2015年09月24日
戸隠連峰の麓で秋を味わう
こんにちは。9月に入ってから日照時間が少なく、作物への影響も心配されていましたが、シルバーウィークはお天気に恵まれ、ツタウルシやオオヤマザクラなどなどが色づき始めました
紅葉を楽しみに山行を計画している方もいらっしゃるでしょう(私もそのひとり)。
そして、もうひとのお楽しみは、旬の味覚・きのこ。
そば処の戸隠では、この時期、多くのお店できのこをメインにしたおそばが供されます。
ということで、今回は日本百名山高妻山の登山口、戸隠牧場入り口の老舗・手打ちそば岳(がく)を訪れました。
ログハウスの店舗は、新しいお店のようですが、創業は昭和27年。3代目の曽根原公夫さんが15年程前に建て替え、昨シーズンからは息子さんで、プロスキーヤーの曽根原功さんを迎えて親子で営まれています。
木の香り漂う店内でまず目につくのが、この書。
そして、店内のお品書きやメニューも全て手描き。イラストも精密で味があります。
なんと、すべて功さんが描いたものだそうです!
おすすめは「きのこそば」ということで、迷わず注文致しました。
そばを待っている間に、「天然きのこの前菜プレート」をいただきます。
左から、カラマツだけのゆずこしょうおろし、天然きのこのみそ漬け、アイシメジの炙り焼きこがし醤油がけ(天然きのこは採集状況によって変わります)。
きのこのみそ漬けは、初めて食べましたが、きのこのコリコリした食感が残って旨い!酒の肴にも合いそう....
そして、湯気をまとっておそばが運ばれてきました。
麺が見えないほどのきのこのボリュームに驚きつつも、「冷めないうちに」ということで、つるっといただきました。
かつおときのこの出しに、太めに切られた麺、そしてきのこのぬめり感が絶妙に絡み、口の中にはそばの甘みが広がります。
取材した日はストーブを焚くほどの肌寒い日でしたが、食べているうちにお腹の中からほかほかと温まりました。
いつもはざるそばしか食べないお客様でも、この時季だけは温かいきのこそばを注文する人が多いとか。
「温かいそばは、そばの甘みを味わうことができる」と話すご主人。
きのこは毎朝ご主人自らが、お店を開ける前に山で採ってくるそうです。
「毎朝ですか!?」と驚くと、「採れる日と採れない日があるから、店で出すには毎日入らなければ間に合わないよ」と笑って返されました。
きのこ採りは子どもの頃から親について山へ入り、自然に覚えたそうです。
山で暮らす人にとって、きのこは身近な食べもの。その呼び方にも愛称があります。
たとえば、アイシメジは「きんたけしめじ」、ナラタケは「もたし」、カラマツダケは「はないぐち」など...。
これからの時季はクリタケなどが採れるそうです。
お店には、日本酒のメニューも充実しています。
以前は1種類しか出していなかったそうですが、功さんがお店を手伝うようになってから戸隠ならではのお酒を、ということで戸隠雪中酒やそば焼酎玄などを揃え始めたところ、お客様にも好評とのこと。キャンプをしに来た人がお昼に飲んでいくパターンも多いそうです。
そして、功さんセレクトのお薦めのお酒はこちら。
なんと、戸隠で栽培された酒米を使った初めてのお酒!
「幻舞」で有名な川中島の酒千蔵野で醸されたということで、その名も「戸隠の舞」。そして、ラベルデザインは功さんの作品です。
酒米を栽培したのは戸隠豊岡にある山口ファームの山口皓(ひかる)さん。戸隠にも地酒がほしい…という思いから始まり、中社の越後屋酒店や戸隠の農業を担う関係者の間で2年前から準備を始め、平成26年に厳しい等級試験に見事合格したとのこと。原料栽培から商品化までまさに戸隠オリジナル!戸隠人の熱い心がこもったお酒です。
戸隠の舞(生酒)は、手打ちそば岳、戸隠神社宿坊いろりのそば処築山館等でいただけるほか、中社の越後屋酒店で購入することもできます。
また、おみやげ処宝泉、戸隠そば山口屋では、火入れをしてより日持ちする「戸隠の舞」を販売しています。
いづれも、数量限定ですので、気になる方はぜひお早めにお出かけください!
紅葉とそば、きのこ、そしてお酒。
ますます楽しみが広がる戸隠の秋です。
取材協力〜Special tanks〜手打ちそば岳、山口ファーム、越後屋酒店、みやげ処宝泉