2016年03月27日
100年後の戸隠を見据えて。

こんにちは、早朝に起きて書くことが多いこのブログですが、夜明けが早くなり、5時を過ぎればだんだんと東の空の明るさが頼もしく感じられるようになってきました。朝はまだ氷点下に冷え込む日もありますが、早起きの鳥たちのおしゃべりが、季節の移ろいを感じさせてくれます。
そんな3月終わりの週末、戸隠公民館で行われた「戸隠ゆかりの講演会」に参加しました。
講師は、戸隠出身で、人とホスピタリティ研究所代表の高野登さん。
高野さんは、1974年に渡米し、アメリカでホテル・マネジメントの経験を積まれ、1994年にリッツ・カールトンの日本代表として帰国。大阪、東京での開業を成功に導いたリーダーとして有名です。
2009年にホテル業界を退いたあとは、人とホスピタリティ研究所を設立し、各地での講演・研修や、組織の活性化、人材育成などに活躍されています。
故郷戸隠での講演は今回で3回目ということで、前半は高野さんと、戸隠地区住民自治協議会会長、戸隠観光協会会長をパネラーに、参加者の声も取り入れたパネルディスカッション形式で行われました。

写真:右から高野さん、戸隠観光協会極意会長、戸隠地区住民自治協議会新井会長、戸隠公民館西館長
冒頭で高野さんは、こんなエピソードを語ってくれました。
_大人になって友人を戸隠へ案内し、田園風景の向こうに戸隠連峰が見渡せる場所を車で通過しようとしたところ、「ちょっとまって、ここに車を停めてくれ」と言われた。
友人はその場で40分も動かずに、黙って景色を眺めていた。
彼は言った「おまえは、こんなところに生まれ育って、本当にラッキーだな、こういうところで生まれ育つことが、どんなにラッキーかわかるか」と_

「あなたにとって、戸隠のよさとは何ですか?」
という問題提起に、参加者からは自然の美しさ、戸隠信仰の歴史、そばなど、いろいろな意見が出ました。
そんな声を受けて、高野さんは、
_戸隠の人は、そばがおいしいというけれど、会津に行っても、福井に行っても、出雲でも、“ここはそばがうまい、ここのそばが一番だ”と言います。
戸隠そばの特異性はどこにあるか、それは、そばを打つ人とその姿勢のよさにあると、私は思います。だからこそ、全国からそば打ちの修業のために戸隠に来るのです。_
また、戸隠には観光資源が豊富だという声に、高野さんは「観光」のことばの意味を投げかけます。
_観光とはその土地の光を観ること。
では、光とは何か、それは人々の営みの豊かさにあります。
お隣、小布施では観光客とともに若い人の人口が増えている。
栗菓子や北斎の絵のおかげではない、それは、小布施の人々の営み=小布施の人々がつくったガーデンを観に来るためです。
戸隠神社の「式年祭」があるから人を呼ぶのではない。
本来、式年祭というのは人々の営みとしての”祈りの象徴”であり、よその人に魅せるためのお祭りではなかった。_
「戸隠の問題点は?」
という問いかけには、地域ごと、組織ごとに閉鎖的で、連携ができていないという声が最も多く、その他に、地場産業がない、空き家が増えているなどの声もありました。
高野さんは、「壁にぶち当たって限界集落になってからでは遅い。今、ぶつかる前の余力がある状態で、百年先を見据えて考えることが大切」と説きます。
若い世代にこそ聴いてほしい高野さんのメッセージですが、参加者の多くは、年配の方....子連れで参加していたのは我が家だけでした

そんな年配者への高野さんのアドバイス。
_”人を動かそうとするのではなく、人は魅力があれば動くもの”。
ここへ集まっている意識の高い人たちが、手を取り合って一歩を踏み出す、ちょっとずつ変えていく練習をしましょう。
初めから大きく変えようとするのは大変だし、皆ついてこない。少しずつ変えていくことが、将来的な変化につながる。
私は人にものを伝えるときには、100回でも1000回でもなく、1万回必要と思うようにしている。
大切なのは、粘り強く続けること。_

住んでいると当たり前に思ってしまうことが、よその人の目で見ると違っていて、自分が戸隠を離れてみて改めてその良さに気が付くもの。
だからこそ、地域おこしには、外から来た人や、一度は戸隠を離れた人の存在が要となるのかもしれません。また、被災地・福島や、国際的な観光都市を目指している金沢など、本気になっている地域での事例から学ぶことも大事だと高野さんは教えてくれました。
ご自身の体験談を交えながらのお話は、機知に富んでいて説得力があり、ずっと聴いていたいような内容でした。
個人的なことを言うと、子どもの相手で途中離席し、しっかりと聴くことができなかったのが、心残りではありましたが...

5年前に嫁として外から来た私にとって、戸隠の自然、文化、暮らしはすべて驚きと発見に満ちています。
そんな発見の一端を、このブログの場を借りて綴らせていただきました。
必然的に、観光客目線というよりも、住民目線となることが多く、”観光協会スタッフブログ”としてこれでよいのかとの葛藤もありました。
とはいえ、2012年8月から今日まで128回の投稿を続けてこられたのも、ひとえに詠んでくださった皆さまのおかげさまと感謝しております。
諸事情により、「戸隠ノート」としての発信は今回が最終回となります。
これまで私の拙い文章にお付き合いいただいた皆さま、どうもありがとうございました!
そして、これからも、戸隠を温かい目で見守っていただきますよう、お願い致します!
2016年03月19日
戸隠の子どもたち。

屋根を叩くような雨音で目が覚めました。
「暑さ寒さも...」というとおり、ここ数日はほとんど寒さを感じず、逆になま暖かい風に違和感を感じる戸隠です。
スキー場のゲレンデも、戸隠山の雪もだいぶ薄くなってきましたが、シーズン終了までもうひと頑張りしてもらいたいものです。
さて、3月は別れ・旅立ちの季節。戸隠の小・中学校でも卒業式が行われ、清らかな瞳の子どもたちが、未来へ向かって旅立っていきました。
さかをのぼる さかをくだる
あしはふるさとの だいちふみしめ
こころはゆめみる そらのかなたを
やまやまに まもられて
とりたちと ともにうたって
わたしたち とがくしのこども
これは、11年前に地区内3校が統合して生まれた戸隠小学校の校歌(1番)の歌詞です。
作詞は谷川俊太郎さん、作曲は谷川賢作さん。
初めてきいたときから、耳に残るメロディと心躍る歌詞。
私は特に「やまやまにまもられて とりたちとともにうたって」というフレーズが好きで、子どもと一緒に合唱しては感動しています。
昨秋、統合10周年記念の学校行事が行われた際に、谷川俊太郎・賢作親子が小学校を訪れました。
84歳という高齢ながら、少年のような遊び心は健在で、子ども達の前で詩を朗読し、笑いの渦を巻き起こす谷川さんの姿は、天晴れでした。
以前からよく戸隠を訪れ、詩の朗読会などを行われていた谷川さんの、戸隠への愛が込められているこの校歌。
子どもたちが将来何かにぶつかったときに、山の情景を思い出し、この歌を口ずさんで、励まされるといいなと思います。

秋、子どもたちが走るマラソンコースからも、戸隠連峰が眺望できる。
雄大な戸隠の山々を毎日飽きるほど見ながら、春は花を摘み、短い夏は思い切り太陽に当たり、秋は紅葉、冬はたっぷり雪あそびができる戸隠の子どもたち。
年々少なくなる子どもの数ですが、戸隠で子育てができることに感謝しながら、育っていく子どもを見守っていきたいと思う、春の朝です。

旧暦で行われる戸隠のひな祭り。お雛さまものんびり。
2015年04月03日
「魔法の音楽の夕べ」レポート
こんにちは。
春雨とともに新年度がスタートした戸隠。3月27日には全国で32番目の国立公園として妙高戸隠連山国立公園が制定され、新しい時代の幕開けでもあります。
春の日差しが嬉しい反面、花粉症にとっては辛い季節。せっかくのお天気でも思い切り深呼吸できないのが残念です

たくさんの雪に恵まれた戸隠スキー場の今シーズンの営業も残すところあとわずか。
今回は、先日(3月28日)に戸隠スキー場内レストランシャルマンで行われた『魔法の音楽の夕べ』のレポートです。
3回目となる夜のスキー場でのコンサート。名残の雪の下、ワインとおつまみをいただきながら、気軽に音楽を楽しもうという戸隠ならではのイベントです。
地元の方を中心に50名程のお客様が集いました。
開演に先立ち、極意憲雄協会長の乾杯の発声。新国立公園の制定も併せてお祝いしました

今回は「箏(こと)とフルートの饗宴」ということで、ゲストは長野市在住の箏奏者小林多佳子(雅貴世)さんとフルート奏者の宮岡由美子さん。
一曲目は宮城道雄「春の海」♪
一見すると和洋折衷の組み合わせですが、箏の華やかな旋律とフルートのやさしい音色のハーモニーはまさに”魔法の音楽”。
スキー場の食堂の雰囲気も一気にコンサートホールに様変わりしました。
西洋の楽器であるフルートですが、宮岡さんは曲目によっては尺八のように弾くとのことで、確かに目をつぶっていると尺八の響きにも聴こえてくるから不思議です。
生田流の正派邦楽会師範としてご活躍の小林さんは県内各地はもちろん、海外でも演奏されたことがある実力派。
後半は東日本大震災の復興支援ソングとしておなじみの「花は咲く」、「早春賦」などお客様も一緒に口ずさめる曲目もあり、
舞台と客席とが一体になった音楽空間が生まれました。
おつまみとはいえ、シャルマンのシェフが振舞った料理も大好評


雪景色に、心地よい音楽、おいしい料理。五感が満足した充実の一夜でした。
2015年03月25日
戸隠人の手仕事きらり。
こんにちは。今朝は雉子の鳴き声で目を覚ましました。いよいよ野鳥達の繁殖期。庭にはキビタキやセグロセキレイの姿も。外に出るのが楽しみになってきました。とはいえ、彼岸を過ぎてまた寒が戻った戸隠。大人も子どもも体調管理に気をつけなければならない年度末です。
さて、今日は信州戸隠そばの実にて現在開催中の『戸隠人の手仕事』展のご紹介です。
陶芸家、染織家、織物作家....戸隠にはさまざまなアーティストが暮らしていますが、地区内でその作品に見たり触れたりする機会は少ないもの。
そばの実の二代目、徳武祐介さんの発案で今回はジャンルを超えて11人の作家の作品が集められました。
楠田美重子さんのホームスパン(羊毛を手で紡いで手織りした布)。
加藤由美子さんのワラの篭。
富永楓さんの草木染めの羊毛。ストール、ブローチ、セーターなど。
小山智徳さんの織部焼。
柳澤幸江さんの天然石 スピリチュアルアクセサリー。
登山ガイドでもある酒井敬子さんの山葡萄の篭。
Woodpeckerの根曲がり竹ボールペン。
戸隠竹細工の製作中に出た廃材を有効利用したボールペンの制作は、徳武祐介さん。
竹の個性を活かした形は、持ちやすく、書き心地も◎です。
手仕事の温もりと色彩あふれる作品を目で堪能したあとは、舌でも。
妙高山の雪融け水で育った甘味のあるゆきエビが贅沢に使われたゆきエビのかき揚げ。美味です

ここにご紹介したのは作品の一例ですが、ほかにも多数の作品が展示・販売されています。
作品展は3月31日まで。ご興味のある方はぜひ足をお運びください。
2015年02月25日
新春の悪魔払い〜獅子神楽フェスティバル

こんにちは。冬眠から目覚めた虫のように、久々の更新となりました。
この間、我が家のチビさんは流行の胃腸炎をもらい、少し痩せてしまいましたが、ようやく回復

今月後半は寒気が緩み、雪融けが始まりました。
屋根から落ちる雪の音、小鳥のさえずり、光線の強さ。雪崩は怖いけれど、春の知らせは嬉しいものです

さて、今回は2月22日(日)に戸隠公民館で行われた「獅子神楽フェスティバル」のご紹介です。
平成17年1月に長野市と合併した戸隠地区。戸隠地区住民自治協議会では、その10周年記念事業の一環として獅子神楽保存継承事業に取り組み、地区内26連の神楽のビデオ撮影、教本の作成を行ったそうです。
そして、この日は、30頭近い獅子頭が展示され、4つの大字(戸隠、豊岡、栃原、祖山)から代表の四連が出て獅子舞を披露しました。


獅子(ライオン)は百獣の王、百花の王は牡丹ということで、獅子頭の下の布(幌、よたん等呼称はさまざま)には牡丹が描かれているものが多いそうです。
知らなかった!


200名近い観客が見守る中、トップバッターは豊岡地区の大和(だいわ)連。
まずは「よたん舞」。篠笛の拍子に合わせたゆるやかな舞です。

幣束と鈴を持って悪魔払いをする「御幣(おんべ)舞」。幌は巻かれ、一人で舞います。

さいごは、再び舞人が2名入り、獅子が獣の本性を表す「くるい」。楽人の珍妙なかけ声に観客からどよめきがあがる場面もありました。

次に登場したのは宝光社獅子神楽敬神会。宝光社地区に伝わる獅子舞の一部が披露されました。

幕開けとともに、熟練の撥捌きの太鼓と篠笛の響きで聴衆をうならせました。
そして、流れるような勢いで獅子に入ったのは6名!大きな舞に目が釘付けです。

御弊舞もしなやかで安定感があり、さすがは宝光社という、見応えのある一幕でした。

8月の地蔵盆笹祭りでは、獅子舞がノーカットで披露されるということで、ぜひ一度見に行きたいものです。
まだまだ舞は続きます。
こちらは栃原地区の志垣(しがき)神楽獅子保存会。4連中唯一、女獅子の優雅な舞でした。

最後は、祖山地区から下内神楽保存会。私の住む地区の皆さんなので、応援しながら見させていただきました


こちらも、御弊舞から「くるい」へ。


女性も含め大人数が協力して奏でられたお囃子が印象的でした。
今回は、神社の例祭で奉納される神楽とは趣が異なり、単純に演技として舞を見る貴重な機会でした。
お囃子にも、舞にも、かけ声にもそれぞれの地域の個性があり、地域性を知る手がかりとなる獅子神楽。
後継者不足で存続の危機にあったり、既に廃れてしまった地区もあるようですが、
ぜひ、今回の事業が励みとなって、若い人たちにもその魅力が伝わり、伝統文化が継がれていくことを心から願います。
2015年01月20日
「おら家の逸品」食べある記

こんにちは。今シーズンの雪の降り方は晴天を何日かはさみながら、降れば一日で大雪

とはいえ、豊富な雪のおかげで大賑わいの戸隠スキー場。
好天に恵まれた日曜日のゲレンデには子どもからシニアまで、多勢のお客さまが楽しいときを過ごしていました。
そこで、今回は、ウィンターシーズンの週末におすすめの「おら家(おらっち)の逸品」キャンペーンをご紹介します。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、このキャンペーンは戸隠観光協会加盟の飲食店・宿泊施設の冬のおすすめの料理をご紹介するもので、スキー場開場50周年だった昨年に引き続き、2回目の開催です。
今季エントリーしているお店・お宿は21軒。
今回は、そのうちの2軒の「逸品」を取材して参りました!
まずは、宝光社の宿坊山本館の敷地内にあるそば処千成(せんなり)。

敷地内に湧き出る湧水を利用した「湧水仕込み」のそばが自慢のお店です。千成の今季の逸品は蕎麦ポタージュそば(¥1080)。
キャッチフレーズは「出汁のきいた ぽってり和のポタージュにサクサクのトッピング」
観光協会のスタッフの中でも「気になる〜」という声が聞かれましたので、代表していただいて参りました


感想は....サクサク、トロトロ...予想を超えた新食感で、非常に満腹になりました。
ごま油の風味がほんのり効いたかつお出汁は、そば粉でとろとろにトロミがかかり、
そばの上には野沢菜、天かす、海苔がのっかり、小鉢に入ったネギとショウガをトッピングしていただきます。
トロミがそば粉でつけられたあんかけそばといえば、伝わるでしょうか。
千成さんはもともと麺の量が多めなので、麺がのびないうちに平らげるには、かなり勢いが必要かと思います。
このキャンペーンのためにメニュー開発をされたオーナーの山本さんにお話を伺うと、「ざるそばならいつでもどこでも食べられるけれど、冬に、このお店に来なければ食べられないそばを食べていただこうと思った」とのこと。
お客様の中にはグループで来て、「おれは冒険したい」と言って蕎麦ポタージュそばを注文され、「予想以上においしかった」と大変喜ばれたというエピソードも。
話題づくりにはもってこいの逸品、ご興味をもたれた方はぜひお腹を空かせてお試しください!
お次はスイーツ部門。スキー場に近い越水ヶ原の山旅の宿樅の木山荘へ。
登山家である先代が建てた山小屋はこだわりがいっぱい。吹き抜けのロビーの中央には囲炉裏と暖炉。
ベンチの上にはさりげなくネパールの絨毯が敷かれて、とても居心地のよい空間です。


今季「おら家」初参加の樅の木山荘でこのキャンペーンのために開発されたメニューはこちら。

手づくりおしるこ(お漬け物セット¥650)です。
小豆と花豆のおしるこの中に白と紫のお餅が入っています。お豆の甘さはもちろん、お餅がもちもちとして甘いのに感動


調理を担当されている若女将の徳武しず江さんにお話をうかがうと、お米も花豆もお父様(先代)が戸隠地区内の田畑で自家栽培されたものとのこと。
お漬け物の野沢菜と大根も当然自家製です!ちなみにランチョンマットは先代女将が庭の草木の押し花を使って手作りしたもので販売もしているそう。
そして、このメニューのもうひとつのポイントはパック詰めしてテイクアウトができるところ。
お客様にスノーハイキングのお茶の時間に楽しんでいただければと考案されたそうです。
テイクアウト用はお漬け物が付かないので600円。スノーハイキングで温かいおしるこ。想像しただけでも気分が上がりますね

なお、喫茶は予約制(宿泊しなくても利用可)。こんな素敵なカウンターでいただくことができます。
コーヒ—や、山荘オリジナルのチャイ(別料金)と併せて優雅なティータイムはいかがでしょうか。

京都出身で気さくな若女将はなんと5児の母!
この日は次男&四男くんと一緒に。
ちなみに、樅の木山荘の手作りおしるこが、SBCテレビ1月22日(木)14時50分〜放送の「3時はららら♪」女子の力コーナーの中で紹介されるそうです♪

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2014年07月18日
続・戸隠の手しごと。

こんにちは。戸隠観光案内所のある宝光社地区は、標高1100m。土用間近とはいえ、市街地に比べ過ごしやすい気温と湿度を保っています。
さて、今回は続・戸隠の手しごと。戸隠の根曲がり竹細工については昨年1月のブログ「戸隠の手しごと」で少しご紹介しましたが、中社の井上竹細工店の三代目・井上栄一さんの作品展がお隣小川村で行われているということで、山を越えて出かけて参りました。
会場はふるさとランド小川(小川村郷土歴史館)。
移築復元された旧長野県知事公舎の隣にギャラリーがあります(写真右奥)。
小川村は長野県内で7町村が加盟する「日本で最も美しい村」連合の一村。戸隠から鬼無里を抜けて小川村の中心部へ来る道中も、北アルプスのビューポイントや高山寺の三重塔、美しい田園風景を見ることができました。最近は都市部から移住する若い人達が増えているとか。戸隠でも見習うべき点がありそうですが、それはまた別の機会に。
スリッパに履き替えて、「手仕事展」へ。

戸隠の根曲竹細工は長野県の伝統工芸品に指定される「信州竹細工」のひとつ。戸隠に自生する根曲がり竹を切り出し、細かく切り、編み込んで作品を仕上げるまでひとりの職人が一貫して行います。
今回は、小川村教育委員会の企画でそんな「手仕事」の温かみが伝わる井上さんの作品60点程が展示販売されています。
中社の竹細工師の三代目として生まれた井上栄一さんは今年還暦。
サラリーマン時代を経て、30年程前から竹細工を始められました。山が好きでフットワークが軽い井上さんは、戸隠地区山岳遭難対策協議会の山岳レスキュー隊員としても活躍されています。
この日、井上さんがお上手だと評判のそばざるはすでに売り切れていましたが、茶盆かご、カバンかご、とうじかごなど籠を中心とした作品が並んでいました。
30年の経験がある井上さんでも、まだまだ修業中だとおっしゃいます。
得手不得手なく何でも作れるように努力しているということです。
最近は、山葡萄細工にも力を入れていらっしゃるとか。
こちらはランプシェード。お部屋がぐっとお洒落な空間になりますね。
こちらは、石鹸かごと言われる小振りのかご。おしぼり置きにしても素敵ですね。
壁には浴衣(竹柄)やうちわ、机上には反物やグリーンが置かれ、涼しげな演出がされていた会場。籠にドライフラワーを飾ったりと、インテリアの勉強にもなる素敵な展示会でした。
ご神体である山から切り出し、全行程を手作業で行う竹細工。そばざるは1日2枚ぐらいしかできません。当然価格も安くはありません(そばざる3,000円前後)。ですが、戸隠の根曲竹は頑丈なので大事に使えば20年、30年と長持ちします。
このポーチ(非売品)は井上さんが20年程前に、古い竹を使って作ったもの。経年変化で竹が飴色になっていて、とてもいい風合いですね。
薄利多売の時代の流れから、戸隠の土産物店でも戸隠以外で作られたものや、外国産のものが売られていることもあります。
山深い戸隠に代々継がれてきた根曲竹細工。
伝統工芸は一度失われてしまえば、再興することは難しく、廃れてしまいます。私たちは後世に何を残していくのか。何を捨てるのか。
竹細工職人の数が数える程になり、存続が危ぶまれている戸隠竹細工。戸隠そばを食べることも、間接的な応援になりますね。
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2014年07月11日
戸隠夏花図鑑

こんにちは。台風8号が去り、久しぶりに現れた戸隠連峰。緑が一層濃くなったように感じます。
台風の被害に遭われた地域の方々に心からお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
さて、戸隠スキー場の越水ゲレンデの夏のシンボル・ヤナギランが開花したと聞きつけ、早速見に行って来ました。
ゲレンデの一部(フランススキー学校横)はマレットゴルフ場になっていますが、その傍らから少し登って行くと、「お花畑」のような草原が広がっています。

里でもよく見かけるウツボグザ。ヒョウモンチョウの一種と思われるチョウが盛んに蜜を吸っていました。

夏に花穂は枯れ、「夏枯草(かこそう)」として利尿薬にも使われるそうです。
白い花はカラマツソウ。よく見ると線香花火のような糸状の花です。

ヤマオダマキはこれからが見頃。一輪だけ咲いていました。

足下にスミレより少し大きい、かわいらしい花を発見!

図鑑で調べたところ白山風露(ハクサンフウロ)のようです。いかにも涼しげな名前ですね

5分ほど登って、ようやく本命のヤナギランの群生地に到着。

風が強いにも関わらず、じっと離れようとしないシジミチョウがかわいい


ヤナギランは、まだまだ咲き始め。これから8月上旬頃まで楽しめそうです。
夏の花見頃とともに、夏野菜の旬ももうすぐです!
先日、長野市民新聞でも取り上げられましたが、戸隠の高原野菜の通販「戸隠旬もの便り」がいよいよ今月下旬から販売スタートします。
お百姓さんたちが、手塩にかけて育てた旬の野菜は「紫峰の里 旬野菜セット」として、ご家庭にお届けします。
この「紫峰の里」とは、戸隠高原の別称。
山並みに夕陽が隠れ、夜の静寂が訪れる前の一瞬、高原の周囲の霊峰が紫色に輝くといわれます。
この輝きを受けて育った瑞々しく、滋味深い野菜。
現在、ご予約承り中です!
お中元代わりにお野菜をお届けするというのもいいですね

2014年06月27日
手づくりを楽しむ山の暮らし(2)
こんにちは。夏至を過ぎ、そばの花が満開となり、そろそろ葉タバコの花が咲きそうな戸隠です。今年はマイマイガの幼虫が大量発生し、一部の山では笹の花が咲くなど、自然界では節目の年となっているようです。笹の花は約60年周期で開花し、その後笹薮は枯れ、同じ場所には二度と生えて来ないそうです。山で暮らしていると、自然の恩恵とともに、その不思議や厳しさを肌で感じることができます。
ということで、今回は山の恵み、竹にまつわるお話です。
6月のある土曜日、戸隠地区の南端、裾花川の左岸にある炭焼き釜で、竹炭の炭焼きが行われました。
主催者は裾花川右岸の下祖山地区を中心に活動している「下祖山ホタルの会」羽田静男さん。
竹林の間に、ドラム缶でできた炭焼き釜が2つ。10年程前にホタルの会の活動の一環として、長野市の補助金を得て作ったそうです。
過疎化が進む里山の竹林を活用して竹炭をつくり、できた炭はホタルの水路に入れて水質浄化に役立て、地区のバザーで販売することで地域の活性化にもつながればと、地道な活動を続けていらっしゃいます。
年に何度か炭焼きをするそうですが、毎年6月には淡竹の竹の子採りと竹の子汁もセットで楽しめるということで、私も5歳と2歳の子どもを連れて参加させていただきました。
釜の中に50cmほどに切り揃えた竹を並べ、点火してから約3時間、釜の中の温度を80度に保ちます。温度が安定するまでは扇風機や内輪で扇いで火力を強くする作業が欠かせません。
もくもくとよい調子で煙が上ってくると、竹の子汁づくりも始まりました。
まずは、皮剝き。先端から下に向って包丁で切り込みを入れると、簡単に剥くことができます。
次に食べやすい大きさに切ります。
そして洗って鍋に入れ、1回茹でこぼしてアクを抜き、サバ缶(水煮)とともに煮ます。

仕上げに味噌を融けば出来上がり!簡単ですが、この時季しか食べられない、長野ならではの郷土食です。
お汁が出来上がるまでの時間稼ぎ、というわけではありませんが、この日のもうひとつの目的を果たすため、子供を連れてお散歩へ。
炭焼き釜から数百メートル上がったの山の一角に「シンシュウゾウ化石の発掘の地」があるのです。
「貯水池のところに車を停めて、登っていくとお宮があるから、そこを通り過ぎて登って行くとあるよ」といわれ、
勢いで山に入りましたが、特に目印もないので心細く、下の子は怖がって「だっこして〜」....

林の陰にそれらしいものが見えたときには、大発見をした気分でした

褶曲した地層の中に、「シンシュウゾウ下顎化石 1983.11.6〜12.4発掘」と記されています。
発掘したのは当時戸隠小学校の5年生!こんな山の上で、よく発掘したなぁと、感心するばかりです。
ちなみに、現物は戸隠地質化石博物館に展示されているということで、後日見て来ました。
長野県の天然記念物。300万年前の地層だったと知り、改めて感心!
途中で竹の子など取りながら、再び炭焼き釜まで戻ってくると、ちょうどお昼。
アツアツの竹の子汁をいただきました!味噌汁が苦手で普段はあまり食べないお姉ちゃんが、お代わりをして食べたほど、おいしかったです!
(子ども達は竹の子ではなく、サバの身を喜んで食べていましたが)
竹炭の方はこの後3時間ほど加熱して、消火。
一晩冷まして、翌日、釜の蓋を開けてみると....
黒光りした竹炭が現れました!
羽田さんいわく「竹炭同士を重ねたときに、カラカラと締まった音がすれば、上出来」だそう。今回焼き上がった竹炭はとてもいい音がしましたので大成功ということです。
水洗いして炊飯器に入れて炊くのもよし、布袋に入れてお風呂に入れれば遠赤外線効果。トイレや押し入れの脱臭、除湿効果もある万能選手です。
我が家では竹かごに入れて机の上に置いてみると、とてもいい感じ♪散らかっていた机上を整理したくなり、勢いで掃除をしてスッキリ


2014年04月30日
戸隠が大山桜の名所に!?
こんにちは。いよいよゴールデンウィークに突入ですね。皆さまいかがお過ごしでしょうか?
標高1200mの戸隠高原ではミズバショウの花がまもなく見頃を迎え、これから二輪草にカタクリ、そして新緑が楽しめる、最高のシーズンです。
戸隠牧場のオオヤマザクラの古木の見頃は5月中旬頃(写真は昨年のもの)。開花が楽しみですね


先日、4月19日にはこのオオヤマザクラの実生を種木として植樹するイベントがありました。
一昨年から始まった「戸隠大山桜プロジェクト実行委員会」による5ヶ年計画で、戸隠高原を大山桜の名所に育てようと
5年間で500本の植樹を行う計画です!1本1万円でオーナーを募集し、毎年春と秋に植樹を実施します。
お手植えできない方は委託していただき、記念のネームプレートをかけさせていただきます。
実行委員長はご存知、山の庭タンネの里野龍平さん(写真左の青い作業服の方)。
この日は里野さんが育てた6〜7年目の若木25本を、県内外からの参加者15名程でお手植えしました。
7年目ぐらいの桜は、個体差はあるものの、ちょうど花を咲かせるホルモンが整う頃で、来シーズンは花が咲くだろうとのことです。
下界は上天気でしたが、標高1300m近い戸隠牧場は、厚い雲に覆われ、吹く風に手がかじかむような寒さ

それでも、皆さん思い思いにお手植えを楽しんでいる姿が印象的でした。
生まれ育った戸隠の地に何かを残したいという年季の入ったご夫婦、戸隠が大好きというご家族、戸隠ファンのグループの30周年に因んで3本植えるというパーティ、愛娘の誕生記念にと、生後6ケ月の赤ちゃんを連れて来てくれた一家...


ネームプレートをかけて、記念撮影

皆さまお疲れさまでした!
この木が大きくなる頃には子供たちも大人になって、私たちはもういないかもしれません。
戸隠高原の自然がそのままに残され、桜の名所となって更に多くのお客さまに癒しをもたらしてくれますように。
夢とロマンあふれる大山桜プロジェクト、皆さまの応援、よろしくお願い致します!
戸隠キャンプ場は明日5/1〜オープン。戸隠牧場にはもう少し温かくなった6月中旬頃動物達がやって来ます。
こちらもお楽しみに!
2014年03月27日
雪融けとともに

こんにちは。お彼岸を過ぎ、数日続いた春の雨で一気に雪が消えた戸隠です。お久しぶりの地面。大地にばりつくようにして生えている緑が愛おしい。こんな気持ちになれるのも、雪国で暮らす人の特権でしょう。
そんな春の訪れを感じつつも、年度末の波に忙殺され、3週間ぶりの更新となりました。
気がつけば、雪の下でじっと春を待っていた皆さんがあちらこちらに。
ふきのとうといえば、ふきみそ。この時期しか味わえない春の苦み。おやきの具としてもおいしいです。

写真はペンションころぼっくすで販売している「ふきのとうのおやき」。
さて、長い冬の間、制作にいそしんで来ました2つの紙媒体も晴れて刊行いたしました!
ひとつは「戸隠御案内手帖」。

戸隠にはたくさんの宿泊施設やお蕎麦屋さんをはじめとするお店がたくさんありながら、今までそれらを一覧できるガイドブックがありませんでした。
当然、地元の皆さんも、どこにどんな宿やお店があるかわからない、紹介しづらいという現状がありました。
そこで、観光情報はもちろん、岩戸神話をはじめ、戸隠に伝わる民話、どこで何ができるかという体験情報をひとまとめにしました。
そして、子供からお年寄りまで、幅広い世代の方に戸隠にお越しいただけるようにと、店舗紹介ページにはベビーカー入店、車椅子入店、離乳食持込み、そばアレルギー対応、ペット同伴等のおもてなし情報をアイコンで表示しました。戸隠観光案内所のスタッフが一番欲しかった一冊でもあります

表紙には一面に敷かれた鳥居のモチーフのどこかに「戸」が隠されている「戸隠ふろしき」を使わせていただきました!以前、「運を開く戸隠の贈り物」でも紹介した逸品です。
「戸隠御案内手帖」は昨秋制作した「戸隠おさんぽマップ」と併せて、平成25年度の長野県地域発元気づくり支援金を活用して生まれたもの。
住民自らが観光大使になっていただけるようにと、戸隠地区住民の皆さまには全戸無料配布します。
長野市内にある2ヶ所のこども広場、15園の子育て支援センター、さらに東京・有楽町の長野県移住交流センターにも設置します。
一般の観光客向けには戸隠観光案内所、戸隠観光協会事務局等で1冊100円で販売しております

そして、2014年ー2015年の歳時記を盛り込んだ戸隠総合パンフレットもリニューアル!

今年の表紙は、昨年同様「戸隠百首」の中の一首からテーマを決めました。
宣伝部の会議で皆さんの意見が一致し、選ばれた一句は
「うぐいすも暑さを知らぬ山なれば 常世の春と謡ひ鳴くらん」
夏も涼しい山では、ウグイスがいつまでも春のように鳴いている....
昨今、戸隠といえば「奥社杉並木=パワースポット」のイメージが先行しがちでしたが、高原の清涼な空気感が伝わるこの一首を、あえてそば畑と戸隠連峰の写真とともに登板させました!
そして御神輿と神職の行列のイラストは、来年行われる七年に一度の戸隠神社式年大祭の情報。
中面では同じく七年に一度の善光寺の御開帳と併せて詳しくご紹介しております。
来年、平成27年春には北陸新幹線が金沢まで開通し、4月末から5月末までは御開帳、式年大祭と、一大イベントが重なります。
新たな歴史を刻むための、準備と鍛錬の一年が間もなく幕を開けます。
もちろん、水芭蕉の開花や、野鳥の訪れを待つお客さまなど、長年戸隠の自然を目当てに通って来られるお客さまにとっては、そんなことは関係ありません。
一日一日を、一人一人のお客さまに寄り添って、学び、ともに楽しんで参りたいと、思いを新たにする春です。
2014年02月12日
戸隠で温盛そばを食す。

こんにちは。立春寒波でスキー場にとっては恵みの雪が降り、田畑も再び雪で覆われた戸隠です。
先週は季節外れの温かさに気持ちが緩んだのか、我が家でもインフルエンザウィルスが蔓延し、節分の豆まきもできませんでした

温かいものを食べて体をよく動かし、春までもうひと頑張り、雪の季節を楽しみたいものです。
ということで、今回は戸隠そば協同組合で実施している戸隠スキー場50周年企画「戸隠温盛(あつもり)半ざるそば」のご紹介です。
温盛そばは、そば処戸隠ならではの冬のそばの食べ方として、昔からあったものだそうですが、食べ歩きができる半ざるチケットを販売するのは初めての試み。私も初めて食します。
実施店は計15店。このポスターが目印です。

半ざる券(3枚綴り1,200円)は1軒目のお店でお求めいただけます。

「温盛」の名のとおり、温かい麺ですが、提供の仕方は各お店によって異なります。

麺を冷水で締めた後、温かいお湯をくぐらせたおそばは、ざるに盛られているのに湯気が立っていて、新鮮な感覚!
お店によってはつゆの温冷を選ぶことができます。私は冷たいおつゆでいただきました。

こちらのお店は、ざるではなく、かけそばスタイルの麺と冷たいつゆ。おそばの量は半ざる(3ぼっち)ですが、そば湯までいただくと、腹八分目。体もポカポカ温まりました


冬ならではのおそばとお店の個性が楽しめるこの企画。
もれなく、すばらしい雪景色も味わっていただけます。
ぜひご家族ご友人とお出かけください!

2014年01月15日
戸隠で「竹スキー」体験

こんにちは。キリキリと凍てつく寒さが続いておりますが、皆さまお元気でしょうか?
今朝は通勤路でニホンザルの親子を目撃。餌を求めて里に出てきたのでしょう。野生動物もこの寒い季節を乗り切るために一生懸命です。
さて、グルメ特集が続き、お腹のたるみが気になって参りましたので、今回は気持ちを引き締めて、戸隠スキー場へ。
開場50周年を記念して今季開設した竹スキーパークへ行って参りました!

竹スキー体験ができるのは中社ゲレンデ。実は、中社ゲレンデ初体験の私。
まず足慣らしにと、5歳の娘を連れて中社第一ペアリフト(415m)に乗りました。
子どもの練習にちょうど良い斜面で、スキー学校の生徒さんものびのびと滑っていましたが、1年ぶりのゲレンデに怖じ気づいた娘。寒さのせいもあったのか、転んでは泣き、結局スキーを脱いで徒歩で下山したのでした


竹スキーはレストハウスゾゼール横の戸隠中社スキー学校にて無料で借りることができます。

長靴(22cm〜28cm)もレンタルできます。

スキー場ができる前から子どもたちの冬の遊び道具であり、通学に使っていた人もいるという竹スキー。

太い竹を割った昔ながらのタイプと、3本の根曲がりだけを組んだタイプがあり、
いづれも竹細工生産組合の職人さんが作ってくださったそうです。
中社スキー学校の先生に実演していただくと、片手に紐をもち、片手でバランスをとりながら、スーッと軽快な滑り。

見よう見まねで乗ってみると、体がつんのめり、すぐスキーから足が出て止まってしまいました。
あまりに滑らない私を見て娘に「背中を押してあげようか」と言われる始末。
コツは「重心をかかとの方に置き、つま先を浮かせるようなイメージで滑る」ことだそう。

娘は緩斜面で直滑降の練習。母はその後ろから竹スキーでよちよち…。
端から見ればおかしな光景でしたが、ゲレンデでの恥はかき捨てということで。
スキーの原点を知るよい体験となりました!
18日(土)は中社ゲレンデにて恒例の戸隠どんど焼き祭りが開催されます。
日中はスキー&スノーボードに竹スキーを楽しみ、夜はどんど焼きと雪上花火大会見物というプランでお出かけください!
2014年01月08日
戸隠で「おら家の逸品」を味わう(2)

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。寒い日が続きますが、本年もホットでディープな戸隠の情報を発信して参ります。
どうぞよろしくお願い致します。
さて、七草粥もいただいて、お正月ぼけをリセットしたところで、まっているのは三連休

今回は、越水高原で昨年創業30周年を迎えたカフェレストラン「パイプのけむり」にお邪魔しました。
靴やブーツを脱いで、内扉を開けると、ジュータン敷きの店内にはテーブル席が12席、カウンターに6席。オーナーの高木進一さんが優しい笑顔で迎えてくださいました。
このお店の「逸品」はビーフシチューセット(はるにれ)。
お料理が運ばれてくるまでの間、オーナーにお話を伺いました。
窓辺には団伊玖磨の名エッセイ「パイプのけむり」が置かれていましたので、
店名は本のタイトルから?と伺ってみると、「直接はそうではないのです」
ヒントは学生時代の旅の経験から得たそうで、パイプは上昇するシンボルであり、パイプをくゆらすようにゆっくり、ゆったりとした時間を少しでも過ごしてほしいという思いから。

日本各地や近隣諸国を寝袋とバックパックだけで旅したという高木さん。
旅をつづける中で、キャラバンシューズを脱いで素足になったときの解放感がなんとも心地よかったことから、自分のお店では、靴を脱ぎ、直に上がってもらうスタイルにこだわったそうです。スリッパもないので、まれに冬など「靴を脱ぐのぉ~?」と帰って行くお客さんもいるとか!?
興味深い裏話はこの辺にして、お料理の紹介を。
まずは前菜「自家製ベーコンのソテー」をいただきましょう。
オーナー手作りのベーコンは、柔らかく、程よい脂と塩加減で、滋味深いおいしさ。
燻製は遊びで始めたというオーナー。商品になるまでは試行錯誤を重ね、桜とミズナラを混ぜたチップを使っているそうです。
ベーコンの脂でソテーしたりんご、プルーンはほんのり甘く、ベーコンの付け合わせとして絶妙な役割を果たしていました!
お次は、メインディッシュのビーフシチューとクロワッサン(ライスも可)。
見た目はさらっとしたスープのようですが、口に運んでみると、クリーミーな舌触り。ソースに溶けた野菜の甘みとコクが口中に広がります。
タマネギなどの野菜は細かく刻んだオーナー手作りのベーコンと一緒によく炒め、よく煮込み、丁寧に野菜の持っている甘さを出すようにしているそうです。牛肉は脂と赤身のバランスがよい三枚肉を使用。肉の脂がとろみとなって生クリームのようなクリーミーさを感じたのではないかと、オーナー。知人に頼んで焼いてもらっているというクロワッサンは、あっさりとした食事パン風で、シチューとの相性もばっちりでした。
お腹もすっかり満たされたところですが、別腹で食後のデザートを。
まずは、ヨーグルトシャーベット。
シャリシャリの食感で、後味さっぱり!
寒い日に、温かい部屋でシャーベットをいただくなんて、最高の贅沢ですね☆
そして、締めはコーヒーとケーキ!
本日のケーキの中からおすすめの「りんごとくるみの木」を注文しました。
香ばしいくるみのコーティングの下に、ふんわり、しっとりとした食感のケーキ。りんごの甘みが感じられるやさしい味で、大きなりんご(フジ)はあえてシャキシャキ感を残しているそう。
戸隠周辺で採れたものを使ったケーキづくりはパイプのけむりの原点だとオーナーは語ります。
特に、戸隠のおいしいジャガイモを使ったケーキは、30年のロングセラーで、お店のケーキ作りの基本になっているとのこと。次回はぜひ食べてみたいと思います!
ビーフシチューは単品(1,000円)でもOKですが、前菜に、パン、デザート2品と飲み物が付いたセットは2,000円で断然お得!
また自家製カレーのセット(1,300円~)も人気だそうです。スキー場やご参拝の帰りに、おススメです。
最後に、心地よいボサノバのBGMや店内の絵について尋ねると、
BGMはアコースティックギターの第一人者佐藤正美さんのCDで、佐藤さんはパイプのけむりの常連客でもあるそう!昨年は創業30周年を祝い、「戸隠パイプのけむり」という作品を書き下ろし、ライブ演奏をしてくださったそうです。この楽譜はそのときに贈呈されたもの。
壁にかけられた水彩画は、奥さんの作品!
色彩が素晴らしく、見入ってしまいました。(トップの随神門の風景も同)
高木さんご夫妻の手づくりと笑顔に出会える「パイプのけむり」へ、ぜひお出かけださい。
2013年12月26日
戸隠で「おら家の逸品」を味わう(1)
こんにちは。抜けるような青空が雪景を引き立て、戸隠連峰の神々しさがより一層際立つ冬の戸隠です。
さて、戸隠神社をはじめ、宿坊や家々に新しいしめ縄や松飾りが用意される時期となりました。
戸隠神社奥社では大晦日の夜、参道に灯籠を並べ二年参りのお客さまの足元を照らす「戸隠送り火迎え火」が実施されます。ゆく年に感謝し、新たな年神様を迎える特別な夜。寒さも特別なので、ぜひスキーウェア等で防寒してお出かけくださいね。
初詣を計画されている方も多いかと思います。
ご参拝やウィンタースポーツで、寒い戸隠にいらした後、おすすめしたいのが、「おら家(っち)の逸品」。戸隠スキー場開場50周年にちなみ、18軒の飲食店、5軒の宿泊施設で冬季限定メニューや自慢のメニューを一挙公開しています。

チラシに勢揃いした「逸品」を見るとどれもおいしそうで、お腹が空いてくること必至!
花より団子、スキーよりグルメ派の食いしん坊さんのために、今回からシリーズでいくつかの「逸品」をご紹介して参ります!
最初に訪れたのは、越水ゲレンデから車で2分、昨年創業50周年を迎えた山小屋「山の庭タンネ」です。
オーナーの里野龍平さんは、戸隠スキー場開場前から私設のタンネスキー場をつくり、村営のスキー場開場にも尽力したお一人。現在は宿泊だけでなく、フレンチのシェフとして経験豊富な息子さんの里野モミイチさんと晋吾さんのつくる本格的なコース料理等が楽しめるレストランとして地区内外にファンを集めています。
そんな、戸隠のスキーの歴史と縁の深いタンネさんが、スキー場開場50周年を祝って提供しているのが、「王様のビーフシチュー」。
美人の女将さんからワイングラスにおいしいお水が注がれ(仕事中でなければ赤いものをいただきたいですが)、サラダと焼き立てのパン(ライスにもできます)がサーブされると、わくわく感が募ります。
本日の料理人、モミイチさんがメインディッシュを持って登場。
「王様のビーフシチュー」に使っているのは、牛肉の中でも希少な部位のひとつで、柔らかな肉質と程よい脂があり、コラーゲンたっぷりな「ほほ肉」だとの、説明がありました。
深いワイン色に色付いたお肉が3切れと、ニンジン、ゴボウ、レンコン、シイタケ。目でじっくりと味わってから、感謝して頂きます!
ビーフの旨みと根菜の甘みが溶け込んだソースはこっくりと濃厚な舌触り。
ほほ肉は、ナイフとフォークがすぐ通り、口に運ぶ前からその柔らかさを感じます。
食べてみると、想像以上の柔らかさにほっぺたが落ちそう!見た目のボリュームはありますが、脂っこさはほとんどないので、どんどん食べてしまいました。
「王様のビーフシチュー」のネーミングの由来を伺うと、実際に王様が食べたというエピソードが!
そもそも、1998年の長野オリンピックの際、各国VIPをもてなした迎賓館で料理を担当していたモミイチさんが王室の方々にも提供したところ、大変喜んで召し上がられたそうです。
スキー場開場50周年のこの冬は、「おら家の逸品」キャンペーンに併せ、お客さまへの感謝の気持ちを込めて、このメニューを提供することに。使っている根菜類はほとんどが戸隠産。「戸隠の土壌の味も楽しんでほしい」とアクも含めて長時間煮込んでいるそうです。
お皿に残ったシチューも、パンに付けてきれいに平らげると、絶妙なタイミングでデザートとコーヒーが。
紅玉りんごのパイと牛乳のシャーベット。紅玉の皮のソースとバルサミコで彩られて、オシャレな一皿。シェフがテーブルでカラメルソースのサービス。
ひんやり、さっぱりとしたほのかな甘さで、ビーフシチューの後のデザートにぴったりでした。
「王様のシチュー」のお食事は要予約。キャンペーン期間中(12/14〜4/6)に限り、シチューセット(サラダ、パンorライス、デザート、コーヒー付き)が特別価格の1,890円でお楽しみいただけます(単品1,260円)。テイクアウトも可能です。冷凍パックを湯煎で温めるだけで、ご自宅でシェフの味が楽しめます。お土産としてもおススメです!
越水の素晴らしい雪景色を眺めながら、至福のひとときを。ぜひ大切な人と一緒にお出かけください!
2013年12月19日
戸隠「ゲレ食」事情。

こんにちは。12月の初めは温かな日が続き、スキー場は予定どおりオープンできるのかとやきもきしていましたが、
ご覧のとおり!おかげさまで今シーズン開場50周年を迎えた戸隠スキー場です。
スキー場への道中、戸隠中社から上の路面は既に圧雪。道端の雪の壁はまだ40cm〜50cmほどですが、雪と冬枯れの木立の風景は静かで、神秘的で、素敵です。

上の写真は県道36号線(奥社前の通り)から越水ゲレンデへ向う道中で撮ったものですが、この道とスキー場駐車場が舗装され、とても快適に通行できるようになりました!
さて、本日の目的は、スキーではなく、ゲレ食!
レストランシャルマン戸隠の入口には、大きなとがっきーとクリスマスツリーがお出迎えしてくれました。
開場50周年を記念して、かつての名物メニューが復活したというのですが…。
今シーズンのスキー場スタッフのイチオシ。「高千穂牛のステーキ丼」(1800円)です!
なぜ「高千穂牛」かというと、天岩戸神話伝わる戸隠は、旧村時代から同じ天岩戸伝説の舞台、宮崎県の高千穂町と姉妹都市のお付き合いをしているのです。
毎年地区内の中学生が交換でホームステイなども行っています。そんな南の地を思い浮かべながら、感謝していただきます!
たっぷり盛られたライスの上に、1cmほどの厚みのステーキが5切れ。見るからにボリューム感があります!
お肉を一口、いただいてみると…ふんわり、やわらかな食感に驚きました

若者向けのゲレ食らしく、おろしニンニクベースの甘塩っぱいタレがかかっていましたが、シンプルに塩こしょうかおろしポン酢でいただいてもおいしそうです。100gのステーキと野菜のソテー、たっぷりのごはん。お味噌汁と野沢菜がついて1800円。
少々お値段ははりますが、ここ一番のパワーをチャージしたいときに、おススメです!
ちなみに、この高千穂牛のステーキ丼、長野県内のスキー場のゲレ食の人気投票「ゲレ食バトル」にも戸隠代表としてエントリーしているそうです。
売店では、夏にキャンプ場の回でご紹介した戸隠と長野の名産品をセレクトしたコーナー「となたな」が、スキー場仕様になって登場しておりました。
12月21日(土)には、開場50周年記念イベント第1弾「戸隠そば振る舞っちゃいます!」が行われます。
15時から限定500食で振る舞いますので、ゲレンデで滑った後に戸隠そばをお楽しみください。
最後にもうひとつご紹介。今シーズンスキー場に初登場の「戸隠カード」です。
戸隠カードはリフト券が会員価格で購入できる会員カードです。スキー場受付カウンターで申し込むと、その場でこのカードが発行されます。
カード発行手数料が300円がかかりますが、入会キャンペーン期間は無料です。購入金額100円につき1ポイントがたまり、たまったポイントはリフト券などと交換ができるほか、スキー場では100ポイント(100円)単位でお支払い時に使うことができます。今後、戸隠内の宿泊施設や飲食店等でもお得なサービスが受けられる予定。戸隠ファンの方々ためのカードとして輪が広がっていきそうです。
2013年10月25日
戸隠の「そば玉」。
今週、紅葉のピークを迎えております戸隠高原。
普段は観光客で混み合う鏡池ですが、今朝は嵐の前の静けさ。
霧に包まれながらも、赤や黄色の樹々が池に映り込み、じっと眺めていたいような幻想的な風景でした。
(トップ画像は宝光社から鏡池へ向う林道から)
先週末は紅葉祭り、今週末は信州戸隠トレイルランレース、そして、11月1日は戸隠新そば献納祭と、イベントが目白押しの秋。台風の進路も気になりますが、雨も風も自然の恵み。自然との調和を楽しみながら、秋を満喫したいものです。
自然の恵みといえば、「戸隠そば」もそのひとつ。
来月1日からの新そば祭りに供え、各方面で準備が進められています。
こちらは、新そばが入りましたという目印の「そば玉」。

戸隠の農工商が連携した名物を、ということで、7年前から制作が始まり、
今では戸隠そばのシンボルとして、すっかり定着しました。
新そばを祝う「太鼓」をイメージしたデザインで、竹細工の部分は中社地区の井上竹細工店さんが編み、杉の部分は上祖山地区のやまぐち園芸さんが担当。





竹の切り出しから、杉の加工まで、数週間かけて33個のそば玉が出来上がりました!

完成した「そば玉」は戸隠神社にて祓い清められ、真ん中の丸い輪の部分に「戸隠神社」のお札をぶら下げ、11月1日からは戸隠地区33軒のお蕎麦屋さんの門前に掲げられます。
新そばを食べに来られたら、ぜひこの「そば玉」にも注目してくださいね!
(取材協力:井上竹細工店・やまぐち園芸) 続きを読む
2013年08月09日
戸隠で夏休み。(2)〜牧場でカフェランチ〜
こんにちは。
お盆真近、真夏の日差しが照りつけておりますが、吹く風は爽やかな戸隠です。
キャンプ場の近くの沢では、夏休みの子どもたちの元気な声が響いています。
(トップの写真はキャンプ場入口付近に咲くコバギボウシ)
ということで、夏休み企画第2弾!今回は戸隠キャンプ場(牧場)内でゆっくりしたい時におすすめのカフェをご紹介します。
この看板を目印にキャンプ場を通り過ぎて、牧場の入口へ進みます。
牧場のゲートを通過すると右側に現れるカフェ フルーリーです。
(別途牧場入場料:200円)
フランス語で「花が咲く」という意味のフルーリーさんは、
以前にそばスイーツ特集でご紹介したそば粉入りのケーキを焼いていらしゃる
曽根原ユカさんのお店です。
木の風合いがやさしい雰囲気の店内はテーブル席が28席。
ギャラリースペースにはオーナーのご主人でプロスキーヤーの曽根原忠さんの作品が常設されています。
戸隠の自然風景を中心に、季節ごとに入れ替えながら展示しているそうです。
戸隠牧場内で唯一のカフェということで、人気のお店。
2004年にオープンし、間もなく10年目を迎えるフルーリーさん。
ケーキやそばソフトなど、カフェメニューも人気ですが、
今回はランチタイムのおすすめメニューということで、
そば粉入りのオリジナルピザ(直径27cm)1300円(そば粉の有無は選択できます)をいただきました。
桜のチップで自家薫製したベーコンと、戸隠産のトマト、タマネギ、ピーマンにチーズがたっぷり。
バジルの香りが食欲をそそります。
クリスピータイプの薄い生地は、サクサクの食感。
1割ぐらい入っているというそば粉の風味が、香ばしくて美味!
ピザは全部で6種類、フルーリー特製スパイシーカレーや、パスタなどもあり、
ご家族やお仲間なら、数種類を取り分けて食べるのも楽しいですね。
そば粉入りの焼き菓子(各400円)はお土産にぴったり!
戸隠山と高妻山の登山記念バッチもお求めいただけます。
オープンテラスで山を眺めながら、一服するのも気持ちよさそう!
犬連れのお客さまも安心です。
カフェ フルーリーの営業は5月1日~11月3日の期間限定(不定休)。
10時~16時半までです。
夏休み、戸隠キャンプ場や牧場へお出かけの際は、
ぜひお立ち寄りください!
2013年02月21日
郷土食を楽しもう。

こんにちは。長い冬のある信州ならではの食べ物といえば、漬け物、おやき、そしてヤショウマ。
今回はこの風変わりな名前の郷土食に注目です。
ヤショウマとは米の粉で作った細長いお団子。特に決まった形はなく、地域によって花形にしたり、中に海苔やゴマ、色を付けた粉を練り込んで金太郎飴のように絵柄を作ったり。
そもそもヤショウマとは旧暦2月15日のお釈迦さま涅槃会(ねはんえ)に仏さまに供えるもので、昔はお寺へヤショウマをもらいに行ったりしたそうです。
その名前の由来については諸説ありますが、有名なのはブッダが入滅の際、弟子の”ヤショ”が好物の団子をつくったところ、
「ヤショ、うまかったぞ」とおっしゃったという説。
これは、ブッダが日本語をしゃべったのか?との突っ込みも併せて話のネタになります

現在は出来上がったものがスーパーで市販され、家庭で作ることは少なくなっています。
残念ながら我が家でもお婆ちゃん、お姑さんが既に他界してしまっているので、嫁の私はこれまでもらって食べることしかありませんでした。
今年は手作りのものを子どもと一緒に食べたいなぁ...。
ということで、先日、戸隠地質化石博物館で行われた公民館主催のヤショウマ作り講習会に参加してきました。
講師は小川村在住の松本博子先生。
先生は、長野県産の米を使うこと、色づけには天然色素を用いることにこだわって、ヤショウマづくりをしているそうです。
ヤショウマ2本分の材料は米粉500g、砂糖50g、塩大さじ2分の1(好みに合わせて加減する)、片栗粉少々、着色料(ビート、抹茶、ごまなど)、熱湯375cc。
①米粉、砂糖、塩を入れたボウルに熱湯を少しずつ加えながらさえ箸で混ぜます。なじんできたら手でひとまとめにします。
②生地を8等分ぐらいに分けて、おせんべい状にし(しっかり固めず、空気が適度に入るように)、蒸し布(又はクッキングペーパー)を敷いた蒸し器に入れて約20分蒸します。
③蒸し布に包んだまま持って水を張ったボウルに入れて冷やします。(冷やしすぎるとまとまりにくくなるので注意)

④水気を切って、ボウルに移し、手でしっかりこねます。
先生はコネこそがヤショウマ作りの最重要ポイントとおっしゃっていました。
力のいる作業ですが、よくこねられていれば、後の作業がやりやすくなるので、根気よくこねます。
初めはクチャクチャと音がしますが、「こねて返す」を繰り返すにつれて音がなくなり、手やボウルにもつかなくなってくるということ。
不器用な私がやると、どうしてもボウルにくっついてしまい

⑤こね上がった生地を色づけする分量に分けます。
今回は白5分の2、ピンク5分の3(そこから緑分を5分の1ぐらいとる)
⑥ピンクは食用ビートで色付けしてからごまを入れてなじませ、手の平大の楕円形にまとめる。
⑦緑は抹茶を練りこんで着色し、太めの棒と細めの棒を2本つくり、太めの方は三角錐になるように両側を指でつぶす。
⑧白はピンクを巻けるようにのし棒で長方形に伸ばし、両端を少し切って細長い棒を2本作っておく。
さあここからがマジックの始まり!
⑨⑥の頂点に濡らした包丁で切り込みを入れます。

⑩⑦の三角錐を裏返しにして切り込みにはめてなじませる。
(穴があきやすいのでそれぞれのパーツはしっかりとつける)
⑪緑の細めの棒をその頂点にくっつけ、その両脇に白の棒を付けて固定する。
⑫ ⑪を白の長方形で巻いて包む。
中身が出ないようにはじを押さえながら、細長く伸ばし仕上げる。
力を入れると形が崩れないかと不安ですが、空気が抜けてパーツがくっつくように、しっかりと伸ばします。
⑬片栗粉をまぶして完成です!上手にできたかな?

できたてのヤショウマを切り分ける際はミシン糸を使います(木綿糸だとくっつきやすいそう)。
この日は更に難易度の高いウサギにも挑戦!

目の部分はココアで色づけ(後から気づきましたが、目は大きい方がかわいいので棒は太めにした方がいいです)。
耳が座ってしまいましたが、なかなかかわいくできました!

できたてほやほやのヤショウマはモチモチの歯ごたえ。ほんのり甘く、お茶請けに最適でした。
家に持ち帰って子どもに見せると大喜び

食べてみると予想していたほど甘くなかったようで「味がしな〜い」と言っていましたが...。
翌日、砂糖を少しふりかけて温めたものを出すと「おいし〜い!」と笑顔

手間はかかりますが、作る過程も楽しいヤショウマ。
昔は各家庭で作ったものをご近所で交換したり、お客を招いてお茶請けにしたり、おやきと同じく、ヤショウマづくりが農閑期の娯楽のひとつだったのでしょうね。
家事に仕事に忙しい毎日ですが、食文化として子どもたちに伝えられるように、
雪のある間に何度かつくって、練習を重ねたいと思います。
ちなみに今年の涅槃会は3月26日です。
2013年01月15日
戸隠の手しごと。
寒中お見舞い申し上げます。
1月20日は大寒。暦の上でこれから節分までが最も寒い時期ですね。
けれど、あと2週間を乗り切れば、暦の上では春!
たとえ、気休めだとしても、少しゴールが見えたようで、嬉しくなるのは、私だけでしょうか?
さて、今日の話題は戸隠の竹細工。
講や参拝客がめっきり少なくなる冬の間、
戸隠中社界隈で行われてきた生業といえば、竹細工です。
戸隠へお越しになってお蕎麦を食べた方なら一度は目にしたことがあるでしょう。
根曲がり竹と呼ばれる細い竹を使って編まれた笊やお土産物の様々な竹製品。
水切れがよく、丈夫な笊は、我が家のお勝手でも重宝しています。
戸隠の竹細工の歴史は古く、ルーツは400年以上前にさかのぼります。
伝えるところによると、慶長7年(1602)、大久保石見守の北越巡視の際、
中社の徳武源太左衛門が柏原まで随行した折、
当地住民の生活の資料として、越後街道沿いに豊富に自生する竹を伐採する許しを得、
年貢として竹を納める事になったそうです。
(資料:中社竹細工生産組合「竹細工の話」)
以下は、ノーベル賞作家・川端康成の紀行「牧歌」の中の戸隠を題材にした部分から抜粋です。
「ちょっと小綺麗な土産物といふんぢゃなく、箕だとか、笊だとか、大きな籠だとか、実用的な百姓道具や台所道具が多いでせう。嵩(かさ)張って、手軽に持って帰れやしません、いい加減な郷土芸術や農民美術でないのが、いいですよ。花器なんかも、妙に凝った飾りがない。」
これぞ、戸隠竹細工の本質を突いた名文!
実用的というところがポイントです。
私はいつもこんな籠を車の中に入れてあります。身の回りの物が出し入れしやすく、
スーパーに行けば、「それ使いやすそうでいいねえ」とほめられます。
以前、娘が通う保育園の先生から、大きめの籠を戸隠の竹細工店で買ってくるようにと頼まれたことがあります。
焼き芋をするために掻いた落ち葉の中の砂利をふるうのに具合がいいそうです。

特大サイズの籠は長野新幹線のごみ集めにも使われているとか。
時代の流れとともに、竹細工を営む職人さんの数は減り、現在は20人弱、後継者不足も心配です。
けれど、戸隠そばがある限り、戸隠の竹細工も継承されていってほしい、と心から思うのです。
取材協力:原山竹細工店、井上竹細工店、江戸屋みやげ店