2015年01月15日
戸隠のお年とり(その2)

戸隠神社中社駐車場にて
こんにちは。今朝は気温が高く、雪雲が空を覆っていたと思ったら、案の定。久しぶりのまとまった降雪になりそうな戸隠です。
毎朝一番にすることはカーテンを開けて夜のうちに積雪があったかどうかを確認すること。雪を見て喜ぶのは子どもだけ、大人は...

さて、気を取り直して、今回はおばあちゃんにきいた「お年取り」のお話です。
お正月明けの昼下がり、地域のお年寄りに定期的に体操を教えているからだの楽校主宰の健康運動指導士・徳武有紀先生にご協力いただき、戸隠の農村部(豊岡地区)にお住まいの82歳から92歳のお婆ちゃん4名に戸隠保健センターにお集まりいただきました。
4人ともお腰が曲がり、杖をついてはいるものの、お顔はつやつや。年齢を伺って驚くほどのお元気なお婆ちゃん達でした

しかも、皆さんお一人で暮らしていると聞いて、さらにびっくり!
「このマキ(グループ)なら何でも喋れる」と楽し気な皆さんです。
まずはお年取り(大晦日)に食べるものについて質問しました。
Q1.お年取りには食べるものが決まっていましたか?
A1. (全員)決まっている。
Q2.年取りのお魚は何を食べましたか?
A2.(全員)サケ......ブリやイワシを食べるという家もある
Q3.年越しそばは食べましたか?
A3.(全員)昔は食べなかった。最近になってから手打をして食べる家もある。
昔は商家などでは年末に集金をするので、「お年取りは遅い方がいい」と言われ、
歳神様に焼き鮭とご飯、けんちん汁を御供えして、家族皆が揃ってから夕食を食べたそうです。
年越しそばの風習は戸隠には昭和初期までなく、始まったのは昭和39年の東京オリンピック以降ではないかということ。
その頃、戸隠バードラインが開通し、戸隠スキー場が作られ、これにより食文化等もずいぶん変わったそうです。
そば打ちをする家では、夕食後から打ち始め、日付が変わる頃に茹でて食べたそうです。

宝光社入口(戸隠商工会館前)結界のしめ縄
次に、元旦の食事について。
Q4.元旦には何を食べましたか?
A4.うどん1名、お雑煮(けんちん汁の中に餅を入れたり)2名
お節料理は家庭によっていろろ。豆を煮たり、数の子や酢だこ等は買ってお重に詰める。
Q5.とろろ昆布のすまし汁はたべましたか?
A5.(全員)食べた
お餅つきは12月28日に隣近所が集まってやったそうです。昔は親戚が多かったので1回の臼で5升、15回つき、朝から晩まで餅をついていた家もあったとか。
そして、正月に来客があればすぐ餅を焼いておもてなし。お餅はもち米だけでなく、あわ、ひえ、豆等を入れた餅、収穫時にできそこないだった米を粉にした粉餅というのもあり、それは色が悪くてマズいので嫁が食べさせれらたという話も出ました。
前回のノートでご紹介した「とろろ昆布のすまし汁」はやはり戸隠ではメジャーな料理だったようです。
Q6.その他お正月に決まった食べ物はありましたか?
A6. 2日の夜にうどんを食べた。あとは7日の七草粥まで特になし。
ということで、Q&A方式でまとめてみましたが、ここまですべてお茶を飲みながらのフリートーク。
お婆ちゃんやお姑さんが既に他界している家の嫁である私にとって、興味深いお話がたくさん聞けました。
その中から少しだけご紹介します。
お正月の遊び日
7日、15日は遊び日。男も女も夜、外に出て飲み食いしていい日。
15日のどんど焼きの際は、出店も出るので、現金収入がない女衆はコデ(=へそくり)稼ぎをした。
戦前まで戸隠の農家では麻づくりが盛んに行われていたので、夏に収穫した麻を紐にする仕事を主にやったそうです。
お小遣いの金額は自分の家の子どもには8銭、親戚の子どもには10銭ぐらい(当時1銭であめ12粒が買えた)。
嫁が自由になれる一日〜団子食い(だんごっくい)
家父長制度があった頃は囲炉裏を囲んで座る位置も決まっていて、嫁は一番煙が来る臭くて寒い場所に座らせられたという体験談もありました。そんな嫁が年に一度、自由になれるのが、1月31日(通称:団子食いの日)。
とはいえ、当時は自家用車などありません。
実家から送られたねんねこ半纏を来て、ボコ(赤ちゃん)を背負い、カンジキを履いて雪道を歩いて実家に帰り、
その晩はゆっくり過ごし、次の日にはまたお土産を持って帰って来たとのこと。
今回大先輩のお話を聞く中で、現代の私たちはなんと楽な生活をしているのかと、つくづく思い知らされ、頭が下がりました。
こうして体を使って、辛抱強く努力してきたことこそが、長生きの秘訣なんですね。
また伝統の行事食には、込められた意味も深く、できる限り子どもたちに継いでいきたいと思いました。
最後に感謝と敬意を込めて記念撮影。

皆さんありがとうござました

Posted by toga at 16:03│Comments(0)
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