2013年03月20日
宿坊旅館のお雛様。
こんにちは。お彼岸の陽光に誘われて、福寿草にふきのとう、アリやテントウムシがお久しぶりの土の上に顔を出した戸隠です。
さて、今回のタイトル。
今頃、お雛様?と違和感を覚えられた方もいらっしゃるかもしれませんが、
信州では旧暦でひな祭りを祝う慣習があり、3月に入ってから雛人形を出すお宅も珍しくありません。
中野、須坂など町をあげての雛飾りが話題になっている北信地区。
戸隠の社家の雛人形事情は...?とあくまで個人的な興味から、お雛様を飾られているお宿(旧宿坊)へ、撮影にお邪魔しました。
まずは中社地区から。

戸隠神社中社の鳥居の南側に建つ旧本坊観修院 久山館さんの雛人形。

「この顔立ちが気に入ってるんです。娘はもうお嫁に行きましたが、お顔をのあるものは年に1度は風をあてないと、気持ちが落ち着かなくて」
と娘さんの雛人形を見て微笑む女将さん。
まだ庭にはたくさん雪がありますが、お雛様を飾ると春を感じるそうです。
こちらは旧寿教院 鷹明亭辻旅館さんにて。

黒地の段飾りが格調高い雰囲気の雛人形は栃木の人形店のものだそう。
さりげなく飾られた立ち雛も素敵です。

お次は宝光社地区。
四季折々、女将さんの抜群のセンスで飾られた床の間が、目を楽しませてくれる福岡旅館さん。今回も期待どおり、個性的な木目込み人形がお出迎えしてくださいました。

五人囃子が携えている楽器に注目です!
そして、茅葺き屋根の旧廣善院越志旅館さん。

ご亭主が「人形屋敷」とおっしゃるお部屋を覗いてびっくり!
先代の女将さんのお婆様の代(明治)から、平成までのお雛様が一堂に飾られています。
トップの写真にある内裏飾りは明治40年代のものだそうです。
さらに驚きなのは、雛壇の下方にある小さなお人形の数々。
桐箱に入っているのは歌舞伎の一幕をモチーフにした市松人形です。
物資の乏しい時代、人形職人の精巧な技に関心するばかり。
昔から、女の子が生まれると、親類やお客様からいただいたというお人形さん達。
代々大切に保管され、毎年雪解けを待って土蔵から室内に運び入れ、半日から一日がかりで飾り付けるそう。
「今は娘たちが大きくなって、手伝ってくれるのでずいぶん楽になりました」と女将さん。
院坊ときくと、女子は裏方のイメージでしたが、昔も今も年に一度、女の子の健やかな成長を願うお祝いが
大切にされてきたことがわかり、心温まる撮影行脚でした。
Posted by toga at 15:20│Comments(0)
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