2013年02月21日
郷土食を楽しもう。

こんにちは。長い冬のある信州ならではの食べ物といえば、漬け物、おやき、そしてヤショウマ。
今回はこの風変わりな名前の郷土食に注目です。
ヤショウマとは米の粉で作った細長いお団子。特に決まった形はなく、地域によって花形にしたり、中に海苔やゴマ、色を付けた粉を練り込んで金太郎飴のように絵柄を作ったり。
そもそもヤショウマとは旧暦2月15日のお釈迦さま涅槃会(ねはんえ)に仏さまに供えるもので、昔はお寺へヤショウマをもらいに行ったりしたそうです。
その名前の由来については諸説ありますが、有名なのはブッダが入滅の際、弟子の”ヤショ”が好物の団子をつくったところ、
「ヤショ、うまかったぞ」とおっしゃったという説。
これは、ブッダが日本語をしゃべったのか?との突っ込みも併せて話のネタになります

現在は出来上がったものがスーパーで市販され、家庭で作ることは少なくなっています。
残念ながら我が家でもお婆ちゃん、お姑さんが既に他界してしまっているので、嫁の私はこれまでもらって食べることしかありませんでした。
今年は手作りのものを子どもと一緒に食べたいなぁ...。
ということで、先日、戸隠地質化石博物館で行われた公民館主催のヤショウマ作り講習会に参加してきました。
講師は小川村在住の松本博子先生。
先生は、長野県産の米を使うこと、色づけには天然色素を用いることにこだわって、ヤショウマづくりをしているそうです。
ヤショウマ2本分の材料は米粉500g、砂糖50g、塩大さじ2分の1(好みに合わせて加減する)、片栗粉少々、着色料(ビート、抹茶、ごまなど)、熱湯375cc。
①米粉、砂糖、塩を入れたボウルに熱湯を少しずつ加えながらさえ箸で混ぜます。なじんできたら手でひとまとめにします。
②生地を8等分ぐらいに分けて、おせんべい状にし(しっかり固めず、空気が適度に入るように)、蒸し布(又はクッキングペーパー)を敷いた蒸し器に入れて約20分蒸します。
③蒸し布に包んだまま持って水を張ったボウルに入れて冷やします。(冷やしすぎるとまとまりにくくなるので注意)

④水気を切って、ボウルに移し、手でしっかりこねます。
先生はコネこそがヤショウマ作りの最重要ポイントとおっしゃっていました。
力のいる作業ですが、よくこねられていれば、後の作業がやりやすくなるので、根気よくこねます。
初めはクチャクチャと音がしますが、「こねて返す」を繰り返すにつれて音がなくなり、手やボウルにもつかなくなってくるということ。
不器用な私がやると、どうしてもボウルにくっついてしまい

⑤こね上がった生地を色づけする分量に分けます。
今回は白5分の2、ピンク5分の3(そこから緑分を5分の1ぐらいとる)
⑥ピンクは食用ビートで色付けしてからごまを入れてなじませ、手の平大の楕円形にまとめる。
⑦緑は抹茶を練りこんで着色し、太めの棒と細めの棒を2本つくり、太めの方は三角錐になるように両側を指でつぶす。
⑧白はピンクを巻けるようにのし棒で長方形に伸ばし、両端を少し切って細長い棒を2本作っておく。
さあここからがマジックの始まり!
⑨⑥の頂点に濡らした包丁で切り込みを入れます。

⑩⑦の三角錐を裏返しにして切り込みにはめてなじませる。
(穴があきやすいのでそれぞれのパーツはしっかりとつける)
⑪緑の細めの棒をその頂点にくっつけ、その両脇に白の棒を付けて固定する。
⑫ ⑪を白の長方形で巻いて包む。
中身が出ないようにはじを押さえながら、細長く伸ばし仕上げる。
力を入れると形が崩れないかと不安ですが、空気が抜けてパーツがくっつくように、しっかりと伸ばします。
⑬片栗粉をまぶして完成です!上手にできたかな?

できたてのヤショウマを切り分ける際はミシン糸を使います(木綿糸だとくっつきやすいそう)。
この日は更に難易度の高いウサギにも挑戦!

目の部分はココアで色づけ(後から気づきましたが、目は大きい方がかわいいので棒は太めにした方がいいです)。
耳が座ってしまいましたが、なかなかかわいくできました!

できたてほやほやのヤショウマはモチモチの歯ごたえ。ほんのり甘く、お茶請けに最適でした。
家に持ち帰って子どもに見せると大喜び

食べてみると予想していたほど甘くなかったようで「味がしな〜い」と言っていましたが...。
翌日、砂糖を少しふりかけて温めたものを出すと「おいし〜い!」と笑顔

手間はかかりますが、作る過程も楽しいヤショウマ。
昔は各家庭で作ったものをご近所で交換したり、お客を招いてお茶請けにしたり、おやきと同じく、ヤショウマづくりが農閑期の娯楽のひとつだったのでしょうね。
家事に仕事に忙しい毎日ですが、食文化として子どもたちに伝えられるように、
雪のある間に何度かつくって、練習を重ねたいと思います。
ちなみに今年の涅槃会は3月26日です。