2012年09月08日
戸隠の紅葉伝説

秋そばの花が満開になり、来月にはいよいよ新そばの収穫が始まります。
第43回目を迎える今年の戸隠そば祭りのテーマは「足神さん」。
戸隠の昔話にお詳しい方ならピンと来るかと思いますが、
大半は「足神さん?」と思われることでしょう。
(恥ずかしながら私自身、つい最近まで知りませんでした)
そばとは直接関係ないですが、鬼女紅葉の配下で千里を駈ける女丈夫だったという
「足神(おまん)さん」に因み、今回から数回に分けて
戸隠に伝わる「鬼女紅葉伝説」とゆかりのスポットをご紹介したいと思います。

まずは、紅葉伝説のあらすじから。
平安の昔のことです。奥州の会津に子供に恵まれない夫婦がいました。
夫婦は旅人から教えられ、六天魔王に願い、美しい女の子を授かりました。
呉葉(くれは)と名付けられた少女は輝く美貌と才知に恵まれて育ちました。
後に紅葉と名を改めた少女は、両親とともに京の都に上り、美しい琴の名手として都中の評判になりました。
やがて、時の人・源経基公の寵愛を受けるようになった紅葉は、経基公の正妻を妬み、
呪いをかけようとして事が露見し、信濃の国(戸隠)へ追放されました。
そして、水無瀬(みなせ=現在の鬼無里)に辿り着き、この里を京の都に見立て、
内裏屋敷を構えて暮らすようになりました。
罪人として流された紅葉でしたが、その美しさと教養の高さから村人に慕われ、
医術や裁縫、琴を教えたとも言われています。
しかし、都への想いが断ち切れず、一夜山の山賊たちを妖術で従え、悪事を働きました。
これを聞いた朝廷では平維茂を追討にさし向けましたが、住み家もわかりません。
維茂は神に祈って矢を放った方角に進みました。
待ち構えた紅葉たちは美しく装って毒の酒をすすめたところ、維茂に見破られ、
鬼女の正体を現したところを討たれて果てました。
(参考文献:戸隠村教育委員会編「戸隠の民話」)
以上、かなり大雑把にまとめましたが、謡曲「紅葉狩」としても有名な紅葉伝説のあらすじでした。
戸隠には鬼女紅葉伝説にまつわる史跡や地名がたくさんありますので、逐次ご紹介していきたいと思います。

足神社(中社地区)
身の丈8尺(約2.4m)、35人力で一夜のうちに数十里も歩く健脚であったおまんを「足神さん」として祀った神社。
平維茂との戦いののち「硯石」に映った自らのあさましい姿を見て悟り、以後仏法に帰依したとも伝えられている。
Posted by toga at 16:00│Comments(0)
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