2016年01月29日
戸隠冬物語

こんにちは。大寒から節分までが最も寒い時期といわれますが、まさにその真っ最中。雪も積もり、冬らしい日々が続いております。
我が家では流行りのウィルス性胃腸炎が蔓延してしまい、インドアな生活が続いておりましたが、皆さまはいかがでしょうか。
異常気象で、寒暖の差が激しく、−10℃の冷え込みになったかと思えば、日中は10℃以上になる日もあるとくれば、山で暮らすのには本当に忍耐が必要だと、つくづく思ってしまう今日この頃です。

とはいえ、冬の自然は厳しさとともに、感動的な景色を見せてくれることも確か。
名作『戸隠の繪本』にて津村信夫は、戸隠の冬景色をこんな風に書いています。
ー雪の降りやんだ後の、山の上の空工合は、一寸はにかんだやうな紅色が、うつすらと雲をふちどつてゐる。ー
(原文は旧仮名遣い)
この一節が表すように、冬の晴れた朝、朝陽を受けて光る山の光景は、まさにうっとりするような美しさです。

(写真は飯縄山)
そして、この季節の夜空の美しさもひとしお。
スマートフォンではこんな写真しか撮れませんでしたが、十六夜の月あかりに誘われて外に出てみると、満天の星空が迎えてくれました。

戸隠スキー場では、3月20日に「冬の夜の探索」というイベントが行われます。
満月の夜なので、晴れていれば月あかりに照らされるスキー場を散策できるこのイベント、昨年、一昨年参加された方からの反響がとてもよく、今年も実施されるそうです。私も今年こそ参加したいなと考えています。ご興味のある方は、ぜひ計画してみてください

雪はありますが、戸隠バードライン等、主要道路はきれいに除雪されています。

圧雪状態で凍結している場所もありますので、お車もお足元もどうぞお気をつけて。
そして、冬の戸隠へ来たならば、ぜひ冬ならではの逸品を。
こちらは大久保の茶屋の「おら家の逸品」。
冬はこのそばを食べなければ落ち着かないというリピーターも多い、”石巻産の牡蠣そば”です。
以前のブログでも紹介した東日本大震災の被災地宮城県に戸隠産の桜の苗木を植える「戸隠大山桜プロジェクト」でご縁のあった石巻市の小川水産から直送の大きな牡蠣を使っているそうです。
メニューの背景にある物語を知ってから食べると、ますますおいしくなりますね。
スキーやご参拝の後におすすめです!
2016年01月06日
戸隠の松の内。

こんにちは。松の内が過ぎましたが、遅ればせながら、新春のお喜びを申し上げます。
これほど雪のないお正月は、戸隠へ嫁いできて初めての経験。「楽でいいね」と、地元の人はいいますが、なんだか物足りないのもたしか。
それでも大晦日に年神様が連れてきた雪は、子供達にとっては、願ってもないお年玉


初詣は3ヶ日を外して、戸隠神社へ。
今年は子供と女性の護り神と言われる宝光社へ参りました。
雪の多かった昨年のお正月は子供連れで参道の石段を上るころは不可能でしたが、今年はご覧のとおり。

季節を間違えたのではありません。これも自然の姿。
ひとまず、寒さに震えることなくお参りできたことに感謝。
何度見ても飽きないのは、社殿の彫刻。

幕末の宮大工・北村喜代松が残した文化遺産です。
参拝のあとは、もちろん戸隠そば。

こちらは、「おら家の逸品」キャンペーンにも参加しているそば処千成の「鬼除けまぜそば」。鬼除けの納豆に、四方を固める(四方除け)のはとろろ、野沢菜、ネギ、かつお節。
温泉卵でスタミナばっちり、食べ応えも充分です!
来週末1月16日(土)には毎年恒例戸隠どんど焼き祭りが行われる戸隠。
雪を待っている方も、そうでない方も、初詣と併せ、冬ならではの逸品を味わいに、ぜひお越しください。
2015年12月19日
三度目の冬、おら家の逸品。

こんにちは。先週はオープンを目前に控えたスキー場で、まさかの雨。
師走も半ばというのに、コートもいらないような陽気が続いていましたが、週末はようやく寒気が戻り、小雪降る朝となりました。
スキー場での積雪を祈る戸隠です。
さて、今季3回目となる「おら家(おらっち)の逸品」キャンペーンが始まりました。
冬に熟成され、最もおいしくなる戸隠そばと併せて、各店の冬の「逸品」をおすすめする企画。
3軒で逸品メニューを食べ、台紙にスタンプを押された方は戸隠スキー場にてリフト1日券と引き換えることができる(先着50名)スタンプラリーも開催!今季は17店で19品の「逸品」が用意されています。
今回は、この冬初参加となる2軒をご紹介します。
まずは、戸隠バードライン沿い、戸隠地区のおそば屋さんの中で最も東に位置する名店・たんぼそば店から。

具だくさんの野菜がたっぷり入った味噌仕立ての「お煮かけそば」です。

「おらほぅでは冬はいつもこれさ」と、柔和な笑顔が印象的なご店主・小林さん。
「本当は干葉(ひば;乾燥させた大根葉など)を入れるとうまいんだけど、ちょっとにおいがあるからお客さんによっては嫌がる方もいるから」と、試行錯誤してこのスタイルに。
丼が空になる頃には、お腹の中からぽかぽかと温まって、またひと滑りするか、という気持ちになること間違いなし!

たんぼでは、そば粉が入ったおやきも人気。
旬の具材がたっぷりと入った蒸しおやきは、小ぶりなので、サイドメニューとしてはもちろん、お土産にしても喜ばれるでしょう。
クマザサに包まれているのも、粋ですね

お次は、標高1200メートルの中社へと、一気に登ります。

戸隠神社中社大鳥居右側の徳善院蕎麦極意のこの冬のおすすめは、「にしん蕎麦」。
お煮かけそばと同様、冬の戸隠では昔からよく食べられてきた逸品だそうです。

実は私、「身欠きにしん」が苦手...
撮影が終わった後に、おいしいから食べてみてと薦められたときも、内心、食べられるか不安だったのですが...。
思い切ってにしんを一口。
甘露煮にされたそれは、思いの外やわらかく、小骨もなく、「にしんってこんなに食べやすかったの?」と思うほど

にしんの甘みと、温かいそばの相性も素晴らしく、小鉢も2品ついて、大満足の逸品でした。
お店の若女将も、「私もにしんが苦手で普段は食べないんだけど、この蕎麦なら食べられるんです」と笑顔。
ちなみに、宿坊極意は、以前の記事でご紹介したことがありますが、国の登録有形文化財にも登録されている建物。
雪が積もった茅葺屋根の景色も壮観です。
おそばを食べた後は、戸隠神社の参拝はもちろん、戸隠の昔ながらの暮らしを感じてみてください。
2015年11月26日
戸隠の冬じたく。

こんにちは。巨大低気圧の発生により、一夜にして冬がやってきた戸隠。
11月末まで降雪がなかったことの方が奇跡なのですが、穏やかな「晩秋」にボケてしまった体が、久々のピリリとした冷気に引き締まった感じです。
例年よりも温かかったとはいえ、冬を迎える準備はいつも通り。
この時期にどの家でも見られる風景は、軒先に干した大根、たくわんや野沢菜漬けの準備。

数十年、百年昔からあった暮らしの姿が、山間地域では今なお健在です。
そして、宿坊を始め、お庭のあるお宅では庭木の雪囲い。

長い冬を耐え、春に再び芽生え、花を咲かせてくれることを願って。
さて、観光協会でもウィンターシーズンに備えて、着々と準備を進めております。
今季で3シーズン目となる冬のおすすめグルメ「おら家(おらっち)の逸品」キャンペーンは、新規参加のお店や、新メニューの登場もあり、賑やかなラインナップとなりました。
今回も「逸品」を食べてスタンプを3つ集めると、戸隠スキー場のリフト券と交換できるお得なスタンプラリーを実施します(先着50名様)。
寒い季節ならではの、あつあつのお蕎麦や.....

甘党にはうれしいそばスイーツも


ポスターも出来上がり、間もなくウェブサイトも公開となります。

「おら家の逸品」キャンペーンはスキー場のオープンに合わせ2015年12月12日〜2016年4月3日まで。
どうぞお楽しみに

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2015年11月11日
光るは落葉松 香るは新そば

こんにちは。
立冬を過ぎた割には穏やかな晩秋の日々が続いている戸隠です。
既に葉を落とした樹々が多い中で、今なお目を楽しませてくれるのはカラマツの黄葉。日光の当たり具合によって、光るように見えたり、シックな辛子色になったりと、なかなかの演技派俳優です。
善光寺から七曲りを経て、飯綱高原へ向かう谷あいの黄葉も見事です(思わず車を停めて写真を撮りました)


さて、10月31日には、戸隠神社中社にて新蕎麦献納祭が行われ、第46回目となる戸隠そば祭りが始まりました。

今年の献納蕎麦切りの舞台は、中社大鳥居前の五斎神社。

豊穣への感謝を込めて、選ばれた新鋭の職人達が心を込めて捏ね、打ち、切りの行程を披露しました。

新そばならではの瑞々しい香りと、噛むほどに感じられる甘み。皆さまはもう体験されましたか?

各店の味が食べ比べられる「半ざる食べ歩き」は11月24日まで。戸隠地区内の各店(ポスターが目印)で実施しています。
そば祭りの詳細は、「戸隠そば祭りHP」でご確認ください。
また、中社の戸隠観光情報センターの2階では、歴代のそば祭りのポスターやパネルを展示しております(ネパール震災支援雑貨市も開催中♪)

この時期、落ち葉の絨毯が敷き詰められた古道を歩き、お腹を空かせてからおそばをお上りいただくのもおすすめです。
冬将軍がやってくる前の束の間の静けさを味わいに、ぜひお出かけくださいませ。

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2015年09月24日
戸隠連峰の麓で秋を味わう

こんにちは。9月に入ってから日照時間が少なく、作物への影響も心配されていましたが、シルバーウィークはお天気に恵まれ、ツタウルシやオオヤマザクラなどなどが色づき始めました

紅葉を楽しみに山行を計画している方もいらっしゃるでしょう(私もそのひとり)。
そして、もうひとのお楽しみは、旬の味覚・きのこ。
そば処の戸隠では、この時期、多くのお店できのこをメインにしたおそばが供されます。
ということで、今回は日本百名山高妻山の登山口、戸隠牧場入り口の老舗・手打ちそば岳(がく)を訪れました。

ログハウスの店舗は、新しいお店のようですが、創業は昭和27年。3代目の曽根原公夫さんが15年程前に建て替え、昨シーズンからは息子さんで、プロスキーヤーの曽根原功さんを迎えて親子で営まれています。
木の香り漂う店内でまず目につくのが、この書。

そして、店内のお品書きやメニューも全て手描き。イラストも精密で味があります。

なんと、すべて功さんが描いたものだそうです!

おすすめは「きのこそば」ということで、迷わず注文致しました。
そばを待っている間に、「天然きのこの前菜プレート」をいただきます。

左から、カラマツだけのゆずこしょうおろし、天然きのこのみそ漬け、アイシメジの炙り焼きこがし醤油がけ(天然きのこは採集状況によって変わります)。
きのこのみそ漬けは、初めて食べましたが、きのこのコリコリした食感が残って旨い!酒の肴にも合いそう....

そして、湯気をまとっておそばが運ばれてきました。

麺が見えないほどのきのこのボリュームに驚きつつも、「冷めないうちに」ということで、つるっといただきました。
かつおときのこの出しに、太めに切られた麺、そしてきのこのぬめり感が絶妙に絡み、口の中にはそばの甘みが広がります。
取材した日はストーブを焚くほどの肌寒い日でしたが、食べているうちにお腹の中からほかほかと温まりました。
いつもはざるそばしか食べないお客様でも、この時季だけは温かいきのこそばを注文する人が多いとか。
「温かいそばは、そばの甘みを味わうことができる」と話すご主人。
きのこは毎朝ご主人自らが、お店を開ける前に山で採ってくるそうです。
「毎朝ですか!?」と驚くと、「採れる日と採れない日があるから、店で出すには毎日入らなければ間に合わないよ」と笑って返されました。
きのこ採りは子どもの頃から親について山へ入り、自然に覚えたそうです。
山で暮らす人にとって、きのこは身近な食べもの。その呼び方にも愛称があります。
たとえば、アイシメジは「きんたけしめじ」、ナラタケは「もたし」、カラマツダケは「はないぐち」など...。
これからの時季はクリタケなどが採れるそうです。
お店には、日本酒のメニューも充実しています。

以前は1種類しか出していなかったそうですが、功さんがお店を手伝うようになってから戸隠ならではのお酒を、ということで戸隠雪中酒やそば焼酎玄などを揃え始めたところ、お客様にも好評とのこと。キャンプをしに来た人がお昼に飲んでいくパターンも多いそうです。
そして、功さんセレクトのお薦めのお酒はこちら。

なんと、戸隠で栽培された酒米を使った初めてのお酒!
「幻舞」で有名な川中島の酒千蔵野で醸されたということで、その名も「戸隠の舞」。そして、ラベルデザインは功さんの作品です。
酒米を栽培したのは戸隠豊岡にある山口ファームの山口皓(ひかる)さん。戸隠にも地酒がほしい…という思いから始まり、中社の越後屋酒店や戸隠の農業を担う関係者の間で2年前から準備を始め、平成26年に厳しい等級試験に見事合格したとのこと。原料栽培から商品化までまさに戸隠オリジナル!戸隠人の熱い心がこもったお酒です。
戸隠の舞(生酒)は、手打ちそば岳、戸隠神社宿坊いろりのそば処築山館等でいただけるほか、中社の越後屋酒店で購入することもできます。
また、おみやげ処宝泉、戸隠そば山口屋では、火入れをしてより日持ちする「戸隠の舞」を販売しています。
いづれも、数量限定ですので、気になる方はぜひお早めにお出かけください!
紅葉とそば、きのこ、そしてお酒。
ますます楽しみが広がる戸隠の秋です。
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2015年03月25日
戸隠人の手仕事きらり。
こんにちは。今朝は雉子の鳴き声で目を覚ましました。いよいよ野鳥達の繁殖期。庭にはキビタキやセグロセキレイの姿も。外に出るのが楽しみになってきました。とはいえ、彼岸を過ぎてまた寒が戻った戸隠。大人も子どもも体調管理に気をつけなければならない年度末です。
さて、今日は信州戸隠そばの実にて現在開催中の『戸隠人の手仕事』展のご紹介です。
陶芸家、染織家、織物作家....戸隠にはさまざまなアーティストが暮らしていますが、地区内でその作品に見たり触れたりする機会は少ないもの。
そばの実の二代目、徳武祐介さんの発案で今回はジャンルを超えて11人の作家の作品が集められました。
楠田美重子さんのホームスパン(羊毛を手で紡いで手織りした布)。
加藤由美子さんのワラの篭。
富永楓さんの草木染めの羊毛。ストール、ブローチ、セーターなど。
小山智徳さんの織部焼。
柳澤幸江さんの天然石 スピリチュアルアクセサリー。
登山ガイドでもある酒井敬子さんの山葡萄の篭。
Woodpeckerの根曲がり竹ボールペン。
戸隠竹細工の製作中に出た廃材を有効利用したボールペンの制作は、徳武祐介さん。
竹の個性を活かした形は、持ちやすく、書き心地も◎です。
手仕事の温もりと色彩あふれる作品を目で堪能したあとは、舌でも。
妙高山の雪融け水で育った甘味のあるゆきエビが贅沢に使われたゆきエビのかき揚げ。美味です

ここにご紹介したのは作品の一例ですが、ほかにも多数の作品が展示・販売されています。
作品展は3月31日まで。ご興味のある方はぜひ足をお運びください。
2014年12月03日
感謝の心に神が宿る。

こんにちは。昨夜からの雪が戸隠山の麓にも降り積もり、銀嶺が眩い戸隠です。
現在、奥社〜スキー場周辺の道路には10cm程の積雪があり、今朝は雪がない道路でも凍結していましたので、お車でお越しになる際には冬用タイヤの装着をお願い致します。

さて、11月22日に長野県北部を揺るがした神城断層地震につきましては、多方面からご心配やお問合せいただきありがとうございました。
当地区ではFacebookでもお伝えしておりましたとおり、戸隠神社等で一部の石灯籠や石垣の倒壊があったものの、揺れが大きかった割に建物被害は少なく、周辺道路も問題なく通れる状況です。
周辺地域で被害に遭われた皆さまにお見舞い申し上げるとともに、近隣地区含め県内の観光地に対する風評の風当たりが強くないことを祈ります。
例年よりも温かくほとんど降雪がなかった11月。
12月1日に戸隠スキー場で行われた戸隠雪乞い祭りでも途中から降り出したのは雨でした


今日、越水ゲレンデへ行ってみると...私たちの願いはしっかりと大神様に届いたようです!



12月20日のスキー場開きにには、極上のゲレンデが皆さまをお待ちしていることでしょう!
戸隠神社奥社参道も、すっかり冬景色に。
ご参拝にはスノーシューズや長靴のご準備をお願いします。

参拝(今日は鳥居の前で省略させていただきましたが)のあとは、ほっと一息。

名物鴨ざるそばは、まさに、五蔵六腑に沁み渡るおいしさでした。
奥社前なおすけさんでは、不燃ゴミ袋2袋分の食器の被害と、地下室に浸水被害があったということ。
女将さんの「それでも通常営業できていることに感謝」とのお言葉に同感。
おいしいおそばを食べられ、冬らしい雪景色を見られることに感謝。
大切な人や家族を思う心や、感謝の気持ちに神が存在するといいます。
何気ない日常に感謝することが、おもてなしの心にも通じます。
寒くなりましたが、皆さまどうぞお健やかに。
2014年11月19日
第45回戸隠そば祭りレポート

こんにちは。ここ数日の冷え込みで戸隠連峰が冠雪し、あちこちで冬支度が進められています。
この時期の問合せナンバーワンは「雪の状況は?」「ノーマルタイヤでも大丈夫か?」ということ。
私の車は既にスタットレスタイヤを装着しましたが、今のところ道路への冠雪はありませんので、ノーマルタイヤでも大丈夫です。
さて、皆さんはもう戸隠そば祭り「半ざる食べ歩き」に出かけられましたか?
第45回の今年は昨年よりも参加店が増え、25軒のおそば屋さんと、お土産屋さん2軒(使い切れなかったチケットをお土産屋で金券としてご使用いただけます)で実施しています。

香りと甘みがいつも以上に口の中に残る新そば。

手打そば山笑(粗挽き)
戸隠のおもてなしのすばらしいところは、半ざる(3ぼっち)でも、お店によってお漬け物や煮物、そば団子をサービスしてくれるところ。

シメにそば湯をたっぷりいただけば、半ざるでも結構お腹が満たされます


各店ではそば祭り期間中の特別企画も行われています。こちらの戸隠日和ではテーブルの上にこんなお花が!

よく見ると、造花?? 息を吹きかけるとお花がくるくると回る「花風車」です。
ご店主に伺うと、長野市在中の鈴木満方・喜代子ご夫妻の「花風車」で、2階のギャラリーでたくさんの作品を展示しているとのこと。
早速覗いてみると...
桜の切枝についた花一輪一輪から、繊細なバラの花、大輪の菊の花まで、全てが風車になっていました


鈴木さんご夫妻は退職後の趣味で始めたという花風車。いまや、本も出版され、カルチャーセンター等で引っ張りだこだそうです。
戸隠そば祭りは11月24日(月・祝)まで。
戸隠日和の今シーズンの営業も同日までです。
三連休にはどうぞ温かくしてお出かけください!
2014年11月13日
戸隠で出会う感動の瞬間

こんにちは。立冬を過ぎ、日暮れの早さに、否応なく秋の終わりを感じる戸隠です。
そう、「立冬」といえば神送り....以前のブログでも書きましたが、天照大神様が休息に入るため、太陽が戸隠神社奥社参道をまっすぐに昇るのです。
今年こそは実際に見たい!ということで、立冬(今年は11月7日)前後の天気を伺い、立冬の翌日に満を持して早朝の奥社参道へ向かいました

明け始めた空に気持ちがはやり、6時過ぎには参道入口に到着。が、なかなか太陽さんは上がって来ない....
ひとり杉並木の間を行ったり来たり、登山客の方にじろじろ見られたりしながらその時を待ちました。寒さが身にしみましたが、その間、背後の戸隠山が朝焼けで輝く光景に出会えました

待つこと約1時間。その数秒前までとは全く違う、奇跡のような光が、随神門の杉並木の間から差し込んで来ました!

待っていてよかった!! 本当に、神々しい、言葉では表現できない、一瞬でした。
私の拙い撮影技術とレンズでは、その感動を伝えられないかもしれませんが、気持ちだけ。
この日は土曜日だったので、早朝とはいえ、参拝客の方が多勢いらっしゃいました。
随神門での撮影を終えて下ってくると、参道入口の鳥居の前でもカメラを手に立ち止まる人々が。
見上げれば、鳥居の中に光が入る瞬間でした。

お天道様のありがたさを改めて感じるとともに、信仰という気持ちひとつでこの参道を設けた先人の叡智に頭が下がりました。
これから冬を迎える戸隠。
再び日光がこの道を通る「神迎え」は雪に包まれた立春(2月4日)の頃です。
2014年09月09日
戸隠旬ウォークレポート4・戸隠古道一之鳥居〜宝光社
こんにちは。昨夜は中秋の名月でしたね。戸隠ではよく晴れて、月灯りの下でお団子をいただくことができました

ただ、朝晩ぐんと気温が下がるようになりましたので、お出かけの際の服装にはどうぞお気をつけください(という私も風邪をひきました

さて、今回は9月5日(金)に行われた「第4回戸隠旬ウォーク」のご報告です。
当日は小雨模様でしたが、お申込いただいた21名の皆さま全員が、一之鳥居苑地駐車場に集合しました!
ガイドは戸隠小舎のご主人でプロスキーヤーの佐々木常念さんと、戸隠牧場で引き馬などもしている村田幸恵さん。
お二人とも戸隠生まれ、戸隠育ちの、ベテランガイドさんです。
準備体操の後、集合写真を撮って、元気に出発です!
人数が多いので、2チームに分かれて歩きます。
私は村田さんチームにお邪魔しました。
一之鳥居苑地からカラマツとアカマツ林を抜け、約5分で戸隠神社一之鳥居跡へ。
戸隠神社の元神領(千石)の入口として、18世紀末に大規模な石の鳥居が建造されましたが、弘化4年(1847)の「善光寺地震」で倒れ、今はその一部が残っています。
その後、明治時代に、奥社から運んだ大木で木造の鳥居が建てられましたが、老朽化して昭和60年(1985)に取り壊されたそうです。
鳥居建設の奉行を努めた中社の極意家(宿坊極意)には大木を乗せて曳いた大ぞりが残り、石の鳥居柱の一部も残っていると、ガイドさんから詳しい説明がありました。
また、この場所には『戸隠古道拓本集印帳』の最初のポイントがあり、拓本をとる参加者もいました。

今回、地元から参加してくださったフランススキー学校の小林校長先生からは、
「おれがこどもの頃にはこの辺に売店が立ってた」という貴重なエピソードもきかれ、往時に思いを馳せることができました。
一之鳥居付近は、最近数少なくなったマツムシソウの群生地でもあります。
神領に入ったとたん、ぽつぽつと雨に出迎えられたご一行。傘をさしながら古道を歩きます。
一之鳥居から奥社までの道標となる丁石(ちょういし)の、はじめの「一丁」。
ちなみに、一丁(町)は約109メートル。宝光社までが43丁(4.7km)、中社までは53丁(5.8km)、中社から奥社までが36丁(4km)です。
一之鳥居から七丁で大久保に到着。
大久保の茶屋の裏山に咲いているこのお花は、フシグロセンノウ。ビビットカラーなので、一見園芸種のように見えますが、在来の山野草だということを、ガイドさんの説明で初めて知りました。
ここは善光寺からの戸隠表参道と、柏原(信濃町)からの戸隠下道が合流する交通の要所。江戸時代にも二軒の茶屋がありましたが、当時は蕎麦ではなく、「力餅」が名物だったそうです。
「こちらへどうぞ」とガイドさんが案内してくれたのは、大久保西の茶屋の主屋の背後にある岩屋。
岩と岩の間に「龍のしっぽ」と呼ばれる穴があり、一説によると戸隠山の九頭龍権現がこの穴を出入りしていたということ。
「岩戸里宮」として、九頭龍権現を祀っているそうです。
私有地なので、参拝される方は、大久保西の茶屋さんに一声かけてお入りください。
九頭龍権現様にご挨拶したところで、効果覿面!?雨がザーザー降ってきました

晴れていれば野鳥や虫の声が聞こえ、山野草も楽しみな遊歩道ですが、傘をさしながら早足で進みました。
祓沢のそば展望苑に到着。
戸隠連峰は霧にかすんでいましたが、一面に広がるそば畑を初めて見たという方は、
「晴れたときにまた来たい」といいながら写真を撮っていました。
祓沢にはその名のとおり、戸隠信仰の修験者達が禊ぎをしたといわれる沢があります。中院道と宝光院道の分岐点を示す道標がありますが、上部には大きくえぐられた跡が。明治の廃仏毀釈で梵字が削られたということです。

「左宝光(院)御宮迄十二丁
徒夫中(院)御宮江通ぬけ」( )は削られています。

祓沢から先は石畳が敷かれ、戸隠の古き佳き時代の面影が残る古道です。
雨脚が強いので、もうひとつのビューポイント・湯之嶺夕陽展望苑はパス。晴れていれば戸隠連峰と北アルプスのパノラマを展望できるので、ぜひまた歩いてみてくださいね。
森の中の道を抜け、舗装路との合流点の先に「熊の石塔」が現れました。
大きな石を組み合わせた五輪塔。熊野信仰の跡だと伝えられています。
熊野古道を歩いたことがあるという参加者の方の話を興味深くききながら、宝光社を目指します。

ひとりでは心細いような鬱蒼とした杉木立の道ですが、「皆で歩けばこわくない」!
ギンリョウソウ(銀嶺草)が見事な白い顔を出していました。
雨にも負けず、いろいろな話をしてくれるガイドさん。
こちらの白樺の幹が黒くなっているのは....?
信州では「カンバ」でお盆の迎え火を焚きますが、戸隠では白樺の樹皮を使います。
白樺の樹皮は一度剥がすと再生せずに黒く残ります。幹が黒くなっている白樺があれば、そこは人が入った山という印だということです。
お昼を少し過ぎた頃、戸隠神社宝光社の鳥居に到着!
コケや緑が雨に濡れて一層濃く見え、晴れの日とは違った趣でした。
274段あるという石段をゆっくり上っての宝光社参拝は、なんだかとてもご利益がありそうです。

ガイドさんから来年は戸隠神社の式年大祭で、この宝光社の御祭神が御神輿に乗って渡御し、中社の御祭神とご対面するという説明がありました。
「渡御の儀」は平成27年の5月6日。楽しみですね!
参拝を終えて、お腹も空いてきた頃、武井旅館に到着。
雨の中の散策、皆さまお疲れさまでした!
築約300年の宿坊のお座敷でいただく女将さん特製の手打そば。
旬野菜の天麩羅や、煮物もとてもおいしく、雨に濡れた体が一気に癒されました

その後、女将さんから家宝の秘仏のお話、茅葺き屋根の葺き替えのお話など、ここでしか聴けない興味深いお話も伺うことができました。
現在、歴史まちづくり法の町並み整備事業が行われている戸隠宝光社・中社地区。
今年、長野市の景観風致建築物にも指定された武井旅館では、茅葺き屋根の葺き替え工事の真っ最中。
お隣、鬼無里と信濃町からの熟練の茅葺き職人の方が来て、7月から工事が始まり、今秋は西側の屋根を葺き替えるそうです。

こちらは、武井家の新たなお宝。
戸隠山の稜線等に咲く希少な高山植物「羽蝶蘭」で、宝光社には咲くはずのないこの花が、なんと、古い屋根の上に咲いていたそうです。
女将さんは、風に運ばれて根付いた貴重な一株を大事に育てたいとおっしゃっていました。
九頭龍権現様の歓待にあった今回のウォーキング。皮肉なことに食事が終わった頃には雨が上がりました

次回の戸隠旬ウォークは10月24日(金)。鬼女紅葉伝説が伝わる柵地区荒倉山塊を歩きます。乞う晴天!
2014年05月31日
蕎麦とスイーツを楽しむ戸隠日和。

こんにちは。一雨ごとに草が伸び、樹々の緑が濃くなる戸隠です。
今回は食いしん坊レポート。先月(4月)にバードライン沿い、戸隠そば博物館の並びにオープンした蕎麦切茶房 戸隠日和さんのおいしいものをご紹介します

取材に伺った日はあいにく曇りがちでしたが、お天気が良ければ右手に戸隠連峰、左手に雪渓の北アルプスが望める眺望抜群の立地です。
店内はエントランスから客席までバリアフリー。車椅子用のトイレも完備されています。
柔らかな灯りで落ち着ける雰囲気。客席はテーブル席とお座敷併せて約50席。
おすすめメニューが黒板に書かれているのも、素敵ですね。
メニューも全て手描きでほのぼのした雰囲気。ご主人の山口茂さんの娘さんのアイディアだそうです。
さぁ、お待たせしました!
ご主人に「おすすめのメニューを」とお願いして運ばれてきたのはこちら。

女性客に人気だという「日和そば」(税込み1,188円)です。
冷たいお蕎麦の上に、素揚げした旬の野菜と信濃地鶏のササミ。汁をかけていただきます。
お蕎麦はモチモチとした食感で汁とよく絡み、信濃地鶏や野菜との相性も抜群!
一皿食べると満腹に。おいしくお腹いっぱいになり、ヘルシー感もある。女性に人気なのもうなずけます。
ご主人にPRポイントを尋ねると、「自家栽培のお蕎麦と、スイーツです」
蕎麦は戸隠内にある農場で、ご主人自らが種まきから収穫まで手がけているというので驚きです。

蕎麦の挽き方にもこだわり、実の中心部よりも外側の部分を多めに使い、石臼で割ってから挽いている(挽きぐるみ)そう。
そうすることで、蕎麦の風味が引き立ち、モチモチ感が出るそうです。麺に少し茶色っぽいものが混ざっているのはこのためだったのか、と納得しました。
夏から秋にかけては戸隠の野菜がおいしい時期。「旬の戸隠野菜もふんだんに使っていきたい」と話してくださいました。
そして、黒板に「当店一番人気!」と書かれたスイーツを別腹で頂きます


そばぷりん(324円)。一口含むとそばの風味がふんわり広がり、幸せな気分に

そば茶を使って仕上げた逸品は、口コミで人気拡大中!ですが、テイクアウトはできないそう。来店した方だけが味わえる贅沢です。
スイーツを担当しているのは、娘さんの安原奈緒さん。実家のご両親がお店をオープンするということで、会社を辞められたそう。飲食店で働いた経験を生かしつつ、抜群のセンスでご両親を支えています。

「撮影用に」とかわいらしいケーキも運んでくださいました。レアチーズケーキ(486円)。
あまりにもおいしそうなので、ちゃっかりお味見させていただきました

家族経営の温かい雰囲気が心地よい、また訪れたくなる「戸隠日和」でした。

左から山口茂さん・道子さんご夫婦、娘さんの安原奈緒さん。
2014年02月25日
戸隠で「おら家の逸品」を味わう(3)

こんにちは。2週間連続の大雪を経て、先週末は晴天に恵まれ、ほっと安堵した方も多かったと思います。
信州では西高東低の冬型で日本海側が大雪になる際の雪を「下雪」、本州の南岸沿いに低気圧が進み、信州南部、山梨、関東方面に降雪があったりする時の雪を「上雪」といいます。雪質も下雪は粉雪で、上雪は水っぽいボタ雪。例年3月を過ぎて「上雪」が降ると、春が近いといいますが、今季は異常な上雪。震災から4年目の春を迎えるに当たり、災害時の対応について改めて考えさせられる気象現象でした。

さて、この大雪の「おかげ」か「仕業」か、例年並みの雪の壁ができ、銀嶺をバックに雪景色が最高潮に見頃を迎えている戸隠です。そんな雪景色と合わせ、この時期にしか味わえない「おら家の逸品」をご紹介します。
まずは戸隠神社奥社前をスタート。

雪で1.5メートル(目測)ほど高くなった奥社参道。大鳥居の前から奥社・九頭龍社を遥拝します。
※奥社参道は防寒長靴やスノーシューの装備で途中まで歩くことはできますが、随神門から先は雪崩の危険性があるため、お薦めできません。また奥社・九頭龍社の神様は冬期間は中社にご動座されており、お札・お守は中社にてお求めいただけます。
駐車場から数分歩いただけでも耳が冷たくなる寒さ。
そんなときにおすすめなのは、ご存知奥社前なおすけさんのこのお蕎麦。

冬期限定の「海老天あんかけそば」(1,400円)です。
白い湯気を放つお蕎麦とともに女将さんから差し出されたのは、ティッシュ箱。
あつあつのトロミが絡んだ麺は、喉から食道、胃袋へと、通っていくのがわかるくらいの温熱効果!
大きな海老の天麩羅も食べ応えがあって、大満足でした。
なおすけの「海老天あんかけそば」は4月3日までの冬期限定。
アツアツの体験、おすすめです!
お次ぎは中社の大鳥居前へ。
大鳥居前の広場には3/1(土)に行われるTheべ~そ雪の上の大酒宴の会場が設営されています。

毎年話題の人をかたどる雪像。今年の主役は、この人!

下の方にはスケートシューズが光っていますね。そう、ソチオリンピックで健闘した浅田真央選手です。
そして、中社大鳥居前といえば、うずら家さん。

グリーンシーズンは行列なしには入店できない名店ですが、この時期はほとんど待たずに席につくことができます。
うずら家に冬訪れたなら、ぜひ食べてみたいのが、冬期限定の「とり南ばん(1,200円)」。

北の大地で育った知床鶏と、焦げ目がついたねぎがたっぷり入ったアツアツのおそばです。
キャッチコピーに「旨味こってり」とある知床鶏。実際に食べてみると、その柔らかさに感動

そして、鶏の旨味が溶け込んだ出汁とそばはもちろんのこと、香り付けに入れられたゆずも絶妙でした。
ご主人にお話を伺うと、とり南ばんは15年以上つづくの冬の看板メニューで、リピーターも多いとか。
鶏の相方として欠かせないねぎには、深谷ねぎ等も試したそうですが、やはり寒い土地で育った地ねぎを使用。
殺菌効果のあるねぎのとろみ成分は、かぜ予防にも○ですね。
うずら家さんでは、10月から11月に収穫される新そばを厳寒期の1月から2月に石臼挽き製粉しています。
これを冷凍保存し、年間を通してお客さまに新そばの風味を保ったおいしいそばを提供しているそうです。
たまたま店内では石臼挽きの作業中。ご主人を初め、経験豊富なスタッフが、交代で石臼を挽いていました。

スタッフの方に勧められて私も体験してみました

石臼は意外と重たく、廻しながらそばの実を投入するのにも手こずりました

1回転で10粒ぐらいずつそばの実を穴に落としながら挽くそうですが、一廻しするだけでどんどん粉が出てくるご主人の手さばきは、お見事でした


うずら家のとり南ばんは11月末から3月31日まで。
この季節にしか食べられないものを食べる幸せ。ぜひご堪能ください。 続きを読む
2014年02月12日
戸隠で温盛そばを食す。

こんにちは。立春寒波でスキー場にとっては恵みの雪が降り、田畑も再び雪で覆われた戸隠です。
先週は季節外れの温かさに気持ちが緩んだのか、我が家でもインフルエンザウィルスが蔓延し、節分の豆まきもできませんでした

温かいものを食べて体をよく動かし、春までもうひと頑張り、雪の季節を楽しみたいものです。
ということで、今回は戸隠そば協同組合で実施している戸隠スキー場50周年企画「戸隠温盛(あつもり)半ざるそば」のご紹介です。
温盛そばは、そば処戸隠ならではの冬のそばの食べ方として、昔からあったものだそうですが、食べ歩きができる半ざるチケットを販売するのは初めての試み。私も初めて食します。
実施店は計15店。このポスターが目印です。

半ざる券(3枚綴り1,200円)は1軒目のお店でお求めいただけます。

「温盛」の名のとおり、温かい麺ですが、提供の仕方は各お店によって異なります。

麺を冷水で締めた後、温かいお湯をくぐらせたおそばは、ざるに盛られているのに湯気が立っていて、新鮮な感覚!
お店によってはつゆの温冷を選ぶことができます。私は冷たいおつゆでいただきました。

こちらのお店は、ざるではなく、かけそばスタイルの麺と冷たいつゆ。おそばの量は半ざる(3ぼっち)ですが、そば湯までいただくと、腹八分目。体もポカポカ温まりました


冬ならではのおそばとお店の個性が楽しめるこの企画。
もれなく、すばらしい雪景色も味わっていただけます。
ぜひご家族ご友人とお出かけください!

2013年10月31日
戸隠で蕎麦会席を楽しむ。
こんにちは。朝晩の気温が10℃を下回り、場所によっては霜がおりる時期になりました。
こうなってくると、炬燵が恋しい季節。皆さまのお宅では炬燵を使われていますか?
一年の半分ぐらいが冬ともいえる戸隠では、炬燵を年中出しているお宅もありますが、
我が家では炬燵は戌の日に出すとよいと伝えられ(火難を防ぐとか?)、
次の戌の日(11月4日)にと、計画しております。
さてさて、明日は戸隠そばの新嘗祭、新そば献納祭です。
いよいよ戸隠地区内全てのお蕎麦屋さんやお宿でこの秋採れたての新そばが提供されます。
食欲の秋、今回は長年そばの創作料理を研究されてきたそば会席の宿 鷹明亭辻旅館の女将・辻栄子さんによる蕎麦会席をご紹介いたします。
辻旅館では、長野市内外の方に気軽に蕎麦料理に楽しんでいただこうと、週刊長野新聞社と提携して毎年春と秋に蕎麦会席を楽しむ会を開催しています。なんと、今年で21年目の人気企画。
この日も、長野市内を中心に26名が参加、長野駅前からバスに乗って、柵地区の戸隠地質化石博物館を見学し、荒倉キャンプ場、紅葉の岩屋を経て、正午に辻旅館に到着しました。(私は食事のみ参加させていただきました)
そば会席と聞いて、お膳の前に正座して、一品一品いただく、という改まった食事を想像していましたが、
大広間には椅子席が用意されていて、参加者の皆さんも普段着姿だったので、少し緊張がほぐれました。

先付けは辻旅館オリジナルの“深山大蒜(みやまにんにく)”。小粒でほとんど臭みがなく、醤油の風味とマッチして、ご飯も進みそうな珍味です。

お膳の上に彩り美しく並べられた八寸と小鉢。
八寸は鮎うるかのそばの実添え、鶏いぶし、海老、そば団子、焼き栗。
右の小鉢はカリフラワーと剥蕎麦のブロッコリーソース、
左の小鉢は柿と千成鬼灯(せんなりほうずき)の白和え、柘榴。
どれから食べようか、迷いつつ、一番に箸を運んだのが、こちら。
鬼灯のプチプチとした食感が楽しく、柿の甘み、柘榴の酸味が胡桃入りの白和えに包まれ、口の中でほどよく調和しました!
お次は蕎麦真丈のみたらし餡かけ。
一見すると車麩のようですが、中にはエビとホタテが隠れています(撮る前に食べてしまいました

外はかりっと、中はもっちりした生地にしょっぱめのみたらし餡が絡み、食べ応え十分!大女将さん曰く、この組み合わせの妙は「偶然の産物」だそうです。
蒸し物のお椀を開けると鮮やかな紅葉麩が。蕎麦の実の白蒸と、大鱸(すずき)に韮が添えられています。
お萩風に丸められた餅米と蕎麦の実の下に、鱸が隠れ、洋風の味付けの優しい一品でした。
お凌ぎとして運ばれて来たのは、戸隠小町の蕎麦がき。
戸隠小町はそば粉の名前で、普通のものより、きめが細かいそう。
一口食べて、びっくり!これまでの蕎麦がきの概念を覆す、ふっくらと滑らかな食感。
薬味とかえしの出汁割を付けてあっという間に食べてしまいました。
そば粉と水だけで仕上げているそうですが、これは、上質なそば粉を使ってこそ成せる食感だろうなと、関心してしまいました。
煮物のお椀は蕎麦がんもと大根。ブロッコリーと赤大根の彩りの美しさが目を引きます。
豆腐に蕎麦(麺)とひきじ・人参等が練り込まれ、おろし大根でいただくと美味!
こちらは大女将の思い入れが特に強く、長年かかってようやく辿り着いた一皿ということでした。
温かいものは温かいうちにいただけるのが、会席料理の醍醐味。素晴らしい日本文化ですね

お次に運ばれて来たのは....
胡麻豆腐の煎りそば粉揚出汁、舞茸、林檎、青とまとの天麩羅です。
胡麻豆腐はとろける食感で一口で食べてしまいそうでしたが、気をつけて少しずついただくと、後から蕎麦の甘みがふんわりと広がってきました。
とまとの天麩羅は初めてでしたが、ほどよい酸味と食感で、おいしくいただきました。畑に残った青とまとも、こんな活用法があったとは!
本日のお汁は、天然きのこ汁。
なめこ、平茸、栗茸がたっぷり入ったお汁は、この季節ならではの山の恵み。
身体の中からほっと温まりました。
お膳の上に、薬味とつゆが運ばれると、いよいよ戸隠在来種のお蕎麦の登場です。
11月1日の本来なら新そば献納祭後に解禁される新蕎麦ですが、今回はありがたく、特別に提供していただきました。
冷たい水で締められたお蕎麦は本当に喉越しが良く、つるつるとおいしく頂戴しました。
最後に「別腹でお召し上がりください」と運ばれてきたのは、蕎麦のアイスクリーム。
これも絶品!アイスクリームを手掻きしているということで、少しざらっとした食感ですが、後からそばの風味が口中に広がります。原材料はそば粉・煎り蕎麦・生クリーム・卵でのみ。今まで食べた蕎麦ソフトクリームとは別格のおいしさでした。隣の席のご夫人も、「甘いものはあまり食べないけれど、これならおかわりしたい」と話していました。
蕎麦を使った11品のお料理をすべて平らげ、満腹になったところで、
女将の辻栄子さんのご挨拶。
戸隠には昔から蕎麦がきやお煮掛けなど、蕎麦を使ったいろいろな料理があるけれど、
どれも主食のような料理になってしまう、どうしたらよいか、会席という方法で整理してみようと、思い立ち、
創作料理の考案に「燃えて」きたとのこと。
女将さんの努力とアイディアの結晶が詰まった蕎麦会席。
今回ご紹介した内容のお料理は、週刊長野の蕎麦会席の会限定ですが、
辻旅館では一般のお客さまの夕食にも、旬を生かした蕎麦料理をお出ししているということです。
新蕎麦と秋の味覚を楽しみに、ぜひ戸隠へお出かけください。
2013年09月28日
戸隠「大盤振舞いそば」レポート

こんにちは。
しばらく更新をさぼっている間に、朝晩の冷え込みが強くなり、昨日は今シーズン初めてヒーターのスイッチを入れました。
既に多くの田んぼで稲刈りが行われ、はぜがけされた稲が冷たい風にさらされて、おいしい新米が食卓に上がる日ももうすぐです。
さて、昨夜は第44回戸隠そば祭りの前夜祭ともいうべき「大盤振舞いそば」が戸隠内の19店のおそば屋さんで行われました。
毎年恒例となっていたこの行事ですが、残念ながら今回が最後。テレビ番組等の報道の影響もあり、そば猪口は前日までにほぼ完売でした。
この日のために、県内外から戸隠へお出かけくださった方もたくさん。
早い所では開店1時間前から行列ができ、皆さまの期待と気合いが溢れていました。
普段なら静寂に包まれる夜の戸隠。
これだけ大勢の人で賑わうのは、一年を通してもこの日が一番かもしれません。
我が家も、子連れで参戦!
とはいえ、下の子は1歳児、5歳の娘もそんなにそばが好きじゃないからと、タカをくくって、そば猪口は2つしか購入していませんでした。
子ども達には事前にパンやバナナを食べさせたにもかかわらず、娘は我が者顔でおそばをつるつる

出かける前は「おそばやだ〜」と言っていたのに…


喉越しのよいざるそば。早い人は数分で食べ終わり、お客さんはどんどん回転していきます。

食べ歩きの面白いことは、お客さん同士が顔なじみになり、
次の店で「また会いましたね」とか、「何軒目ですか?」というような会話が弾むこと。
あの店は混んでいたなど口コミで情報収集し、作戦を立てた方もいたようです。

暗闇の中、そば祭りの提灯と旗をたよりに次のお店を目指すのも、わくわくします。

父と一緒に3枚のざるそばを食べ、「もういっけんいきたい!」と意気込んだ娘も、
4軒目となると、さすがに一口で「もうおなかいっぱい〜。」

最後にしっかりと温かいそば湯をいただいてご馳走さまでした!
(途中でそば湯を飲んでしまうと満腹になって次のそばが食べられなくなるので)
こうして、「大盤振舞いそば」の熱い夜は終わりましたが、
来る11月1日の新そば献納祭からが戸隠そば祭りの本番!
大盤振る舞いには来られなかった方も、11月にはぜひ、5枚綴りの半ざる食べ歩き券をお求めいたいただき、風味豊かな戸隠の新そばを食べにいらしてください。
2013年06月04日
戸隠で「雪がくし蕎麦」を食す。
こんにちは。「梅雨入り」はフライング?と思えるほど、清々しい晴天の下、6月を迎えました。
トップ画像はキジと飯縄山。(中央にキジが歩いています)
さて、今日は今月1日より販売を開始した「戸隠雪がくし蕎麦」のお話。
すでに報道機関や協会ホームページ等で御案内のとおり、「雪がくし」とは、秋に収穫した戸隠在来種のそばの実を、冬の間一定温度に保たれる雪室に保存し、熟成させた蕎麦のこと。
戸隠そば協同組合に加盟するそば店の店主を中心に、質が劣化しやすい6~7月の期間においしいそばを提供できないかと、今シーズン初めての取り組みです。

(写真は昨年8月末に撮影した秋そばの花)
戸隠スキー場近くに作った雪室で、戸隠産在来種のそばの実約300キロを1月から5月まで4ヶ月間保存。「厄介もの」扱いされる雪を資源として有効活用した戸隠ならではの「エコプロジェクト」でもあります。
さて、うんちくはともかく、お味は?
ということで、今回は中社地区にある水車回る古民家のお店、蕎麦処戸隠食堂で頂いて参りました。
冷水で引き締めた麺は少しもちもちとした食感。
コクと深みのあるつゆとの相性も抜群です。
お店の村上龍太さんにお話を伺うと、試食会でそばの挽き方やつなぎの割合を変えた数種類の蕎麦を食べ比べた結果、そば粉は石臼挽きで、つなぎ2割のざるそばと、そばがきを提供することにしたそう。(提供方法、価格はお店によって異なります)
貴重な戸隠産在来種を雪中保存したプレミアムものともいえる「戸隠雪がくし蕎麦」。このお店では850円で頂けます。
また、この時期のおすすめは、コシアブラ、エラ、根曲がり竹等、旬の山菜がたっぷり入った天ぷら。山菜採りのベテランであるご店主自らが、季節になると山へ入って採って来るそうです。
なお、雪がくし蕎麦の提供食数は全店舗で2000食。1日の提供食数が決まっている店舗が多いので、事前の予約がおすすめです。
目印はこのポスター。

お問い合わせは戸隠そば祭り実行委員会(長野市商工会戸隠支所tel.026-254-2541)へ。
2012年11月07日
戸隠そば祭りレポート
黄金色に色付いた戸隠バードラインのカラマツ。
うっすら雪化粧した戸隠連山と真っ白な北アルプス。
秋色と冬色が混じり合う晩秋の戸隠です。
現在、戸隠では第43回戸隠そば祭りが開催されております。
初日の1日は、戸隠神社中社鳥居前にて、新そば献納祭が催行されました。
肌寒い曇天にもかかわらず、朝から大勢のお客様が集まりました。
こちらは、献納そば手打ち式(野点)の様子。
今年のそば祭りのテーマ「足神(おまん)さん」にちなみ、
女性職人3名が捏ね、打ち、切り役を担いました。
熟練の手さばきで、みるみるうちに打ち上がり、
会場からは拍手喝采。
打ち上ったそばは三宝(供物を置く台)に載せ、
戸隠大根、戸隠蕎麦焼酎、蕎麦の実などとともに神社本殿にお供えされました。
白装束のそば職人達が参道を行列する様子は荘厳な雰囲気。
観光客の方々も盛んに写真を撮っていました。

中社本殿では戸隠の大神様に豊作を感謝し、太々神楽の奉納も行われました。
午後は戸隠太鼓のステージ、蕎麦切りの振舞い、石臼体験などがあり、大盛況の1日でした。
25日までの期間中、「半ざる食べ歩き手形」(半ざる券5枚/2000円)を
購入していただくと、最大5店舗で半ざるを食べることができます。
半ざるは通常5ぼっちのそばが、3ぼっち盛りで出てきます。
もちろん、1店で半ざるを2枚注文することもできます。
ご存知の通り、ぼっち盛りとは1,2口で食べられるように束ねた戸隠独自の盛り方で、
5つなのは、戸隠神社が五社あることに因んでいるという説もあります。

手形は戸隠そば協同組合加盟の約20店または、長野市商工会戸隠支所で購入できます。
観光案内所でお客様から最もよく尋ねられるのは「おいしいお蕎麦屋さんはどこですか?」
水清き戸隠の手打ち蕎麦は、正直どこのお店で食べてもおいしいのですが......。
もちろん、麺の太さやつゆの味はお店それぞれ。
「おいしい」の捉え方は十人十色です。
ぜひ、この機会に食べ比べて、お気に入りのお蕎麦屋さんを探してみてください!