人です。
今回は「瑪瑙山絶景トレッキング」と題し、戸隠スキー場越水ゲレンデから瑪瑙山の山頂を目指す予定でしたが、残念ながら瑪瑙山も、戸隠山も霧の下.....

ガイドさんの判断で、ガスに巻かれる危険の少ない怪無山を登り、中社ゲレンデ方面へ下りるコースに変更することになりました。
「こんなお天気の日ほど、笑顔でいきましょう!」という明るいかけ声とともに、出発!
ゲストハウス岩戸の横からゲレンデへ。
この辺りの標高は1310M。ススキやイタドリなどが成長して花開き、すっかり秋の様相のゲレンデです。
晴れていれば、戸隠連峰のパノラマが見える場所ですが、神坐す山は毎日見えるわけではないからこそ、神秘的でありがたい存在なのかもしれません

夏にしか見る事のできない貯水池。スキー場の雪が足りない時はこの貯水池の水を利用するそうです。
第4ペアリフトの終点を左手に見ながら緩やかな斜面を登ります。
冬には多くのスキーヤーで賑わうcafeやなぎらんの近くまで来ると、その名の由来でもあるヤナギランの群生を発見!
ゲレンデの下とは150Mほどの標高差があるので、夏の花とはいえ、まだ楽しむことができました。
そして、右側に進路をとり、林間コースへ。
ダケカンバの大木の前でシラカバとの違いを説明していただきました。ダケカンバはシラカバよりも高標高の地に生え、枝の先まで乳白色の樹皮で覆われています。シラカバは樹皮は白だけれど枝の先端は黒いとのこと。知らなかった〜!


ダケカンバの林を抜けると、怪無山の頂上(1549M)もすぐそこですが、だいぶガスも出ているため、頂上には行かず、「どんどん滝コース」を下ることに。
かつては滝があったのでしょうが、今はない「どんどん滝」コース。白樺の樹林帯に、クマザサとチシマザサ(根曲がり竹)が繁茂する登山道です。

雨なので鳥や蝶の姿もなく、静かな森を黙々と下りる一行。アブやハチなどに刺される恐れがないのがラッキーでした。
飯縄登山道との分岐点を過ぎると、右手にせせらぎが現れました。
「小川の小径」と言われる遊歩道。地区で独自の水道を持つ戸隠中社区の水源となる川です。

冷たく清らかな清流の脇には秋の風物詩・オオシラヒゲソウ(手前の白い花)が咲いていました。

小川の小径から中社ゲレンデへ。
中社区の水道施設に入る水を分ける分水嶺も見ることができました。
ヤマトリカブト(キンポウゲ科)

トチバニンジン(ウコギ科)

参加者の中に漢方薬の調剤をしている薬剤師さんがいらして、生薬の材料として用いるこの2つの草花に出会えた事をとても喜んでいらっしゃいました

中社ゲレンデを横切り、中社区の路地から横大門通りへ。

国の登録有形文化財にも指定されている宿坊極意(徳善院)に寄り道。
善光寺地震で倒壊した一ノ鳥居の石柱。

そして、それを運んだ修羅(そり)。建築に使う石材や木材を、雪のある時期に運び、負担を軽くしたという雪国ならではの知恵です。
霧の下の越水ゲレンデをスタートして約2時間。終点の戸隠神社中社大鳥居前に到着!

悪天候にもめげずに歩き抜いた10名の皆さま、おつかれさまでした!
ゴールする頃には雨が上がって空が明るくなり......雨男・雨女はだれだ?なんて話で盛り上がりました

この後、大鳥居の向かい側にある戸隠観光情報センターの無料休憩所にてお弁当をいただきました。
ロッヂぴこさんの鯖缶入りばら寿司弁当は、歩いた後の体に沁みるおいしさ

次回の旬ウォークは9月18(金)戸隠連峰の絶景リベンジなるか!?
皆さまのご参加お待ちしております!
2015年08月14日
続・戸隠秋花図鑑
こんにちは。旧盆を迎え、人の出入りが激しい戸隠です。
人々が汗をかきながらジタバタしている間にも、自然界は着実に夏から秋へシフトしていくこの時期。先月播種が行われた秋そばも、高原の霧の下ですくすくと育ち、来月始めには白い花を咲かせてくれることでしょう。
※写真は新そば献納祭用の献納御蕎麦の畑
さて、「戸隠だより」として2012年8月にスタートしたこのブログも、4年目に突入し、今回は110回の記事となります!
3年間、細々とではありますが、継続してこられたのも、ひとえに読者の皆さまのおかげと感謝しております。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
前振りが長くなりましたが、今回はこの時期の恒例となりつつある「秋花」集め

今回の撮影場所は全て戸隠森林植物園です。
まずはバラ科4選。
カライトソウ(みどりが池横花壇・植物観察園)
キンミズヒキ(探鳥路〜植物観察園)

シモツケソウ(探鳥路〜植物観察園)
前回の飯縄山花図鑑にも掲載しましたが、花が全開したこの姿もまた可憐です。
キンロバイ(植物観察園)
以下は全て、植物観察園にて。
ヌスビトハギ(マメ科)
ヤマハハコ(キク科)
ソバナ(キキョウ科)
レンゲショウマ(キンポウゲ科)

アキノキリンソウ(キク科)
夏の名残と、秋の訪れを知らせる草花が同時に楽しめるこの時期の戸隠高原。特に、戸隠森林植物園は駐車場から数分歩いただけで、静けさに包まれ、自然界の営みに触れることができるのでおすすめです。
気に入った花を見つけたら、ぜひその匂いもかいでみてください。きっとその芳香が、あなたを元気にしてくれます。
安全のために、運動靴を履き、虫除け、熊鈴を持っての散策をお勧めします。
2015年07月27日
戸隠夏日和〜飯縄山登山〜

こんにちは。陽光眩しく、セミの声が賑やかな季節となりました。
7月の第4日曜日は信州山の日、そして、2016年からは8月11日が「山の日」として国民の休日になります。
健康維持のため、また、最近ではスポーツ感覚でトレイルを楽しむ人も増えて、ますます注目されている山。夏に戸隠に滞在するなら、山の頂きに立って、達成感を味わってみてはいかがでしょう

ということで、今回は、長野市の最高峰でありながら、初心者でも比較的チャレンジしやすい飯縄山(1917M)の南登山道〜西登山道を取材してきました。
一ノ鳥居苑地駐車場〜南登山道入口
登山者用駐車場とバス停「飯縄山登山口」はこちら。トイレを済ませて行きましょう。
林の中は、いろいろな花が目を楽しませてくれます。
別荘地を抜けて、登山口へ。
南登山口〜南登山道
両側に狛犬が並ぶ石の鳥居の向こうが登山口です。
始めは樹々の根の間の狭い道を登ります。
飯縄神社奥宮のノ鳥居(木造)です。

少し先にある旧一ノ鳥居跡。深緑の樹々に包まれて、なにか神聖な空気が感じられる場所です。
標高1268M。この先、道標代わりに、十三仏が置かれています。十三仏とは、死者の七十七日から三十三回忌を司る仏。第一は不動明王。
飯縄山は成層火山。登山道にはごろごろとした岩が多く見られます。
〜飯縄山花図鑑〜
※画像をクリックすると拡大します
オカトラノオ(サクラソウ科)/一ノ鳥居苑地付近
ヨツバヒヨドリ(キク科)/一ノ鳥居苑地付近
イワガラミ(ユキノシタ科)/一ノ鳥居苑地付近
コオニユリ(ユリ科)/天狗の硯石付近
シモツケソウ(バラ科)/南峰ピーク付近
ハクサンフウロ(フウロソウ科)/南峰ピーク付近
登り口から約1時間程で、中腹の駒つなぎ場(標高1528M)に到着。少し開けた空間に、ベンチがあり、休憩に最適な場所です。
駒つなぎ場前の第十一阿門如来。
標高1550Mぐらいから、急な登りに入ります。

鎖場のある岩を越えると富士見の水場があります。晴れていれば、その名のとおり富士山が見られますが、この日は雲の中でした。
天狗の硯岩。ここもビューポイントです。
岩の上に坐す第十三虚空蔵菩薩(標高1692M)。
笹が繁茂する尾根線に出たら、南峰のピークまでもう一息です。岩がゴロゴロしていますので、浮き石に注意して登りましょう。
振り返れば、眼下には飯綱高原のキャベツ畑や大座法師池もよく見えます。
西登山道との分岐点(標高1850M)の少し先にある飯縄大権現の石祠と鳥居。ここから見渡すパノラマの景色も最高です

南峰〜飯縄山山頂
南峰のピーク(標高1909M)。下界から見えるピークはここですが、飯縄山の山頂はもう少し奥にあります。
飯綱神社奥宮。毎年6月5日に一ノ鳥居と奥宮で開山際が行われます。社殿内には天狗のお面が多数奉納されています。
携帯トイレブース。使用済みの携帯トイレの回収箱は登山道口にあります。
なだらかな稜線が続きます。戸隠越水地区の方々を中心に、定期的な刈り払いが行われているので、大変きれいで歩きやすい道です。ありがたいですね。
南峰のピークから約10分で飯縄山山頂に到着!
一ノ鳥居苑地からの所要時間は約2時間30分。学校登山にも最適な山。この日も多くの小中学生で賑わっていました。
山頂で食べるおにぎりは、いつにも増しておいしいはず

ここから北側に稜線が続き、霊仙寺山への縦走も可能です。
山頂〜西登山道(チビッ子忍者村奥登山口)
南登山道をそのまま下山すれば約2時間ですが、今回は中社方面への西登山道を通って下山することにしました。
笹に覆われた尾根線は戸隠連峰のベストビュースポット(トップ写真)。
岩がゴロゴロした道が続きます。かなり急なのでここを登るのは大変かもしれません。

どこまでも続きそうなカラマツ林。
1時間余り下ってきたところで、傾斜が緩くなり、道の先に木造の建物と鳥居が現れます。
萱ノ宮です。詳細は不明ですが、その昔、戸隠から飯綱大権現を拝む際の起点となった場所と思われます。
萱ノ宮参道と言われる真っすぐな道をひたすら下ります。
突き当たりを右へ曲がり、下に道路が見えれば、登山道口に到着です!!
瑪瑙川に架かるメノウ橋の手前に携帯トイレ回収ボックスがありました。
下山の所要時間は約2時間。「小学生でも登れる山だから」と侮って登ると意外と急なアップダウンに泣かされるかもしれません。
なるべく単独登山は避け、安全に楽しみましょう。
中社の登山口の近くには日帰り入浴施設の神告げ温泉があります。汗を流し、疲れた足を癒してから、戸隠神社中社をお参りするのもいいですね。
この夏、ご家族やお仲間とどうぞお山へ。きっと素敵な思い出ができるはず。

2015年07月21日
奥社参道をゆく
こんにちは。梅雨から猛暑、そして台風と忙しく変わる天気に体がついていくのが大変という声もきこえますが、皆さまお元気でしょうか。
いよいよ本格的な暑さがやってきます。ぜひ、夏でも布団をかけて眠れる戸隠へ遊びにお出かけくださいね。
ということで、今回は古道(神道、奥社道)歩きの最終回。
このブログをお読みになる皆さまなら既に何度も歩かれた道かと思いますが、この時季ならではの草花に目をとめて、また意外と知られていないところもご紹介して参ります。
大鳥居から真っすぐに続く戸隠神社奥社参道の全長は2km。
鳥居の前で一礼をして、参道の中央を避けて歩きましょう(中央は神聖な領域です)。
鳥居をくぐってすぐ左側にあるのが、一かん龍王祠。先月の「奥戸隠池めぐり」でご紹介した種池(信濃町)の主を祀っています。毎年6月の巳の日に行われる種池祭では種池とここの祠の前で神主さんが祝詞をあげます。

参道の両脇には戸隠山の雪融け水が流れています。
このせせらぎが、奥社参道の魅力のひとつだと私は思います。
伊勢神宮の内宮の参道右側に清流が流れてることは有名ですが、参道を浄めるかのように両側に自然湧水が流れ、豊かな植生を保っているは全国的にも稀でしょう。むろん、一年のうち半分は雪に埋れてしまいますので、そういう意味でもかけがえのない清流です。
~奥社参道植物図鑑~
ヤマボウシ(ミズキ科)
ヨメナ(キク科)
ヤグルマソウ(ユキノシタ科)
ショウキラン(ラン科)
もうひとつ、参道で貴重なのが、この丁石。

ご存知の通り、一ノ鳥居から始まる戸隠古道の道標ですが、中社から先の古道においては雪の影響か、朽ちてしまったものが多く、現存するものはわずかです。この二十一町(中社から)の丁石は大鳥居から随神門(ずいじんもん)に向う中間の左側にあります。ぜひ見つけてみてください(夏場は草に埋もれて見えにくくなっています)。
週末などは多勢の参拝客で賑わう奥社参道。特に随神門付近で人影のない写真を撮ることは難しいですが、この日はたまたま静かな随神門を撮ることができました。明治以前、神仏習合時代には仁王門であり、仁王像が祀られていました。
冬は狛犬の足の辺りまで雪で埋もれてしまいます。
随神門をくぐる前に、もうひとつ知られざるスポットがあります。
上から見るとハート型に見える杉の根っこ。大切な人と一緒にここで写真を撮るのもいいですね(あまり見かけたことはありません)

茅葺きの随神門をくぐり、樹齢400年以上のクマスギの並木へ。
杉並木の左側、石垣が続いている部分が、戸隠山顕光寺時代の奥社院坊跡です。
標高1300mのこの地に12の院坊があり、修行僧達が生活していたというのですから、本当に驚きです

そして、今や伝説となった吉永小百合さんがCMの撮影で入った杉の洞(人が入って痛まないようにしめ縄が張られています)。
昨秋には、サザエさんのオープニングでも登場しました。
杉並木が終盤に差し掛かると右側にベンチがあり、その後方の川(講堂川)に小さな橋が掛かっています。
橋を渡ると、礎石が並んでいる空間が開けます。承徳2(1098)年に造られたという講堂の跡です。
なお、ここから参道を挟んで左側にはトイレがあります。このトイレも今年リニューアルされ、簡易水洗になりました。紙は流さず、横にあるゴミ袋に入れてきれいに使いましょう。
杉並木が終わると、参道には一部石畳が敷かれ、傾斜がだんだんと大きくなります。
石畳から石段へ。お客様からはこの石段の段数を問われることがありますが、おおまかに200段ぐらいです(崩れている部分もあり正確にはわかりません)。段差が大きいので、無理をせず、自分のペースで歩みましょう。
少し息が上がってきたところで、左側に現れる鳥居は、飯綱大明神を祀る飯綱社。
ここからまだまだ上りが続きますので参拝して一息入れるといいでしょう。
しばらくするとまた左側に石仏群が現れます。
大きな岩を背に、空を見上げるような仏様。神仏習合時代の名残と言われますが、詳細は不明です。
石段の向こうに、社務所が見えたら、奥社まではあと一息。
冷たい清水で手を清めて、いよいよお参りです。
この日はあいにく雲に隠れていましたが、奥社本殿の奥は戸隠山(表山)、神々しく、迫力ある風景。紅葉の頃もまた絶景です。
奥社参拝の後は、階段を下って右手の九頭龍社へ。
戸隠の地主神である九頭龍大神。水を司る神様であると同時に、好物が梨ということから、歯痛の神様としても人々から崇められてきました。
今でも梨をお供えする人が多いそうです。式年大祭期間中に設けられ、ご神体と鈴緒を繋ぐ「結びの糸」がまだ張られいますので、この機会にぜひご参拝ください。
社務所の前にはギボウシが咲いていました。
ということで、はるか昔から歩き継がれて来た、祈りの道を4回に分けてたどって参りました。
ぜひ、この夏のお出かけのご参考にしてみてください。
おまけのヤナギラン。
帰り道、中社付近にて。
2015年07月10日
神道をゆく3〈中社西駐車場〜奥社参道入口〉

こんにちは。梅雨らしい雨の日が続き、プール開きをした小学生をやきもきさせましたが、今日は久しぶりにお天道様と戸隠山の姿。
田んぼの稲や畑のトウモロコシも雨を受けてすくすくと育ち、虫の音や鳥のさえずりも一層大きく感じられる季節です。
さて、今回は神道(かんみち)をゆく第3弾。戸隠神社中社をスタートし、奥社参道入口を目指します。前回同様、中社にお車を停められたり、バスでお越しのお客さまからお問合せの多いコースです。お天気の日はもちろん、雨に濡れた古道歩きもいいもの。汚れてもよい靴、雨具、ひとり歩きの際は熊鈴を持って出かけましょう。

中社でのご参拝を終えたら、西側の鳥居を出て、駐車場の右側前方に続く細い道を歩きます。

公衆トイレの所までは舗装路ですが、その先は未舗装。砂利とチップが敷かれた歩きやすい道です。

50mほど進むと、右手に大きな石碑が現れます。

女人堂跡。奥の院が女人禁制だったその昔、この地にお堂があり、女性が奥院を遥拝したと言われています。「右えちごみち 左おくのいん」と刻まれた石碑の上部には、廃仏毀釈の時代に梵字が削られた跡があります。
左側、「おくのいん」を目指して参りますと、程なくして車道に行き当たります。横断歩道はないので、気をつけて渡りましょう。
道路を渡った先に大きな看板があり、右手が戸隠スキー場に至る越水通り。少し細い道(奥社道)を下って行きます。
ここから奥社参道入口までわずかな道のりですが、戸隠信仰にまつわるドラマが凝縮された歴史ゾーンとも言える味わい深い道。
この季節は道端に咲く花も目を楽しませてくれます。
まずは、ここから。
比丘尼石(びくにいし)です。女人禁制を犯して奥院に入ろうとした尼僧が石に変えられてしまったという戒めの遺跡。
こっちの角度から見ると、岩の突き出た部分が眠っている羊の顔のように見えませんか?
〜奥社道植物図鑑〜
ヤマオダマキ(キンポウゲ科)
ウツボグサ(シソ科)
ナツグミ(グミ科)
ヨツバヒヨドリ(キク科)
タテハチョウ科のチョウ
比丘尼石から100mほどで、右側に公明院の門が見えます。
敷地内には戸隠最後の修験道行者といわれる女性行者姫野公明師が建てたお堂のほか、飯綱権現石像、日本六十六州一の宮等が祀られ、釈長明火定の地(しゃくちょうめいかじょうのち)の石碑も建っています。
公明院のすぐ先に建つ石碑は、稚児の塔。
史跡についての説明は各所の高札に書かれていますのでここでは省きますが、戸隠信仰を背景に人々の祈りや思いが積み重ねられた地であることを、感じさせられる道中です。
戸隠森林植物園と奥社を示す道標が現れたら、右折します。
未舗装の遊歩道ですが、越水地区の皆さんが定期的に草刈りをしてくださっているので、気持ちよく歩くことができます。
ゆるい坂道を登り切ったところで、この道中一番のビューポイントに到着!
取材した日は雲が多めでしたが、晴れていれば戸隠連峰西岳とそれに続く山並みが迫り、撮影や休憩にもってこいのスポットです

そして、緩い坂を50mほど下っていくと、奥社入口駐車場の前に出ます。ここまでゆっくり歩いて約40分。
参道入口の公衆トイレは今年リニューアルされ、とても清潔になりました。ぜひきれいに使って気持ちよくお参りしましょう。
ということで、「神道をゆく」次回はいよいよ最終回。戸隠神社奥社・九頭龍社を目指します

2015年06月22日
奥戸隠池めぐり。
こんにちは。二十四節気の夏至を迎えました。雲間に太陽が顔を出したかと思えば、突然の豪雨...表情豊かな梅雨空が続いています。
さて、今回は先週6月19日(金)に行われたウォーキングイベント「戸隠旬ウォーク」のレポートです。
「奥戸隠池めぐり」と題した今回のコースは、昨年同様戸隠キャンプ場入口から念仏池、そして黒姫登山道入口の種池、古池をめざすもの。
※昨年のレポートはこちら
ガイドはおなじみ山の庭タンネの里野晋吾さんです。
6月としては肌寒く、予報では午後から雨のあいにくの空模様でしたが、集まった15名の参加者の中には、昨年からのリピーターの方も多く見え、皆さん元気に出発です!
キャンプ場の登山者用駐車場から、越後道と書かれた林の中へ。
木道を数百メートル歩くと、小さな池が現れました。
ご存知、親鸞上人縁の念仏池。この時期としては藻も少なく、水面が澄んでとてもきれいでした。
皆さん「いっせーのせ!」でジャンプして、水が湧き出る不思議を体験。

その後は、県道を信濃町方面へと歩いてゆきます。
舗装路ではありますが、雨に濡れた緑の街道をハルゼミやカッコウ、カエルの鳴き声に耳を傾けながら歩くだけで、リフレッシュ効果は絶大です。
道中のおしゃべりにも花が咲きました。
今回の参加者の中で一番遠方、愛知県からの女性は、「戸隠は神社の御神域の部分とトレッキングなどの自然が一度に体験できて、それらをミックスすることでより深く楽しめる」と戸隠の良さを語ってくださいました。
また、昨年からのリピーターの長野市内在住の女性は、「この旬ウォークに出るようになって、歩くのが好きになり、だいぶ足腰が強くなった」とおっしゃっていました。お花を見るのも楽しみで、今回は以前にブログの中で紹介した「ギンリョウソウ」が見たくて参加したと話していただき、このブログが多少なりとも読者の胸に響いたかと思うと、大変嬉しく、励まされました。
県道沿いで出会った草花。
珍しい緑の花、オゼタイゲキ(トウダイグサ科)
ノコギリソウ(キク科)
タニウツギ(スイカズラ科)
ヤブデマリ(スイカズラ科)
15分程で、市町村境の大橋を通過。天気がよければこの橋から戸隠表山一不動の辺りがよく見えますが、この日は雲に覆われていました。
黒姫山西登山道入口から森の中へ分け入ります。
道の両脇は刈り払われていましたが、木道は昨年の豪雪の影響か壊れている部分が多いので、ゆっくりと進みます。
ズダヤクシュ(ユキノシタ科)
根曲がり竹(チシマザサ)が繁茂する森の中を20分程歩くと、雨乞いの池・種池に到着!
中州に白い花が咲いているので、双眼鏡を持っている方にお借りしてみましたが、正体は不明。ギボウシのような前下がりの花でした。
ぽつぽつと小雨が降り出したので、足早に種池から古池へ向います。
あいにく、黒姫山は雲の中....ですが、晴れていれば眺望抜群の古池です。
里野さんの「少し休憩しましょう」という声を聴くが早いか、腰を下ろすおばちゃん達は地元(中社地区)の仲良し4人組。
おばちゃんお手製のフキの砂糖がけをお裾分けしていただきました

空には黒い雲がかかってきましたが、甘いおやつで気を取り直し、池のまわり一周ツアーへ。
里野さんの説明によると、古池は黒姫山火山帯にあり、お釜状の地形が、固有種を守り、他の場所では見られないような珍しい植物を育んでいるとのこと。
そこはまさに、生き物の宝庫でした。
天然記念物で絶滅危惧種にもなっているモリアオガエルの卵

ベニバナイチヤクソウ(イチヤクソウ科)
レンゲツツジ(ツツジ科)
サワフタギ(ハイノキ科)
そして、今年も登場

ギンリョウソウ(銀嶺草/イチヤクソウ科)
別名ユウレイダケとか、お化け花とも呼ばれるこの花が白いのは葉緑素を持たないため。群生する姿は、まるでムーミン谷の「ニョロニョロ」のよう。
葉っぱの上にはアゲハチョウの幼虫。
水面に泳いでいるのは、セミ!

皆さんたっぷりと自然観察や撮影を楽しみながら池のまわりをゆっくりと一周したところで、少し早いランチタイムに。
里野さん自らが作ったお弁当。しっかりと味がしみ込んだおかずは、家庭では真似できない味


そして、図ったかのように、皆がお弁当を食べ終わる頃に、雨がぽつぽつ

途中から本降りになったため、撮影はここで終了。雨にも負けず、よく歩いた皆さん。
約40分後、無事キャンプ場入口に帰着した後に解散となりました。
この時期、この場所でしか出会えない〇〇を探しに、皆さんも出かけてみませんか?その際は雨具や防寒具の用意をお忘れなく。また、今回歩いたコースを含む林野は大型の野生動物の棲息地でもあります。なるべく複数人で行動し、クマ鈴等の携帯をお勧めします。
2015年06月08日
神道をゆく2〈火之御子社〜宝光社〉

こんにちは。久しぶりの更新となりました、この間、戸隠神社の式年大祭・善光寺の御開帳という特別な期間が終わり、日常に戻った戸隠です。
ほとんどの田んぼでは田植えが終わり、ハルゼミとカエルの合唱、ホトトギスの鳴き声に草刈りビーバーの機械音、アカショウビンの声を聴いたという話も。
いろいろな「音」が夏を知らせてくれます。
樹々の緑も日に日に濃くなるこの時期、森林浴には最高の季節です。
さて、今回は「神道(かんみち)をゆく」の後編、戸隠神社火之御子社〜宝光社までの約800メートルの道のりをご紹介します。

冒頭の写真は宝光社から火之御子社・中社への道標ですが、今シーズンは中社から宝光社へ下っていかれるお客様が多く見受けられます。
ということで、火之御子社のご参拝の後は、境内左奥にあるトイレの脇から再び神道へ。

進行方向は左。

雑木林の間の砂利道を歩きます。木漏れ日を楽しみながら。

左側の脇道は小鳥の森遊歩道。少し鬱蒼としていますが、その名の通り、樹間を歩けばたくさんの鳥の鳴き声に包まれます。

直進すると右側にあるのが伏拝所です。

大きな杉の木の前、何やら神聖な気配を感じるこの場所は、その昔、奥院(戸隠山顕光寺)から地蔵菩薩の御正体が飛んできて、「女人禁制で奥院に参詣できない女性のためにここから奥院を拝むように」と人々に告げた場所だと伝わります。
NHK長野放送局が昭和8(1933)年に初めてここから野鳥の鳴き声を全国に中継したことを記念する「小鳥の声放送記念碑」も建っています。
今はご覧のとおりの景色ですが、昔はここから奥社が見えたそうです。

伏拝所を後に、しばらくは明るい雑木林が続きます。

薄暗い杉林に入ります。

左側が斜面になり、坂を下っていきます(ところどころ階段状に整備されている歩きやすい道です)。

坂を下ると、少し明るくなり、行く手に宝光社の社殿が見えてきます。

戸隠神社宝光社に到着です!ゆっくり歩いて15分。
夏場は野生動物も活動的になりますので、鈴など音の出るものを携帯し、なるべく複数人でお歩きくださいね。

神社の境内にはこんなかわいらしい花が群生していました。アマドコロ。

2015年05月25日
神道をゆく〈中社〜火之御子社〉
こんにちは。新緑と青空、カッコウに加え、ハルゼミの鳴き声も聞こえ、一気に初夏の趣の戸隠です。
さて、戸隠中社バス停前の戸隠観光情報センターで多くのお客様がお尋ねになる質問が、「ここから火之御子社、宝光社へ行きたいけど、神道(かんみち)ってどこ?どれくらい時間がかかる?」というもの。
ということで、今回は中社(観光情報センター前)から火之御子社への道のりを画像とともにご紹介致します。

戸隠観光情報センターをスタート(お土産処宝泉の間の舗装路です)。
まっすぐ進んで、お蕎麦屋さんを2軒(戸隠堂・しなの屋)を通り過ぎます。
坂を下りますと、狭い道が二手に分かれていますが、火之御子社/宝光社と書かれた道標に従い右へ進みます。
坂の途中はこんな景色。

下り切ると左手に民宿があり、水路に架かる橋を渡ります。
マンホール好きの方は要チェック

戸隠山が描かれたマンホールは合併前の戸隠の名を刻む語る貴重な文化遺産です。
古くからこの道が人々に歩かれていたという証・道祖神。
水路を越えると、道なりに右へ(左に分かれ道がありますが、まっすぐです)。
しばらく行くと、左手に墓地が見えます。
鳥や虫の声が一際大きく聴こえる静かな道(未舗装)に入ります。
道草を楽しみながら。
視界の先に林が見えてきたらもうすぐです。
「←火之御子社」の道標に従って左の細い道へ。結界のしめ縄をくぐります。
少しでこぼことした細い道です。

三分ほどで見通しが開け、右側に小屋が見えてきます。
小屋の正体は公衆トイレ。昨年(平成27年)新設され、とても清潔なトイレです。
トイレから少し下ると、戸隠神社火之御子社に到着!

戸隠観光情報センターからの所要時間は約15分です。
舞楽芸能の神様・天鈿女命(あめのうずめのみこと)をお祀りする火之御子社。
拝殿の奥に立つ夫婦杉もぜひお参りください。

夫婦杉と並んで立つブナの大木も見事。

こういうモノも大事ですね。
戸隠古道拓本集印帳をお持ちの方は、西行桜もお忘れなく。拝殿の右側です。
火之御子社から宝光社への道のりは次回ご紹介致します。
宝光社へ行かず、中社へお戻りの場合は、来た道を戻るか、西行桜の脇から石段を登り、表参道へ。
車道の脇を歩く形になりますが、竹細工店などをご覧になりながら歩くのもおすすめです。
こちらは、明治初期の神仏分離の際に社地から移された納経供養塔。
町並みにしっくりと合う赤いポスト。

登り坂なのでゆっくり歩いて20分。
往復30分〜40分で楽しめるおすすめの散歩コース。バスの待ち時間などに歩いてみてはいかがでしょうか。
2015年05月01日
戸隠の桜守と五地蔵桜
こんにちは。五月晴れという言葉がよく似合う五月のはじめ。日中は真夏のような日差しが照りますが、吹く風は爽やかな戸隠です。
さて、今回は桜にまつわるいいお話を。
晴天に恵まれた4月29日(みどりの日)、戸隠大山桜プロジェクト実行委員会主催の桜の植樹会が戸隠牧場で行われました。
このプロジェクトについては昨年の4月にもご紹介しました(「戸隠が大山桜の名所に!?」)が、今回の主役は植樹する若木(7年目)の親木である大山桜の古木(推定樹齢250年)です。
プロジェクトの発起人である桜守、山の庭のタンネの里野龍平さんは、数年前から戸隠での植樹を進める一方で、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市の大川小学校に犠牲になった子供や先生の供養のために、犠牲者の人数の分の植樹を続けてきました。
震災から4年、被災地にはまだまだ被害の爪跡が残されているとききますが、今回、御礼ということで石巻の方から宮城県産の石が送られ、親木である戸隠牧場の古木に命名の碑が建てられることになったのです。
里野さんがこの樹に名付けた名前は、「五地蔵桜」。
そして、宮城県の大蔵山スタジオ(株)から送られた伊達冠石(だてかんむりいし)に戸隠豊岡の法雨庵庵主駒澤たん道氏の筆が立派に刻まれ、古木の前に建てられました。

この日は桜を通した被災地と戸隠との深い交流を記念し、プロジェクト関係者や、石碑制作・寄贈者の山田社長、植樹会の参加者等30名程が集まり、臨済宗の僧侶である駒澤氏が石碑の前でお魂入れの法要を行いました。
宮城県の大蔵山のみで採石されるという伊達冠石(安山岩)は、自然石の形状で採石される大変貴重な石とのこと。
今回の石碑建立の経緯の説明を受けた寄贈者は戸隠の自然をイメージしながらやわらかくあたたかみを持った石碑になるようにと心を込めて加工したそうです。
五地蔵桜の名前の由来について、里野さん(写真中央)は「五地蔵山(上の写真で桜の真後ろにピークがある山)の麓にある樹であり、山伏の修行の地だった戸隠の象徴であり、長い歴史の中で、戸隠連峰で命を落とされた方々への供養の意味もある」と話されました。
また、通例、戸隠で行われるお祭等は戸隠神社の神事がつきものですが、この日は仏事でした。駒澤氏は天台宗での資格もお持ちで、この日、最初に詠まれた経文は天台宗のものでした。つまり、廃仏希釈の歴史を経て、150年ぶりに天台宗のお経が詠まれたということ。戸隠信仰の歴史に思いを馳せるのにも最高のスポットとなりそうです。
その後、牧場とキャンプ場の間の草地に設けられた植樹場所にて、県内外から募ったオーナーの皆さんにより、大山桜の植樹が行われました。
地元戸隠の方から遠くは静岡県の方まで、幅広い世代の方が思い思いに桜を植え、清清しい休日のひとときとなりました。

五地蔵桜の見頃は例年5月中旬頃です。お楽しみに。 続きを読む
2015年04月29日
戸隠の花回廊をゆく。

こんにちは。昨日は戸隠でも春を飛び越えて一気に初夏の陽気。突然の気温上昇に身体と頭がついていかれないようですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
さて、いよいよゴールデンウィークに突入


センターの観光案内部分は本日仮オープン。パンフレットの閲覧だけでなく、手荷物のお預かりや、コーヒーブレイクにもお使いいただける空間として準備中ですので、準備が整い次第、詳しくご紹介します!
今回は、この時期ならではの花回廊のご紹介。
バードラインから宝光社へ入る少し手前を左折(県道76号線)し200mほど南下したところにあるコテージガーデン花伝舎。冬季休業を経て先週23日に営業を再開したばかりですが、オーナーの南さんから、「今ガーデンのスイートバイオレットがすごくいいからぜひ見に来て」とご連絡をいただき、「スイートバイオレット??」と思いながら早速出かけてきました。
そして見た光景が、冒頭の写真。
スイートバイオレットとはニオイスミレ。カラマツの小径にスイセンの黄色とニオイスミレの紫が絶妙にマッチ!鼻炎の鼻でもしっかりと感じる甘い香りに、感激しました


その名のとおり、香水の原料ともなる香り高いニオイスミレ。

よくぞ戸隠の冬に耐え、こんなに美しく咲いてくれたかと思うと、可憐な花々が愛おしくてたまりません。
こちらは、チューリップの原種。一般に出回っているチューリップの半分ぐらいの背丈で、清楚な印象です。

ノネズミが来て球根を食べ荒らす被害を乗り越えながら、手入れが行き届いたガーデンは、歩くだけで、とても癒されます。
スイセンとニオイスミレのセッションが楽しめるのは5月初旬頃まで。ガーデンのみ入園は入園料300円。ランチやお飲物をいただくと入園料はフリーで楽しむことができます。
越水ヶ原や戸隠森林植物園、戸隠キャンプ場入口(さかさ川遊歩道)のミズバショウも日当りのよい場所から徐々に大きくなり、白い花を咲かせています。

善光寺御開帳や戸隠神社式年大祭のご参拝と合わせ、ぜひ戸隠の花回廊めぐりもお楽しみください。
2015年01月30日
キュレーターが読み解く戸隠の魅力

こんにちは。昨日(1/29)の戸隠は氷点下15度ぐらいまで下がり、今シーズン一番の冷え込みでした。
前回、雪はもういらないと愚痴を書いたら大神様に聞こえのか、以来、パタッと雪が降らなくなり、あんき(=気楽という意味の戸隠ことば)に過ごせた一週間でした。
今日からまた数日、雪がつづくようですが

さて、昨日は観光協会の事務局がある長野市戸隠支所の職場研修会に参加しました。
講師はこのブログでもおなじみ戸隠地質化石博物館の田辺智隆先生。

「戸隠の魅力を再発見しようー祝!妙高・戸隠連山国立公園の発足ー」というタイトルの講義でした。
そう、先週、メディアでも報道されましたが、今まで上信越高原国立公園だった妙高・戸隠を含む西部エリアの39,772ヘクタールが、新しい国立公園として制定される運びになり、その名称を「妙高戸隠連山国立公園」とすることで中央審議会から環境相に答申されたということです。正式な告示は3月ですが、地元では新国立公園の誕生を喜ぶ声が多く聞かれます。
田辺先生は、学芸員として当時の戸隠村に来て以来27年間、地域を調べ、その魅力を読み解き、伝えることに尽力されています。
専門は地質学、古生物学ですが、動植物についても造詣が深く、興味深いお話がたくさん聴けました。
たとえば......戸隠の固有種に「トガクシショウマ(トガクシソウ)」という花があります。明治時代に戸隠山で発見され、日本人が初めて名前を付けた花というのは有名ですが、大正時代にこの花を宝光社の富岡旅館の息子(富岡朝太)さんが大正天皇へ献上し、たいそう喜ばれ、皇居に植えられたというエピソードは初めて知りました


戸隠連峰の歴史については、明治時代から遡り、太古の昔、500万年前へ。
約500万年前には海底だった場所が、200万年前から徐々に隆起し、現在は2,000M級の山脈になっているのです。
平均すると1万年で10M、千年で1M、1年で1mm!
成層火山ではなく、500万年前の海底が隆起した山としては日本一高い山が、戸隠連峰ということです。


戸隠山の山腹からは、貝の化石やサメの歯の化石が見つかっている、この日本でも稀に見る山が、ますます魅力的に思えてきました

これに対し、飯縄山は成層火山(古火山で今は噴火口もない)で、戸隠スキー場のゲレンデがある怪無山、瑪瑙山とつながる大きな山腹を持つ山だったそうです。火山は水を貯えやすい地質で、戸隠は水に恵まれていたということ。そのため、人々が住みつき、米づくりができない場所であっても狩猟採集をしながら、自然を生かした知恵で生き抜いて来た場所であるということも解説していただきました。

田辺先生は「地域の素材を総合的に学ぶということは、そこで生きる意味を考えること」だとおっしゃいます。
戸隠の子どもたちに、自分の生まれた土地に誇りを持ってもらえるよう、親として勉強することがいっぱいあると、仕事を忘れて聴き入ってしまいました

ここにご紹介しきれなかった田辺先生の名調子をお聴ききになりたい方は、ぜひ戸隠地質化石博物館へお出かけください。
また、3月1日(日)には毎年恒例、戸隠を知る会主催の雪上自然観察会が行われ、博物館の学芸員さんたちと冬の間しか見られない絶景と生き物の営みを体感することができます。
多勢の皆さまのご参加、お待ちしております!
2014年12月03日
感謝の心に神が宿る。

こんにちは。昨夜からの雪が戸隠山の麓にも降り積もり、銀嶺が眩い戸隠です。
現在、奥社〜スキー場周辺の道路には10cm程の積雪があり、今朝は雪がない道路でも凍結していましたので、お車でお越しになる際には冬用タイヤの装着をお願い致します。

さて、11月22日に長野県北部を揺るがした神城断層地震につきましては、多方面からご心配やお問合せいただきありがとうございました。
当地区ではFacebookでもお伝えしておりましたとおり、戸隠神社等で一部の石灯籠や石垣の倒壊があったものの、揺れが大きかった割に建物被害は少なく、周辺道路も問題なく通れる状況です。
周辺地域で被害に遭われた皆さまにお見舞い申し上げるとともに、近隣地区含め県内の観光地に対する風評の風当たりが強くないことを祈ります。
例年よりも温かくほとんど降雪がなかった11月。
12月1日に戸隠スキー場で行われた戸隠雪乞い祭りでも途中から降り出したのは雨でした


今日、越水ゲレンデへ行ってみると...私たちの願いはしっかりと大神様に届いたようです!



12月20日のスキー場開きにには、極上のゲレンデが皆さまをお待ちしていることでしょう!
戸隠神社奥社参道も、すっかり冬景色に。
ご参拝にはスノーシューズや長靴のご準備をお願いします。

参拝(今日は鳥居の前で省略させていただきましたが)のあとは、ほっと一息。

名物鴨ざるそばは、まさに、五蔵六腑に沁み渡るおいしさでした。
奥社前なおすけさんでは、不燃ゴミ袋2袋分の食器の被害と、地下室に浸水被害があったということ。
女将さんの「それでも通常営業できていることに感謝」とのお言葉に同感。
おいしいおそばを食べられ、冬らしい雪景色を見られることに感謝。
大切な人や家族を思う心や、感謝の気持ちに神が存在するといいます。
何気ない日常に感謝することが、おもてなしの心にも通じます。
寒くなりましたが、皆さまどうぞお健やかに。
2014年10月28日
戸隠旬ウォークレポート5・鬼女紅葉伝説縁の地を歩く
こんにちは。寒冷前線の接近とともに、木枯らしのような風が吹き、落ち葉かきが忙しい戸隠です。
さて、今回は10月24日に行われた第5回戸隠旬ウォーク「鬼女紅葉伝説ゆかりの地をめぐる紅葉ウォーク」のレポートです。
快晴に恵まれたこの日は、県内外から20名のお客さまにご参加いただきました。
集合場所の戸隠商工会館前から、マイクロバスに乗って荒倉キャンプ場へ移動。
今回のガイドは、戸隠登山ガイド組合の秦孝之さん。山岳ガイドのほか、レスキュー隊、レストラン小鳥の森のオーナー兼シェフとしてマルチに活躍されています。
バスの中で、秦さんから本日のコースや、鬼女紅葉伝説が伝わる柵(しがらみ)地区(戸隠村と合併以前は柵村)のことなどレクチャーがありました。
伝説には鬼女紅葉が隠れた地が「荒倉山」といわれますが、実際に荒倉山という山はなく「荒倉山塊」であり、主峰は砂鉢山(1,431m)と霧見岳(1,400m)とのこと。初めて聴く話に、皆さん興味深く聴き入っていました。
戸隠に伝わる鬼女紅葉伝説については、以前4回にわたって連載しましたので、ご興味のある方はこちらから。
バスで20分ほど走り、荒倉キャンプ場に到着。このキャンプ場は、長野市への合併前は戸隠村が管理していて、民俗伝習施設の能舞台も整備されました。
しかし、山深い土地にあるため、アクセスが悪く、利用者は大変少なくなっています(今年度から市営ではなくなり、地域の有志が管理)。
この能舞台が賑わうのは年に一度、10月中旬の鬼女紅葉祭り。今年もさまざまな舞台奉納が行われました。

キャンプ場内の色付き始めた紅葉を楽しみながら、ウォーキングの始まりです。

落ち葉が敷き詰められた山道に突如、一茶句碑が。
「鬼の寝た穴よ朝から秋の暮」
文政元年(1818)8月3日、小林一茶が戸隠宝光院で詠んだ句だそうです。
一茶も「鬼が寝た」紅葉の岩屋を訪れたんですね。
しばらく上っていくと、山道に「もみじ」と書かれた赤い鳥居が現れました。紅葉の生活圏だったといわれる地=結界を意識して。
釜背負岩(かましょういわ)と呼ばれる大きな岩。何に見えますか?
よく見ると、サルの横顔のよう...正解は、紅葉の配下として働いたおサルさんが炊事のために釜を背負った姿だそうです。
そして、こちらが紅葉の食事のための煮炊きをしたという釜壇岩(かまだんいわ)。

ガイドさんの案内なしには行かれないような、奥まった場所にある大きな岩。縦横1.5mぐらいの空間があり、ときには獣のネグラとなっていることも!?
お次は舞台岩。
たしかに、踊るにはもってこいの平らな岩。昔の人はうまく名付けたものです。
さらに上っていくと、小さな鳥居の向こうに「紅葉の化粧水」と名付けられた湧き水が流れていました。
都にいた頃はその美しさがもてはやされた紅葉。追われた山の中でも美に気を使っていたのでしょうか。

以前、秦さんが保育園児の遠足のガイドをした際、「この水で顔を洗うと美人になる」といったら顔を洗う子供がいっぱいいたそうです。
冷たくておいしいお水でした。

せせらぎで少し休憩した後、5分ぐらいの登りが続き、いよいよ紅葉の岩屋が見えてきました。
参加者のうちお二方が、肝試しに岩屋の中へ入って記念撮影をされていました。私は入りませんでしたが、岩屋の中は結構広く、
「寝泊まりできそう」とのこと...クマさんと一緒になるかもしれませんね

岩屋の東側の洞窟には紅葉を祀った祠があり、全国各地の能や謡のグループの方が寄進したと思われる卒塔婆が立っていました。
皆さんで記念にパチリ。
岩屋を過ぎたところで、ちょうどお昼になりました。
お弁当を食べるのに、よい場所は....一旦車道へ出たガイドさんが、案内してくれたのは龍虎トンネルの先。
トンネルを抜けると、素晴らしく色付いた山の景色が現れ、歓声が上がりました。
今日のお弁当はペンションころぼっくすオリジナルのおにぎり弁当。
たくさん歩いた後の、青空の下で食べるお弁当は最高でした!
エネルギーをチャージして、再び山道を上ります。
まさに今が旬のカエデの紅葉。目が覚めるような色彩に感動

紅葉の岩屋から5分ぐらい上ると、稜線の上に到達!
鬼女紅葉一派を討伐した平維茂郡が勝ちどきをあげた「安堵が峰」と言われる場所です。
晴れていたので、飯縄山がくっきり見えました。
ここから先は稜線上をトラバースして進みます。
戸隠の豊岡方面の絶景を眺めながら10分ほど歩くと、大きな岩に行き当たりました。
岩の下が「松沢トンネル」と呼ばれる切通しになっていて、その前にある看板を詠むと、松沢語一郎氏が指導し、安政年間から慶応3年の7年間かけて人力によって開けた穴だと書かれています。長さ十六間(約29m)、高さ八尺(2.4m)で馬が通りやすいように真ん中を五寸(15cm)下げて掘ったと書かれていました。
年月が経ち、土砂に埋もれ、今では高さ1mほど。腰をかがめなければ通れませんが、振り返ってみたその岩の大きさに目を見張りました


江戸時代から昭和も戦後まで利用され、峠の難所越えに役立ったと言われます。昔の人のご苦労に頭が下がる思いで通過しました。
稜線を抜け、少しずつ山を下ります。紅葉した樹々が西日を受けて輝き、なんともいえない美しさです。
山道から舗装路に行き当たったところで、時計を見た秦さん。
「まだ時間があるので、少し寄り道して行きましょう」
道路を5分程、東へ向って歩いて行くと.....
目の前に現れた戸隠連峰の絶景に、大歓声!
西岳から戸隠表山、高妻山、遠くは妙高山まで、ここまでくっきりとパノラマが見える機会は滅多にないことです。
「本当はあまり教えたくないんだけどね、なかなか来れる場所じゃないのでしっかりと目に焼き付けてください」と秦さん。
「こんなに素晴らしい景色を見せてくれてありがとうございます!」と、お客さまから拍手もおこりました。
しばし絶景を堪能した後は、来た道を引き返します。
目指すは紅葉橋。
「ここからの下りはおととい降った雨のせいで多少ぬかるんでいるかもしれませんので、ゆっくり行きましょう」
秦さんの予想が的中し、日当りの悪い北斜面は、多少どころか、ぐちょぐちょ続き...
写真を撮る余裕もないほどの足下の悪さでした。

靴がいい感じに泥まみれになった頃、前方から「道路が見えたー」という声。
国道36号線との合流点、紅葉橋に到着しました。
ここで、靴の汚れを落としたりしながら、迎えのマイクロバスを待ちました。
参加者のひとりに感想をきくと「正直、こんなに歩くとは思わなかった」という声がきかれました。
神奈川県から参加した彼女は、鬼女紅葉伝説が好きで、鬼無里の史跡は巡ったことがあったので、今度は戸隠に行きたいと思っていた矢先、戸隠観光協会のHPでこのイベントを知ったということでした。
車を使わなければ周遊が難しい今回のコース、もうひとつの難点は、途中にトイレがないということ。
参加者の皆さまにはご不便もおかけしたかと思いますが、長時間歩き抜いていただき、無事出発地に帰着されたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
皆さま、お疲れさまでした!
次回の戸隠旬ウォークはしばらく間をおいて、2015年の3月6日(金)。
スノーシューで冬の戸隠を楽しみます。乞うご期待!

続きを読む